投資にリスクは付きものだけど…
投資には「リスク=不確実性」は付きものです。投資信託も元本保証の機能がありませんから、このリスクとの付き合い方を間違えると、どれだけ優良な投資信託を保有しても、思うように資産を増やしていくことができません。リスクが増えると、損失が発生する可能性も高まります。
この損失を軽減するための投資手法として、「分散投資」が知られています。分散投資には、さまざまな金融資産に投資をする「資産分散」と、金融資産を買うタイミング(=時間)を分散させる「時間分散」という二つの手法があります。
今回は、「資産分散」について解説します。
資産分散はどうやるべき?
「資産分散」の重要性を表す教訓として、「卵を一つのカゴに盛るな」という格言がよく用いられます。
これは、持っている卵を一つのカゴに盛ってしまうと(=一つの資産に集中して投資をすると)、カゴを落としてしまったときに卵がすべて割れてしまう(=その資産が下落したときに損失が大きくなる)危険性があるため、複数のカゴ(=資産)に分散すべきという意味です。
この資産分散の効果を体現できるのが、複数の資産(投資先)を組み入れたバランス型ファンドです。
では、ここでクイズです。
過去5年の実際の年率リスクが低かったバランス型ファンドは?
解答:B)eMAXIS バランス(4資産均等型)
5年間年率標準偏差は、Aは10.2%、Bが8.5%です。
あくまでも過去5年の結果ですが、単純にリスク水準だけに着目すると、「8資産均等型」よりも「4資産均等型」の方が低かったということになります。
一見すると、より多くの資産に分散投資していた方がリスクを抑えられそうですが、組み入れ資産の数が多いからといって、投資信託そのもののリスクが一律に低くなるわけではありません。
先述した格言の場合は、より多くのカゴに分散したほうが、すべての卵が割れるリスクを低くできます。
しかし、投資の世界でリスクを下げるためには、単に複数の資産を組み合わせるだけでなく、値動きの方向性の異なる資産、つまり、「相関が低い」資産を組み合わせる必要があります。相関の低い資産の組み合わせなら、たった二つの資産でもリスクを下げることは可能です。
相関って何?
ここで、「相関」についてもう少し詳しく解説しておきましょう。
「相関」とは、統計学の概念で、二つの物が密接に関わり合っていること、すなわち、類似性の度合いを意味します。
「Aの売り上げが伸びたら、Bの売り上げも伸びる」という場合、AとBは「相関が高い」、または「正の相関がある」といいます。
反対に、「Aの売り上げが伸びたら、Bの売り上げは落ち込む」という場合、AとBには「負の相関がある」といいます。
Bの売り上げにさほど影響が出ない場合は、「相関がない」「相関が低い」などということもあります。
つまり、二つの物事や事象が、同じ方向を向いているか、それとも反対の方向を向いているかによって、相関の有無と高低が表されます。
各資産がリターン(利益率)に与える影響は異なるので、どの資産にどの割合で投資するかというのも、リスクをコントロールする上で注意を払う必要があります。
「8資産均等」のバランス型にもリスクはある
実は「8資産均等」のバランス型は、各資産のインデックス型商品を同じ割合(12.5%)で束ねているにすぎません。インデックス型の集合体なので、信託報酬こそ低く抑えられていますが、各資産間の相関が高まると、分散効果が働きにくくなり、結果的にリスクが上昇するという点には注意が必要です。
では、「8資産均等型」は選ばない方がよいのかというと、決してそういうわけではありません。
つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)のように、積み立てで10年単位の時間をかけ、コツコツと資産を作っていきたい、あるいは、それだけの時間をかけられるなら、「8資産均等型」は決して悪い選択肢ではありません。2020年のコロナ・ショックのような特異な状況下では、短期的な基準価額の変動を覚悟する必要がありますが、長期的には相応のリターンも期待できます。まさに「時間分散」との組み合わせで効果を発揮できる、というわけです。
次回は、この「時間分散」について詳しく見ていきます。
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