本日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは104.85

下値メドは103.65

風に戸惑う弱気な僕

 相場がどんどん上がり続けていると、そのうちに嬉しさよりも不安が大きくなって、「下落はいつ起きてもおかしくない」と誰もが言い始めます。そこまでわかっているのに、実際に下落するとパニックになってしまうのはいつものパターン。ただ今のところ、27日のNY株急落は個別株の問題で、市場全体に異変なしという意見で一致。パニックにはつながっていません。

 28日(木曜)のドル/円は104円前半で横ばい。104.12円でオープンして安値は104.03円。海外時間に104.46円まで上昇、今年の高値を更新しました。終値は104.26円。

 1月FOMC(米連邦市場委員会)はノー・サプライズで終わりました。パウエルFRB議長からも予想外の発言はなし。「緩和縮小は時期尚早」ということで株式市場は少し安心しましたが、一方で「米経済や雇用市場の回復に陰りが出てきた」と指摘。12月FOMCの時より弱気になったパウエル議長に投資家は不安になったかもしれません。

 周りを見渡すと、バイデン大統領の景気刺激策は遅れそうだし、コロナ変異種の感染も確認されている。FOMCという大きなイベントが過ぎたところで、良い材料を積極的に織り込んでここまで上ってきた相場の本格調整がおきる可能性もあります。

主要指標 終値

出所:楽天証券作成


ドル/円 1時間足チャート

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

今日の一言

過去の記憶があなたに喜びを与えるときにのみ、過去について考えよ 

※2月1日(月)の為替Walkerは、休載です。

株安でドル高はなぜ? 

 2020年、新型コロナが世界を襲いNYなど米国の主要都市が次々とロックダウンされていくなかで、投資家は現金(ドル)が手元になければパンも買えないし、逃げ出すための車のガソリンも買えないとパニックになって株券の換金を急ぎました。「リスクオフはドル高(円安)」という関係になったのはこの時からだと記憶しています。それまでは長い間、「リスクオンはドル高(円安)」という関係が存在していました。

 ところが、昨年12月にコロナワクチンの開発が成功し供給が始まると、世界経済回復の期待から「リスクオンの時はドル安(円高)」という関係にかわりました。なぜリスクオンでドル安かというと、パンもガソリンも普段通り買えて安心したので投資活動が再び活発になり、米国に一極集中していたマネーが他の地域へと分散投資されたというわけです。

 その関係でいうと、今はその逆、株価が下がり投資家のセンチメント(投資意欲)が下がる状態の「リスクオフ」だから「ドル高」になるわけです。

ユーロはやっぱりダメか?

 ユーロ安に関しては、ドル高だからという理由以上に、ユーロ自身の問題があります。欧州ではコロナ感染拡大が止まらず、ドイツはロックダウン延長、フランスも再ロックダウンは時間の問題といわれています。一方でワクチン展開は遅れが目立っています。フランスのパリでは在庫不足のために接種を中止。そんな状況なのに、イタリアではコンテ首相が辞任して解散総選挙をしようとしている。マーケットが称賛した欧州復興基金は設立したものの、内部の政治的対立で潤滑な運用は困難との見方。

 FRBのパウエル議長は、必要ならば追加緩和も検討すると述べました。それとは対照的に、ラガルドECB総裁はパンデミック緊急購入プログラムを全額使い切る必要はないと表明。それ今言うこと?とマーケットは疑問に思っています。ユーロ高が進むと「ECBは追加利下げの用意がある」と口先介入で対応しましが、そのせいで、ただでさえ地合いの悪い株式市場で欧州銀行株が急落するという事態になっています。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作