日経平均株価は3万円に到達したが…
先日、日経平均株価がついに3万円の大台を突破し、大いに盛り上がりました。しかし盛り上がっているのは普段あまり株式投資をしていない人であり、実際に株式投資をしている個人投資家は、かなりしらけムードだったのではないでしょうか。
それもそのはず、日経平均株価が3万円に到達しても、多くの個別銘柄は大して株価が上昇していないのが事実だからです。
日経平均株価3万円といえば、30年前のバブル相場の水準ですが、個別銘柄のチャートを見ると、30年前よりも株価が大きく下回っている銘柄が多いのです。
自分の保有株は上がらない、でも実際に日経平均株価は3万円に達した…。この事実を私たち個人投資家はまず受け止めなければなりません。
日経平均株価が強い状況は何年もの間、続いている
日本株を代表する株価指数として、「日経平均株価」と「TOPIX(東証株価指数)」の二つがあります。
この二つは算定方法に大きな違いがあるため、株価が動く際の方向性こそ同じになるものの、その変動率が異なってきます。
日経平均株価とTOPIXとで相対的にどちらが強いかを表したものとして、「NT倍率」というものがあります。
NT倍率=日経平均株価÷TOPIX
このNT倍率は上記の数式で求められ、NT倍率が上昇すれば相対的に日経平均株価が、下落すればTOPIXが強いということが分かります。
一般的に個人投資家が株式投資で高い成果を得られやすいのは、日経平均株価よりもTOPIXの方が強いときといわれています。日経平均株価の影響度が高い値がさ株よりも、株価が低い中低位株を個人投資家が好む傾向があるからです。
このNT倍率、実はここ何年もの間、ほぼ一貫して上昇を続けています。つまり、日経平均株価は上昇するが、個別銘柄の多くはそれについていけていないということがNT倍率から見ても明らかなのです。
個人投資家が日経平均株価の上昇についていく方法がある
でも、日経平均株価だけ強いのを、いつまでも手をこまねいて見ていても仕方ありません。どうにかして、日経平均株価についていくことを考える必要があります。
もし資金が潤沢にある方であれば、日経平均先物か、もしくは日経平均株価への影響度が高い銘柄への買いがセオリーになります。
でも、先物への投資は抵抗がある、日経平均株価への影響度が高い銘柄は購入に百万円以上かかってしまう、という理由などにより、実行できない個人投資家の方も多いと思います。
そこで考えられるのがETF(上場投資信託)への投資です。ETFとは、上場している投資信託のことで、今ではさまざまな種類のETFがあります。
このうち、日経平均株価に連動するタイプのETFがいくつかありますから、それに投資すれば、日経平均株価を実質的に買うことができるのです。
また、日経平均株価だけではなく、TOPIXに連動するタイプもありますし、米国株に連動するタイプもあります。
個別銘柄に投資してもなかなか株価上昇についていけない、とお悩みの方は、ETFへの投資というのが有力な選択肢となります。
ETFへの投資は資金効率が落ちることには要注意
ただし、日経平均株価をはじめとした株価指数に連動するタイプのETFへ投資する際は、1点注意したいことがあります。それは、「個別銘柄に投資するよりも資金効率が落ちる可能性がある」という点です。
日経平均株価は、2012年末にスタートしたアベノミクス相場から、3倍強に上昇しました。一方この間、株価が10倍以上に上昇した個別銘柄も数多くあります。
また、短期的に見ても、個別銘柄の場合は1日で10%程度の変動はよく起きますが、日経平均株価が1日で10%動くことはほとんどありません。
したがって、特に普段中小型の個別銘柄を中心に手掛けているような個人投資家にとっては、日経平均株価の値動きは個別銘柄よりかなり小さく感じるはずです。また、日経平均株価は中小型の個別銘柄のように、短期間で株価が2倍、3倍と上昇するようなこともないのです。
この点を補うために考えられるのは、信用取引でレバレッジをかけたり、「日経平均株価の〇倍の値動きを目指す」というレバレッジ型のETFに投資する、というものです。
信用取引をしたくないのであれば、レバレッジ型のETFへの投資が現実的です。ただ、レバレッジ型のETFの場合、その仕組み上、長期間で見ると「日経平均株価の変動率×レバレッジ倍率」とはならない点には注意してください。
例えば、日経平均株価の2倍の値動きを目指すレバレッジ型のETFに長期間投資すると、日経平均株価の上昇率×2倍を下回った価格変動が、例えば1.9倍や1.8倍になる可能性がある点は頭に入れておきましょう。
もしかしたら、日経平均株価が5万円を突破するかもしれない、でもそうなっても個別銘柄の多くは株価が上がらないかもしれない…であるならば、投資資金の一部は、日経平均先物や日経平均株価への影響度が高い個別銘柄、もしくは日経平均株価に連動するタイプのETFに投資しておくのも一考に値すると思います。
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