今回は足元の決算でポジティブサプライズを発表し、株価がそれに反応した銘柄を3つ紹介します。成長株のような派手さはありませんが、市場の期待を上回る着地、もしくは見通しを示した企業です。米国株式市場は引き続き不透明感が拭えない状況のため(法人増税は最終的に可決されるのかなど)、数年先ではなくて今年、期待以上の力を発揮する企業に注目が集まるでしょう。

1.クリーブランド・クリフス (CLF)

何の会社?

 クリーブランド・クリフスは、北米最大の鋼板メーカー。以前は主に鉄鉱石採掘を手がけていたが、米鉄鋼大手AKスチールの買収に続き、鉄鋼世界大手のアルセロール・ミタルから米国事業の一部を買収したことで、北米最大の鋼板メーカーとなった。鉄鉱石の原料から鋼板までを垂直統合することで、コスト削減に取り組んでいる。

業績は?

 2020年12月期通期の調整後EPS(1株当たり利益)は129%減だったが、市場予想では2021年12月期は1,083%の増益となる見通し(日本時間4月2日時点)。成長株ではないが、今期は鉄鋼価格の上昇と自動車需要の恩恵を受ける見込み。自動車の需要について、会社側は2月のテレフォンカンファレンスで、引き続き堅調であり、チップ不足による短期的な需要への影響は小さいと述べていた。2021年12月期1Q決算の発表予定は4月22日だが、それに先立って会社側は通期のEBITDAの見通しを公表。この内容がアナリストの想定を上回り、株価が浮上した。

出所:楽天証券ホームページ(3月31日まで)

2.ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス (WBA)

何の会社?

 米国の調剤薬局大手。前身企業から数えると、配当を88年以上支払い、45年連続で増配中の企業。FORTUNEの「世界で最も賞賛される企業リスト」にも27年連続で選定されている。NYダウの構成銘柄。

業績は?

 2020年8月期の調整後EPSは21%減だったが、2021年8月期は2%増益となる見通し(日本時間4月2日時点)。足元で公表された2021年8月期2Qは8%減だったが、市場予想よりも減益率が改善。さらに会社側は通期見通しについて上方修正。前回は、調整後EPSの見通しを一桁前半の伸びとしていたが、今回は、通貨の影響を除くベースで一桁半ばから後半の成長率に達する見込みとした。

出所:楽天証券ホームページ(3月31日まで)

3.アキュイティー・ブランズ (AYI)

何の会社?

 米国の照明器具メーカー。商業用施設の屋外照明でシェアトップ。住宅用はシェア4位。ビル管理システムも展開。

業績は?

 2020年8月期の調整後EPSは14%減だったが、2021年8月期は5%増益となる見通し(日本時間4月2日時点)。足元で公表した2021年8月期2Qの業績はポジティブサプライズ。売上高は6%減となり市場予想をやや下回ったものの、調整後EPSは24%増益となり市場予想を大幅に上回った。製品コストの改善に対する取り組みや生産性の向上などにより、減収でも増益を達成できた。今後、小売業などの商業用施設の需要が復活すればトップラインの回復も期待できる。

出所:楽天証券ホームページ(3月31日まで)