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菅首相は10月26日の所信表明演説で「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年にカーボンニュートラル、『脱炭素』社会の実現を目指す」ことを表明しました。欧州、中国のほか米国も『脱炭素』重視に政策を転換しています。国内不動産大手などはこうした動きに加えて、コロナ禍で空室率が上昇したオフィスビルの差別化を図るという観点からもオフィスビルの『脱炭素』の取り組みを加速しています。
【ポイント1】世界的に『脱炭素』の動きが強まる
菅首相は環境を「成長の柱」と位置づけ、再生可能エネルギーなどの技術革新や投資を促し、次世代産業の育成を支援する方針です。 欧州、中国に加えて米国でもバイデン大統領は4年間で2兆ドル規模の環境インフラ投資を掲げており、『脱炭素』重視に政策を転換しています。こうした流れを受けて、国内の不動産大手を中心にオフィスビルなどでの、『脱炭素』への取り組みが加速しています。
【ポイント2】不動産大手中心に『脱炭素』に踏み出す
三菱地所は2020年3月から「丸ビル」と「大手町パークビル」で、日本初となるカーボンニュートラル都市ガスの使用を開始しCO2排出量の削減を実現しました。東京ガスがシェルグループ(G)から購入したカーボンニュートラルLNGを活用し天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生するCO2を、シェルGが保有するCO2クレジットで相殺するものです。また丸の内地区の約30棟でENEOSが手掛けるバイオマス発電などで調達した再生可能エネルギーに切り替えを進めていく計画です。
東急不動産は、2021年2月5日に4月から「渋谷ソラスタ」を含む本社事業所および「広域渋谷圏」のオフィスビル・商業施設の計17施設で使用する電力を再生可能エネルギー利用に切り替えると発表しました。CO2削減量は年間約9,400トン(一般家庭の電力由来の年間排出量約4,800軒分)を見込みます。
【今後の展開】オフィスビルの差別化を図る観点からも『脱炭素』は加速
オフィスビル仲介大手の三鬼商事によると、東京ビジネス地区(都心5区/千代田・中央・港・新宿・渋谷区)の平均空室率は昨年2月の1.49%を底に今年1月時点の平均空室率は4.82%まで上昇しました。コロナ禍による在宅勤務の増加などが背景にあり、この傾向は一定程度は定着する方向にあります。また2023年にはオフィスビル供給の大幅増加が見込まれています。このため世界的な『脱炭素』の動きに加えてオフィスビルの差別化を図るという観点からも『脱炭素』への取り組みは加速するとみられます。
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