株価上昇に伴い「10万円株」は減少⁉
全般の株価上昇に従って「10万円株」は減少していくことになります。株価上昇は喜ばしいことですが、その半面、投資がしやすい低位株が少なくなるのは残念と感じる個人投資家もいらっしゃるでしょう。
もしこのまま一本調子で全体相場が上昇していくと、投資単位のくくり直し(100株単位から10株単位への変更など)や株式分割が相次ぐ状況にならなければ、極端に業績が悪い銘柄や、流動性が乏しく投資家が避ける銘柄を除き、投資対象となる「10万円株」がさらに減ることも覚悟しなければなりません。
仮にそうした時が到来したとして…「もっと早く保有しておけばよかった」とじだんだを踏むことがないようにしたいところです。
ところで、よく耳にする株式市場の話題のひとつとして「日経平均株価の上昇がTOPIX(東証株価指数)よりも速い」があります。
「日経平均株価」も「TOPIX」も日本を代表する株価指数ですが、日経平均株価は日本経済新聞社が東証第一部に上場する銘柄から225銘柄を選定し構成しています。これに対し、TOPIXは東京証券取引所が東証第一部上場株の時価総額の増減を指数化しているものです。
225銘柄VS全銘柄、どちらが市場の実態を表しているかは言わずもがなですが、投資家の視点では、そうしたことよりも「日経平均株価の上昇ピッチが速いこと」を重要視すべきでしょう。本当に日経平均株価はTOPIXよりも上昇しているのでしょうか?
株式相場が一段高となった昨年11月以降(2020年10月30日終値→2021年1月19日終値)を検証すると、日経平均株価の上昇率は「24.6%」でTOPIXのそれは「17.5%」でした。確かに日経平均株価の方が上昇しています。ここからは日経平均を構成する「225銘柄」が全体より買われたという理解が可能となります。
・日経平均株価の3カ月日足チャート(2020年10月30日~2021年1月20日)
・TOPIXの3カ月日足チャート(2020年10月30日~2021年1月20日)
特段の存在感がある『日経平均採用銘柄』
日経平均株価は構成225銘柄の株価を平均して算出(正確には継続性を保つための「除数」で割って算出)されていることから、株価が5ケタなどの“値がさ株”の株価動向に影響を受けやすくなります(=値がさ株の多くは日経平均構成比が高い)。
以下は日経平均構成比が高い銘柄ベスト10です(2020年11月時点)。
- ファーストリテイリング(構成比約12%)
・1年日足チャート
- ソフトバンクグループ(同5.5%)
・1年日足チャート
- 東京エレクトロン(同4.5%)
・1年日足チャート
- ファナック(同3.5%)
・1年日足チャート
- ダイキン工業(同3.4%)
・1年日足チャート
昨年3月のコロナ安後の上昇が目立つ銘柄が多いです。これら高い構成比の銘柄が日経平均の上昇を先導したことが分かります。それにつれて、日経平均株価への注目度がさらに高くなったことが想定されます。
個人投資家は個別銘柄を選別する投資が中心ですが、機関投資家の運用、中でも株価指数に準じた成果を目指すインデックス運用は、(日経平均型だと)日経平均株価の構成比に応じて225銘柄すべてを保有するスタイルです(注:個人投資家もETF[上場投資信託]などを通じてほぼ同様の投資は可能)。
この視点からは、日経平均採用銘柄には、その企業の業績動向や一般的な知名度を超えた存在感があることがわかってきます。やはり東京市場を代表する銘柄ということなのです。ここでは日経平均採用銘柄の中から足元の株価の動きが好調、かつ10万円で投資可能な銘柄を紹介します。
10万円で投資できる日経平均採用銘柄
株価データは2021年1月20日終値ベース。
東レ(3402・東証1部)
日本を代表する化学繊維メーカーです。炭素繊維複合材で世界首位。電子材料、水処理膜など幅広い事業を展開しています。
・1年日足チャート
フジクラ(5803・東証1部)
電線大手企業の一角です。スマホなどに使用されるFPC(フレキシブルプリント基板)で世界シェア約1割を握っています。
・1年日足チャート
日立造船(7004・東証1部)
ゴミ焼却発電施設など環境・プラントを柱に船舶用機器などを展開しています。環境関連株として注目され、足元、急上昇している銘柄です。
・1年日足チャート
マツダ(7261・東証1部)
中堅自動車メーカー、トヨタ自動車と資本提携しています。コロナ禍による販売落ち込みからの回復、欧州で先行発売したEV(電気自動車)が注目されています。
・1年日足チャート
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306・東証1部)
三菱UFJ銀行を核として銀行、信託、証券、カード、リース等を擁する国内最大の民間金融グループです。2021年4月をメドに新事業本部を設け、リテールを軸にデジタル化を加速させる方針です。
・1年日足チャート
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