コロナ感染拡大ピークアウトを示すデータが次々

 2月12日、アメリカの製薬大手ファイザーとドイツのバイオ企業ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスのワクチンが、成田空港に到着しました。14日に厚生労働省が特例承認し、17日から医療関係者約4万人への接種が始まっています。

 他方、国内コロナ感染の指針となる東京都の日々の新規感染者は1月7日の2,447人(その後2,520人に訂正)をピークに減少を続け、政府が緊急事態宣言解除の目安としている「ステージ3(感染急増)」の500人/日を下回る日も続いています。

 医療提供体制のひっ迫度合は不透明さを拭えませんが、株式市場では「3月7日まで延長されている10都道府県への緊急事態宣言は再延長されない」と見ているようです。

 日経平均株価は2月15日に平成バブル崩壊後初、1990年8月以来約30年半ぶりに3万円の大台を回復しました(終値3万84円15銭)。2月8日に2万9,000円台(終値2万9,388円50銭)に乗せてから4営業日目のスピード上昇でした。やはり「ワクチン期待」、「新規感染者減少歓迎」と見ていいでしょう。

 また、2月14日にWHO(世界保健機関)は「新型コロナウイルスの新たな感染者数が世界全体で減少傾向にある」と発表しています。

 テドロス事務局長は「厳しい感染対策による成果が見られるが、どの国もまだ緩めるべきではない」と警戒を続けるよう呼びかけた上で、WHOがカテゴライズする6地域すべて(※)で減少傾向となっているとしています。

※南北アメリカ大陸を含む「アメリカ」、ロシアを含む「ヨーロッパ」、日本・中国・オーストラリアを含む「西太平洋」、「アフリカ」、「東地中海」、インドなどを含む「南東アジア」。

リベンジ消費期待セクター『レジャー』、『外食』、『旅客』

 ここでは、コロナ感染拡大局面で業績・株価への悪影響が大きかったセクター、「レジャー」、「外食」、「旅客」の銘柄の動きを検証しておきます。

レジャー

ラウンドワン(4680・東証1部)

 ボウリング、ゲーム、カラオケ、時間制スポーツなどの複合レジャー施設を展開。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

リゾートトラスト(4681・東証1部)

 会員制リゾートホテル首位企業です。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

外食

サイゼリヤ(7581・東証1部)

 低価格イタリアン「サイゼリヤ」を直営展開しています。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

王将フードサービス(9936・東証1部)

 関西地盤で中華料理店「餃子の王将」を展開しています。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

旅客(電鉄)

JR東日本(9020・東証1部)

 鉄道最大手企業。首都圏・東日本が地盤です。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

阪急阪神ホールディングス(9042・東証1部)

 阪急、阪神の関西私鉄グループ。不動産、ホテルなども展開しています。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

 日経平均株価が3万円台を回復する中、これらの銘柄も最安値圏にあるわけではありませんが、ここに挙げた例を見ても「外食株」の低迷が際立ちます。

 ただ、1月半ば以降からは明らかに株価反発の動きが見られています。ワクチン接種進展によるこの先の安心感の広がり、緊急事態宣言解除見通しによる経済活動再開期待などがそのトリガーになっていると考えてよさそうです。

 もしかすると、あるかもしれない「コロナリベンジ消費」によって、急な業績や株価の持ち直しの動きがあるだろうと踏んでいる投資家がいるのかもしれません。その場合、より売り込まれた銘柄の反発が大きくなる可能性もあります。

 コロナ禍では、夜の時間帯の売り上げが大きな比率を占める、いわゆる「ナイトタイムエコノミー外食株」が特に売り込まれました。ここでは株価リベンジが期待できそうな外食株の中から10万円で投資可能な銘柄を取り上げます。

 最後に注意点も書き添えておきます。2月15日、居酒屋チェーン中堅の「ヴィア・ホールディングス(7918・東証1部)」は2020年12月に私的整理の一種である事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)の利用を第三者機関の事業再生実務家協会に申請し、受理されたと発表しました。新型コロナウイルスの影響に伴う居酒屋の不振によって財務基盤が悪化したものです。

 同社株は昨年秋以降200円台という「信用不安水準」の動きを続けていました。株価は企業の現状を反映して動いています。極端な低位株にはこのようなこともあると認識してください。

株価リベンジが期待できそうな外食関連10万円株

 株価データは2021年2月17日終値ベース。

クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387・東証1部)

 郊外型ショッピングセンター内にさまざまなジャンルのレストランを出店。ビュッフェレストランやフードコート運営に強みがあります。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

DDホールディングス(3073・東証1部)

 銀座や新宿など首都圏中心に展開。立地や店舗ごとに業態を開発するマルチブランド戦略に特徴があります。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

一家ダイニングプロジェクト(9266・東証1部)

 首都圏で和食居酒屋「こだわりもん一家」、「博多劇場」などを展開。ブライダル事業も手掛けています。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

ハブ(3030・東証1部)

 新宿、渋谷、池袋など首都圏ターミナル駅近くの繁華街を中心に、英国風パブ「HUB」約110店をチェーン展開しています。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

SRSホールディングス(8163・東証1部)

 関西圏地盤の外食中堅企業です。郊外型ファミレス「和食さと」を主力に、回転ずし、総菜店なども手掛けています。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

著者によるこの記事の解説音声はこちら(soundcloudサイト/10分28秒)