日経平均株価は30年半ぶりの2万9,000円台へ

 日本では首都圏などに発出された緊急事態宣言の延長、海外に目を向けても新型コロナウイルスの猛威は続いています。景気回復とは程遠い状態です。

 しかしその一方、株式マーケットは元気いっぱいで、2月8日にはついに日経平均株価が2万9,000円台に突入しました。これは実に30年半ぶりのことです。

 今の日本株の動きについて、専門家の間でも「バブルだ」「いやバブルではない」と見解が分かれていますが、客観的に見れば、やはりバブルでしょう。日経平均株価のPER(株価収益率)も、通常は10倍台前半で推移していますが、今や20倍を大きく超えています。

「今がバブルだ」という前提で行動し、バブルでなければ特段問題ありません。でも、「今がバブルではない」という前提で動いた結果、バブルが崩壊したときに大きな痛手を被ります。

 したがって、本当にバブルかどうかを当てることは個人投資家にとってはどうでもよく、それよりは「大きな失敗」を避けることを最重視すべきだと筆者は思います。

バブル相場での立ち振る舞いで最も重要なこととは?

 今がバブル相場だとした場合、いつかはバブルが崩壊します。バブルが崩壊すれば今まで大きく上昇していた株価が軒並み急落し、株を保有し続けていた人は、時に致命的な大ダメージを受けることになります。

 でも、バブル崩壊を怖がっていてはバブル相場に乗れません。ですから、バブル相場でどのように行動するかを、あらかじめしっかりルール化しておくことが重要です。

 バブル相場では、主に次の2点に注意すべきです。

(1)株価が上昇している間は保有を続け、できるだけ利益を伸ばす
(2)株価が下落して、下降トレンドになったら速やかに保有株を売却する

 (1)(2)のどちらも大事なのですが、どちらがより大事かと聞かれたら、(2)と答えます。

 もし(1)がうまくいかなくても、利益を出すことができないだけで終わります。ところが(2)を徹底せずにバブルが崩壊したら、大きな損失につながってしまいます。

 利益が得られなくても自分の資産は減りませんが、損失が生じたら自分の資産は減ってしまいます。ですから、大きな損失を避けることを最優先で考えるべきなのです。

株価のトレンドに従えば利益を伸ばすことも損失を回避することも可能

 バブルが継続する限り利益をできるだけ伸ばす、そしてバブル崩壊の可能性が見えたら速やかに保有株を売却する…。この二つを同時に行うことができるのが、株価のトレンドに従った売買なのです。

「バブル継続=上昇トレンド継続」ですから、上昇トレンドが続く限り保有を続ければ、おのずと利益を伸ばせます。そして株価が下落して、下降トレンドに転じたら速やかに売却すれば、その後バブル崩壊で株価急落となっても、すでに売却済みですから何も心配ありません。

 そして、もし株を売却した後、下落せずに再び上昇トレンドに転じたら、株を買い直せばよいのです。

 ところが、多くの個人投資家はこれができていません。逆に、株価が上昇している途中に保有株を売ってしまったり、株価が下がったところを買い向かったりする、いわゆる「逆張り」を行っています。逆張りの怖いところは、そもそも「安い」と思って買っているので、買った後に株価が下がっても「ますます安くなった」と感じ、損切りの売却をしようと思わないことなのです。その結果最終的には多額の含み損を抱えてしまうことになります。

 例えば1月最終週は日本株が大きく下落し、外国人投資家も日本株を売り越しましたが、個人投資家は逆に大きく買い越しています。これは逆張りしている個人投資家が極めて多いことを表しています。

 確かに今回はそこから株価が再び上昇に転じましたから、よいタイミングで買えたことになります。でも、もしバブル崩壊ともなれば、株価が少し下がった程度の水準で買い向かえば、そこからの壊滅的な下落で、再起不能なほどのダメージを被りかねないのです。

バブルなのに保有株が上がらないときは?

 バブル相場だからといって、何でもかんでも株価が上昇する、というわけではありません。バブル相場によっては、2000年前後のITバブルのように一部の銘柄だけ大きく買われるようなものもありますし、足元のバブル相場のように、成長株→ハイテク株→景気敏感株→コロナ悪影響株、というように買われる銘柄群が移り変わるものもあります。

 そのため、日経平均株価が上昇しても自分の保有株が上がらない、時には逆行して値下がりしてしまう、ということがよくあります。

 この時の対処法はいくつかありますが、筆者は「上昇トレンドにある銘柄や業種」を見つけ、そちらに乗り換えることが多いです。

 そしてこのためには、できるだけ多くの銘柄の株価チャートを定期的にウオッチしておくことが必要です。

 例えば成長株中心に投資していると、2020年11月以降はかなり厳しいと思いますが、成長株だけしかチャートをチェックしていない、もしくはそもそもチャートをあまり見ないと、「変化」に気づくことができません。今まで強かった成長株が急に弱くなった、ということしか分からないのです。

 でも、成長株だけではなく、ハイテク株、割安株、景気敏感株、コロナ悪影響株など、いろいろな銘柄の株価チャートを毎日ウオッチしていると、間違いなく変化に気づくことができます。直近であれば、成長株が弱い代わりに、景気敏感株やコロナ悪影響株が買われている、と。

 バブルがいつまで続き、いつ終えんするかは誰にも分かりません。だとすれば、難しく考えることは何もないのです。バブルが続いている間はそれに乗り、株価が下がり始めたら売る…といった、簡単かつ単純なルールで行動することが、失敗を避け、成功の可能性を高めることにつながるはずです。