新契約価値、20年に減少も21年には2桁増を回復へ

現地コード 銘柄名
01336

新華人寿保険股フン有限公司

(ニュー・チャイナ・ライフ・インシュアランス)

株価 情報種類

32.75HKD
(1/21現在)

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 BOCIは新華人寿保険の20年12月通期の新契約価値(NBV)に関する予想を4%下方修正し、前年比8.1%減に設定した。保障型商品の10-12月期の需要が思わしくなく、新たな事業戦略に影響したため。ただ、続く21年のNBVの伸びは前年比15.4%に達し、同業他社を上回ると予想。初年度保険料の力強い伸びやNBVマージンの回復も期待できるとした。最近では劉浩凌会長が辞職したが、この点に関して懸念はなく、経営戦略にも変化はないとの見方。最近の元高トレンドや投資利回りに関する楽観見通しを反映させる形で目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 BOCIは20年の予想NBVを減額し、うち下期の予想値を前年同期比3.1%減とした。10-12月に保障型商品の需要が低迷したためだが、その半面、NBVマージンの悪化リスクは低く、この点が下方修正幅を抑えた。21年以降に関してはNBVの伸びを楽観し、21-23年にそれぞれ前年比15.4%増、17.0%増、14.2%増を予想。同時にNBVマージンの改善と、初年度保険料の安定推移を見込む。

 中国の保険会社にとっては例年1-3月が「開門紅」と呼ばれる最大の稼ぎ時となるが、20年12月に始まった同社の「開門紅」キャンペーンは好調。1月には第2弾に突入し、外交員らは、より利幅の高い商品に照準を合わせている。年金保険などの貯蓄型商品から、重症疾病保険に焦点を移したという(重症疾病保険は1月31日付で定義・罹患(りかん)率データが更新されるため、既存商品の駆け込み販売を強化)。また、新人を中心とした外交員の生産性の改善が、同社の「開門紅」キャンペーンにおけるもう一つのけん引役。同社の外交員数は20年9月時点で56万人超と、19年末比で10%増加した。

 1月20日には非執行取締役を兼任していた劉浩凌会長が辞任したが、BOCIはこの点に懸念はないとの見方。中核となる経営陣の顔ぶれが変わっていないため、短期的には、同社の「デュアルフォーカス戦略」(資産・負債を両輪と位置付け、規模と価値の拡大を目指す)にも影響しないとみている。

 BOCIは総収入保険料に関する想定値の引き下げを受け、20-21年の予想EPS(1株当たり利益)を2%減額修正。半面、22-23年に関しては運用収益に関するより楽観的な見通しを理由に、予想EPSを2-6%引き上げた。また、PBR(株価純資産倍率)と株価EV倍率(EVは生保会社の企業価値を示す指標エンベディッドバリュー)のウエートを各75%、25%とする加重平均を用いて目標株価を算出。株価の先行きに対する強気見通しを継続した。同社株の再評価を後押しする要因として、「開門紅」キャンペーンの好調を受けた収入保険料の伸びや、中国での新型コロナウイルス感染再燃の早期収束を指摘。一方、評価の引き下げにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、国債利回りの上昇、予想を上回る外交員の離職、国内での新型コロナの感染再燃を挙げている。