1.好材料が続出した米国株式市場

 先週の米国株式市場は好材料が続出しました。決算シーズンが到来し、銀行セクターでは市場予想を上回る決算が続出。現地木曜日に公表された3月の小売売上高は、市場予想を大幅に上回る前月比9.8%増で着地。さらに、4月10日終了週の新規失業保険申請件数は前週比19万3,000件減の57万6,000件と、こちらも市場予想より良い着地となりました。コロナ禍の規制が緩和され、雇用環境が改善に向かっているようです。

 足元で米国債10年利回りが低下傾向にあることも追い風になり(4月15日時点)、米国株式市場はリスクオンに傾いています。この環境が続いた場合、短期的には高バリュエーションのテクノロジー株が物色されるでしょう。ドル安が続けば、バリック・ゴールド(GOLD)などの金鉱株にも株価回復のチャンスがあります。個別ではアルファベット(GOOGL)と、動画ストリーミングサービスのロク(ROKU)に注目。テレビからYouTube・動画ストリーミングへ情報源が移るなか、アップルのiOSのプライバシー規制強化の影響を受けにくいという面でも評価が高まる可能性があります。

<バリック・ゴールドの株価推移>

出所:楽天証券ホームページ。4月15日まで。

<アルファベットの株価> 

出所:楽天証券ホームページ。4月15日まで。

<ロクの株価>

出所:楽天証券ホームページ。4月15日まで。

2.コスト上昇には要注意

 一方、今後注意したい要素としては、半導体等の品不足、輸送費、燃料費、人件費の上昇があります。3月の鉱工業生産では、自動車・同部品の生産は前月比2.8%上昇にとどまり、前月の10%減からの本格回復は見られませんでした。背景に半導体等の不足があるとみられます。輸送費については、中国から米国西海岸へのコストが上昇しています。この2つの問題は年後半に改善する見込みですが、中長期的には燃料費、人件費の上昇懸念が残ります。航空業界や外食は、来年の本格需要回復が期待されていますが、コストの上昇にも注意する必要があります。

 この観点からは、市場価格を転嫁しやすい素材系の企業が魅力的です。直近ではアルミニウム生産最大手のアルコア(AA)が、アルミニウム価格上昇の恩恵を受け、好決算を公表しました。今後の注目銘柄は、銅や金の掘削大手フリーポート・マクモラン(FCX)です。銅は導電率が高く電気抵抗が小さい特徴から、工業製品や電子機器だけでなく、再生可能エネルギーの貯蔵や輸送にも活用される可能性があります。

<アルコアの株価推移>

出所:楽天証券ホームページ。4月15日まで。

<フリーポート・マクモランの株価推移> 

出所:楽天証券ホームページ。4月15日まで。