今週の予想

三空天井が完成して、彼岸底となるためには、NYダウのさらなる下落が必要

 先週の日経平均株価は、高値警戒感の中、NYダウ平均株価の大幅下落をきっかけに、26日(火)に▲276円、28日(木)に▲437円、29日(金)には▲534円と3日間で1,000円を大きく超える下落となりました。

 日経平均はすでに1月上旬、米大統領就任式の20日から2月上旬の節分までに、「もうはまだなり」の相場格言に沿って、当面の天井を打つことを想定していました。

「節分天井、彼岸底」は節分(2021年は2月2日)の前後に目先の天井をつけて下落となり、押し目を探して3月上旬ごろに底打ちとなるという相場格言です。

 ザラ場では、1月14日が天井ですが、終値ベースでは、25日(月)の2万8,822円が1990年3月以来の高値水準で、節分(2月2日)の1週間ほど前となります。

 これで当面は天井となって、3月上旬に向けて底打ちの動きとなるかどうかはチャート(柴田罫線)の型がまだ不十分です。

 三空天井(三つの窓を空けて天井を作る)の後、第3空目のスタートである終値での1月4日の2万7,258円を下に切る必要があります。より確実には1月4日の安値2万7,042円ですが、そうなると三空天井が完成して売り転換の型となります。これが完成するには日本株の流れでは無理で、NYダウがさらに大きく下げて、後押しする必要があります。そうなると日米同時の調整入りとなります。

 先週は、1週間で1,000円以上もの大幅下落ですが、NYダウ次第ではスピード調整か、日柄調整が終わって再上昇も考えられなくもありませんが、すぐには高値更新の動きにはなりにくいと思われます。本格的な調整は高値から8%の調整となるのが経験則ですので、2万7,000円を切るのが一つのポイントとなり、次は2万6,000円水準まであれば安心して買えるところとなります。

 リスクをとれる人は現水準で、まだ下に1,000円の下げは覚悟して買うところかもしれません。ただし、銘柄によっては何回かに分けて買い下がることになります。

 これまで、悪材料を無視して好材料だけに目を向けて、日経平均は上昇してきた面があります。これがバイデン米政権になって通常になり、悪材料があるときは、これを織り込みながらの上昇となります。

 新型コロナウイルスの今後の感染動向は、まだ予断を許しませんが、世界的金余りの中で、株価がある程度支えられながら、世界が経済回復へと復帰するシナリオが描けるものと思われます。

相場格言:いつまで続く上昇相場「まだはもうなり」「節分天井、彼岸底」って何?

 2020年末から2021年の初めにかけて、世界中の金余りの中で、ファンドを通じ株式に資金が流入し、予想を大きく超える上昇となっています。バブルのピーク時に見られるような、買い遅れまいとする投資家が浮き足立って買いに走っているという面があるかもしれません。上がり続ける株はありませんので、どこかでいったん急落調整に入る可能性も考えておいた方がいいかもしれません。

 2020年12月初めごろは、トランプ米大統領(当時)とバイデン次期大統領(同)の絡み合いから政治不安もあり、ほどよく株価が休みを入れながら4月ぐらいまで上昇するシナリオも考えていましたが、ここにきて年末、年始の異常な上昇は相場水準を無視しているのも事実です。

 目先の事例として、ビットコインの価格が2019年10月初めごろは100万円前半でしたが、2020年12月に200万円を超え、2021年に入って300万円超え。その後430万円まで上がって、1月12日の早朝に▲20%超えの340万円まで暴落しました。

 相場の格言の中には、相場の上下動のリズムを表してあるものがあります。この時期は「節分天井、彼岸底」という相場格言があります。米相場に由来していますが、節分の時期(2月上旬)に高値をつけ、彼岸の時期(3月中旬)に安値をつける習性を表したものです。

 日本企業の2020年10-12月期決算が2月2日の節分前後までに発表され、よくても悪くても一区切りつくところで、下げのきっかけになってもおかしくありません。2月初旬までは注意しておくのがよいでしょう。全員が強気になっているからこそ注意です。

今週の指標:日経平均株価

 今週の日経平均は、三空天井の型が完成するかどうか、NYダウの動きにかかっています。チャート(柴田罫線)で見えるように(1)(2)(3)と三空を形成して、ザラ場では1月14日に2万8,979円、終値では25日に2万8,822円と昨年来高値をつけており、ここからの下げが三空天井の成立には不足しています。2万7,258円、もしくは1月4日の2万7,042円を終値で切ると本格調整の可能性もありますが、下げが中途半端ならスピード調整や日柄調整で終わることもあります。すべて今後のNYダウ次第となります。

今週の指標:NYダウ平均株価

 先週は、高値圏での警戒感が強く、悪材料に大きく反応する相場になりました。

 週半ばの1月27日(水)は、ヘッジファンドの空売りが多い「ボロ株」が急騰し、投機的な色合いが強くなり、損失を受けたヘッジファンドが投売りをし、NYダウは▲633ドルと大幅下落。28日(木)は+300ドルとリバウンドしたものの、週末の29日(金)は、スマホ証券アプリ「ロビンフッド」を運営する、ネット証券のロビンフッド・マーケッツが急騰銘柄の売買制限をしたかと思うと、すぐにこれを緩和。ファンドなどが市場の混乱を懸念し、NYダウは▲620ドルの2万9,982ドルと昨年12月14日以来の3万ドル割れとなって、チャート(柴田罫線)では1回目の売り転換が出てきました。11月13日の2万9,203ドルを切ると調整が長引く可能性があります。

 今週のNYダウ平均株価は、引き続き、ロビンフッドの動きに示されたように投機の過熱状況や流動性リスクに注意が必要となります。

 一方で、ワクチン普及が進めば相場にはプラス要因となります。ただし、雇用情勢は新型コロナウイルスの感染拡大が止まらないために、経済活動が停滞しているままとなっています。

今週の指標:ドル/円

 今週は、リスク回避のドル買いが継続する可能性が高いと思われます。

 1月の米雇用統計が弱ければ株は売られ、リスク回避のドル買いが続く可能性があります。今後、経済指標や企業業績がクローズアップされる見通しのため、株式市場が悪化すれば、リスク回避の円高が高まることになります。

 また、ECB(欧州中央銀行)からユーロ高のけん制発言が相次いでいるため、ユーロ売り・ドル買いも継続しそうです。

先週の結果

1週間で約1,200円の下落。節分天井、彼岸底の格言となるのか

 先週の予測では、決算が始まり、様子見となりそうなため一進一退の動きを想定しました。日経平均は、4週連続の陽線となっており、2万9,000円を前に上値の重い展開が続き、上に行くには、いったんスピード調整なり日柄調整が必要なところでした。

 すでにチャート(柴田罫線)での上昇の仕方を見ると、「ろく買」という買い法則が3回連続で出来上がっており、一般的なチャートでは三空天井という型になってきています。

 そこで先週「当面は、『上げ続ける相場はない「節分天井、彼岸底」』などの格言を念頭においての投資行動になる。用心して買わずに、儲(もう)け損なっても実害はないのであるから、無理して買って大きく損をするよりは、いいことだと前向きに考えるべきところです」とコメントしました。

 そして、先週は結果的に大きな下落が3回あり、26日(火)の▲276円、28日(木)の▲437円、29日(金)の▲534円と1週間で約1,200円の下落となりました。これは決してまぐれの予測ではありません。予測は占いではなく、いくつかのシナリオを作って、相場環境を考慮しながらのコメントだからです。