1.ダイナトレース(DT)
2.アクティビジョン・ブリザード(ATVI)
3.リンデ(LIN)
4.チェグ(CHGG)
5.ペプシコ(PEP)

 今回も、足元で10-12月期決算を公表し、市場予想を上回る着地となり、かつ市場平均の目標株価と乖離(かいり)がある銘柄(日本時間2月12日時点)を5つ取り上げます。

1.ダイナトレース(DT):クラウドネイティブのインテリジェンスプラットフォームを提供。黒字転換へ

 クラウドネイティブのインテリジェンスプラットフォームを提供。サブスクリプション型。業務システムのパフォーマンスをリアルタイムで監視し、システムの安定稼働と問題の早期発見・解消につながるサービスを提供。AIにより、運用やシステムの監視・分析の業務を大幅に自動化する。

 規模はまだ大きくなく、2020年3月期の売上高は5.5億ドル、損益は赤字。顧客数は2,700社。ただし、直近の決算である2021年3月期3Q累計の業績は、売上高5.1億ドル(前年同期比28%増)、営業損益は黒字転換し0.7億ドルとなった。経費の減少などが黒字に寄与したが、市場予想では、2021年3月期以降も黒字幅が拡大する見通し。顧客は銀行、保険のほか、小売りや製造業、旅行サービス業であるため、コロナ禍を過ぎれば開拓余地が広がる可能性がある。

2.アクティビジョン・ブリザード(ATVI): デジタル化戦略で、10億人のアクティブユーザーを獲得へ

 ゲーム開発大手。代表作は「Call of Duty(コール オブ デューティ)」。2020年12月期業績は、売上高81億ドル(25%増)、営業利益27億ドル(70%増)に拡大。「Call of Duty」のデジタル化を進めており、プレミアムコンテンツやモバイル版、無料版、公式eスポーツリーグ「Call of Duty League」の展開で収益が拡大。月間アクティブユーザー数は約4億人となったが、会社側は10億人のアクティブユーザー獲得を目指す。アプリゲームの「Candy Crush」も、米国のアプリで再び売上高トップになるなど堅調。

3.リンデ(LIN):不透明な環境下でも値上げできる実力。株主還元に積極的

 産業ガスで世界首位。ドイツのリンデと米国のプラクスエアが統合した企業で、本部所在地は英国。酸素や窒素などの大気ガス、ヘリウムや水素などのプロセスガスを製造。販売先は製造業、ヘルスケア、食品企業まで幅広い。

 2020年12月期の売上高は272億ドル(3%減)、営業利益は33億ドル(13%増)。マクロ環境の悪化を受けて減収になったが、すべての地域で値上げできたもようで、価格は2%上昇した。値上げ効果で利益率が上昇し、営業利益は2桁増。会社側は2021年12月期の見通しについて「マクロ環境には不透明感があるが、それとは関係なく、EPS(1株当たり利益)の2桁成長を達成する能力がある」とコメント。仮に新型コロナ禍が終息すれば、値上げに加え数量増による増益効果にも期待が持てる。

 株主還元に積極的で、配当を10%増額し、新規で50億ドル規模の自社株買い計画を公表した。

4.チェグ(CHGG):値ごろ感のあるオンライン教育をサブスクリプション型で提供し需要を掴む

 高校生・大学生向けに、オンライン版テキストの販売、宿題やエッセイの作成サポート、大学の奨学金情報の提供サポートをオンライン上で提供。学生の間で認知度が高く、サポートサービスのサブスクリプションユーザー数は年率29%で拡大している(感染予防対策の特需が発生する前の2015~2019年の期間)。

 2020年12月期業績は、売上高が6.4億ドル(57%増)、営業利益0.6億ドル(3.2倍)に拡大。サブスクリプションユーザー数は67%増の660万人まで増加した。2021年12月期は、感染予防対策の特需が一巡するものの、会社側は売上高が7.8億~7.9億ドルに拡大すると見込んでいる。

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5.ペプシコ(PEP):食品がリスク分散効果を発揮。49期連続の増配へ

 飲料のほか、スナック菓子やオートミールなど食品事業も展開。2020年12月期は売上高703億ドル(5%増)、営業利益101億ドル(2%減)で着地。炭酸飲料の飲用機会が減り厳しい環境だったが、食品が需要を取り込み、減益幅を抑えることができた。なお、4Qは、オートミールを展開するQuaker Foods North Americaに加え、北米の飲料事業も増収となり、営業利益は5%増益を達成した。会社側は、2021年12月期について増収増益を見込んでおり、EPSは一桁台後半の成長となる見通し。株主還元に積極的で、5%の増配を発表。これで49期連続の増配となる。