1.決算の見通し

 本格的な決算発表シーズンに入った米国株式市場。ファクトセットのレポート「Record-High Increase in S&P 500 EPS Estimates for Q1(4月1日発行)」によると、S&P500採用企業における2021年1QEPS(1株当たり利益)の市場予想は6.0%増益と高水準。コロナ禍の影響の緩和を織り込む水準となっています。

 セクター別で最も利益が回復すると予想されている業種はエネルギー。EPS予想は123.4%増です。続いて、金融、素材、情報技術等も増益予想となっています。一方、減益予想は、資本財、一般消費財、生活必需品、公益事業の4セクター。資本財や一般消費財は、バイデン政権の経済刺激策の恩恵を受けるセクターとして期待されているものの、アナリスト予想では2021年度通期でも減益となる見通しです。

 1Qは、資本財や一般消費財の決算がアナリスト予想を超えるかに注目です。素材や食材等の原料価格が上昇傾向にあること、また、一部の製品では品不足が起きていることから環境は必ずしも良くありませんが、経済刺激策の効果がどの企業に垣間見えるかがポイントになります。

2.消費系銘柄

 消費系の銘柄では以下の銘柄に注目しています。自動車のゼネラル・モーターズとフォード・モーターは半導体不足とされていますが、実際の影響が限定的であれば消費回復の追い風に乗れる可能性があります。外出規制が緩和されるなか、デートアプリのマッチ・グループ、配車アプリのウーバー・テクノロジーズの動向にも注目です。両社ともテクノロジー企業であり、原材料上昇の影響が限定的であることが魅力的です。

銘柄名 ティッカー 決算発表
予定日
1-3月期
予想増益率
通期
予想増益率
フォード・モーター F 4月28日 154% 180%
マクドナルド MCD 4月29日 22% 39%
ゼネラル・モーターズ GM 5月5日 55% 6%
マッチ・グループ MTCH 5月6日 116% 12%
ウーバー・テクノロジーズ UBER 5月7日 69% 61%
出所及び予想:ブルームバーグ、取得日:日本時間4月8日
※決算発表予定日は変更の可能性がありますのでご注意ください。

3.エネルギー関連

 エネルギー関連では、配当利回りの高さが魅力のエクソンモービルやシェブロンに関心が集まりやすいとみられます。ただ、財務の健全性という面で、パイオニア・ナチュラル・リソーシズに注目しています。同社は、パーミアン盆地で石油採掘に従事する独立系企業ですが、長短借入金/EBITDAが約2.4倍と、昨年急上昇したエクソンモービルの約4.3倍と比べ抑制できています(2020年12月期時点)。

銘柄名 ティッカー 決算発表
予定日
1-3月期
予想増益率
通期
予想増益率
エクソンモービル XOM 4月30日 2% 1,000%
シェブロン CVX 4月30日 -36% 2,612%
パイオニア・ナチュラル・リソーシズ PXD 5月6日 29% 597%
出所及び予想:ブルームバーグ、取得日:日本時間4月8日
※決算発表予定日は変更の可能性がありますのでご注意ください。

4.大型テック

 テクノロジー企業大手については、昨年コロナ禍で業績が好調だったため他のセクターよりも一巡感が持たれやすい状況です。ただ、消費者が引き続きオンラインサービスへの支出を増やす可能性もあり、決算がアナリスト予想を上回れば本格的に見直される可能性があります。

銘柄名 ティッカー 決算発表
予定日
1-3月期
予想増益率
通期
予想増益率
ネットフリックス NFLX 4月20日 88% 62%
アップル ※9月決算 AAPL 4月28日 54% 35%
フェイスブック FB 4月28日 37% 15%
アルファベット GOOGL 4月28日 44% 27%
マイクロソフト ※6月決算 MSFT 4月29日 27% 28%
アマゾン・ドット・コム AMZN 4月30日 91% 16%
出所及び予想:ブルームバーグ、取得日:日本時間4月8日
※決算発表予定日は変更の可能性がありますのでご注意ください。