本日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは106.05円
↓下値メドは104.60円
ファンダメンタルズではない、株式市場を支えるのは「流動性」
クリントン政権で財務長官、その後オバマ政権で国家経済会議議長を務めたラリー・サマーズ氏は、バイデン大統領が提案する1.9兆ドル(約200兆円)の大型景気刺激策が、「現世代が経験したこともないようなインフレを引き起こすおそれがある」と警告しました。
これに対してイエレン財務長官は「(インフレは)対処可能」だとして、それよりも大きなリスクは「十分な行動をしないことだ」と反論。バイデン景気刺激策が完全に可決されたならば、「米国は2022年には完全雇用に戻る」との見解を示しています。
イエレン財務長官も「景気刺激策がインフレを引き起こす可能性がある」と認めています。しかし「毎日倒産していく中小企業の数を考えると、取るに値するリスクだ」と述べています。
ということで、米経済は、金融緩和と財政刺激策の「フルスロットルで行こうぜ!」状態。
週明け8日(月曜)のドル/円は、下落。105.32円でスタートして、欧州時間に105.67円まで上昇しましたが、先週5日(金曜日)の米雇用統計の発表前につけた年初来高値105.77円には届かず。その後105.14円まで押し戻され、105.22円でこの日を終了。終値の105円台は4営業日連続。
コロナ禍で株価最高更新のなぜ? 次ページをご覧ください。
主要指標 終値
今日の一言
努力した者が成功するとは限らない。しかし、成功する者は皆努力している – ベートーベン
「実態経済」が先か、それとも「株価」が先か
8日(月曜)の東京株式市場で日経平均株価は、1990年8月以来30年6カ月ぶりに29,000円を突破し、バブル崩壊後の最高値を更新した。米国株式市場ではダウ平均は6日続伸し、史上最高値を更新。
世界の投資家を悩ませている最大の「謎」。それは最悪の経済と株価のかい離です。世界経済は悪化しています。良い方向に向かうという「希望」はありますが、足許の経済が改善しているわけではない。米国では「中小企業が毎日倒産している」とイエレン財務長官は憂慮しています。それなのに、なぜ株価が史上最高値か、あるいはそれに近い水準で取引されているのか。
コロナウイルスの感染大流行によって、世界経済は数百年ぶりとはいわないまでも、この数十年間で最も急激かつ深刻な同時不況に陥った。それにもかかわらず世界の株式市場は高値を更新し続けている。
今月発表された米国の1月雇用統計では、失業率は6.3%で高止まりするなか、NFP(非農業部門の雇用者)はわずか4.9万人の増加にとどまっています。しかしマーケットはまったく心配していない。むしろ「悪くてよかった、その方が景気対策はデカくなる。」今日の経済が悪いほど明日の経済回復は強くなるという超前向きの理屈で、株価が上昇しているわけです。
世界株高の原動力はマーケットの超ポジティブ思考ですが、それを支援しているのが世界の主要中央銀行と中央政府による金融・財政支援であることは間違いない。FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は、「予測できる将来にわたって、FRBは低金利政策を継続する」と言明しています。一方でバイデン政権は、日本の国家予算(一般会計)に相当する規模の景気刺激策を実施しようとしている。「利息ゼロの預金をするくらいなら株を買え」と解釈できます。
しかし好景気と低金利は永遠に続かない。景気が回復しないというおそれは薄れましたが、一方でインフレ急上昇のリスクが高まっています。サマーズ前財務長官もバイデン景気刺激策が過去30年以上経験したこともないような狂乱物価を招くと警告を発しています。
株高が流動性(緩和政策)によってつくりだされたとするなら、中央銀行が流動性を止めたときどうなるか。株価に実態経済が近づくよりも先に、株価が実態経済に近づくことも起こりえます。
今日の注目通貨
ドル/円: 今週の予想レンジ:下104.13円、上106.44円
今週のドル/円のピボット(ブルベア判断の分かれ目)は105.29円。105.29円より上ならばドル買い優勢、105.29円より下ならばドル売り優勢。
106.89円 : 第4レジスタンス(HBO)
106.70円 : 2020年 平均値
106.55円 : 2020年 09月 高値
106.44円 : 第3レジスタンス
106.11円 : 2020年 10月 高値 (10月07日)
106.00円 : 第2レジスタンス
105.87円 : 第1レジスタンス
105.77円 : 2021年 02月 高値
105.68円 : 2020年 11月 高値
105.29円 : ピボット
104.71円 : 第1サポート
104.61円 : 2021年 02月 安値
104.57円 : 第2サポート
104.19円 : 2020年 07月 安値(07月31日)
104.13円 : 第3サポート
104.00円 : 2020年 09月 安値
103.69円 : 第4サポート(LBO)
103.18円 : 2020年 11月 安値
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