【今日のまとめ】
- インド地方選挙ではBJPが地滑り的大勝
- 2019年の総選挙を有利に展開できる
- 上院をコントロールしていないので政治改革を難しくしている
- 高額紙幣廃止でインド経済は瞬間的に混乱したが、もう元に戻っている
- 政府の経済運営は上手く行っている
インド地方選挙の開票
2月11日にスタートしたインド地方選挙の開票が3月11日に行われました。その結果、ヒマラヤの麓にあるウッタル・プラデシュ州で与党のインド人民党(BJP)が圧勝しました。
ウッタル・プラデシュ州は2.2億人の人口を抱えており、インドの州の中で最も人口が多いです。このため国政を占う上で重要な州だと言われています。
モディ首相は去年11月に高額紙幣を突然廃止しました。これは脱税、不正蓄財の摘発の目的がありますが、それと同時に政治献金の抑制の意味合いもありました。
今回の開票結果は、BJPのナレンドラ・モディ首相のこうした政策を、有権者が支持していることを表しています。
今回、BJPが大きな勝利を収めたので、2019年の総選挙でもBJPが勝利する公算が高まりました。
根気よく改革を進める必要あり
BJPは2014年の選挙で25年ぶりに国民会議派を破り、下院(ローク・サバー)で52%を獲得しました。
しかし上院(ラージヤ・サバー)ではBJPは過半数を取れていません。このためモディ首相が目指している政治改革を進めることは困難でした。
一例として、モディ首相は製造業の誘致を通じ雇用を創出することを約束しました。しかしこれは難航しています。さらに雇用関連法、土地関連法の改正も思うように進んでいません。
これらのアジェンダを前進させるためには、上院におけるBJPの議席数を増やす必要があり、これは長期計画で取り組んでゆく他ありません。
今回の選挙結果は、上院における議席数UPに希望をつなぐ結果だと言えます。
インド経済の近況
インド経済は去年11月に抜き打ち的に実施された高額紙幣の廃止で短期的に混乱しましたが、その混乱はすぐに収束しました。
国際通貨基金は最近発表された第4条協議報告書の中で「インド経済は上手く運営されている」と褒めています。
インドはこのところGDP成長率でコンスタントに中国を上回っています。
インドはかつて慢性的なインフレに悩まされていましたが、物価抑制の面でもかなり成功を収めています。
さらに政府の構造的財政収支も徐々に改善しつつあります。
経常収支はかつて大幅な赤字でしたが、これも改善を見ました。
まとめ
先週末開票されたインド地方選挙では与党BJPが地滑り的大勝を収めました。これはモディ首相の経済運営を有権者が評価したゆえの勝利と言えます。
2019年の総選挙に向けてBJPはますます自信を深めるものと思われます。
現状ではBJPは上院を支配していないので、さまざまな改革のアジェンダは行き詰っています。
しかしじっくり時間をかけて上院での勢力関係を変えてゆくことで、困難な改革に取り組む考えです。
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