A株IPOに伴う再評価に期待、IGBTなど新規事業が長期成長エンジンに

現地コード 銘柄名
03898

株洲中車時代電気

(CRRCタイムズ・エレクトリック)

株価 情報種類

41.15HKD
(1/14現在)

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 BOCIは工業銘柄全体の反発やA株IPO(新規公開株)計画を理由に、株洲中車時代電気を有望視し、工業分野における21年上期の最も有力な選択肢になるとしている。特に上海証取のハイテクイノベーション・ボード「科創板」に重複上場する計画が、同社株の再評価につながるとの見方。A株投資家は有力テクノロジー企業を高く評価するために、香港上場の同社H株に比べたプレミアムバリュエーションが期待できる状況にあり、A株IPO前の段階で、H株の再評価の余地が大きいとみる。また、同社のファンダメンタルズは引き続き堅調で、かつ安定的。さらに長期的には、電気自動車向けの電力制御システムの供給や、IGBT製品(IGBT=絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ:電源電力の制御や供給を担う半導体素子の一種)の適用範囲の拡大などが成長エンジンとなる見込み。BOCIは目標株価の算出ベースを21年予想PER(株価収益率)に切り替えたのに伴い、目標株価を引き上げ、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。

 BOCIが有力な投資選択肢として同社を評価するのは、事業環境の点から同業銘柄と同様に再評価が期待できる状況にあり、A株IPO計画が存在するため。米制裁リスクの後退を受け、多くのインフラ銘柄が反転上昇に転じたが、同社は中国中鉄(00390)と同様、もともと制裁リストに掲載されず、この点でも安心感が強い。さらに堅調なファンダメンタルズや魅力的なバリュエーションも再評価につながる要因だが、同社の場合、何よりもA株IPO計画が大きな支援材料。H株企業がA株重複上場に動く場合、IPOの値決めや上場時よりかなり早い段階から、H株の再評価が進むのが通例。A株株価は通常、H株に対してプレミアム水準にあり、A株上場がH株の再評価に直結しやすい。

 IGBTの第2生産ラインはすでに試運転を行っており、21年上期中に商業運転を開始する見込み。このラインは電気自動車向けの低出力IGBT製品の生産を目的とする。年産能力は電圧800-1,200Vの製品を24万台規模。これは第1ラインの2倍に当たる。

 主力事業を見ると、高速鉄道あるいは機関車向けの新規受注は21年に前年並みとなる見通し。ただ、地下鉄向けの受注は大幅増が見込まれ、輸送システム事業の成長をけん引する可能性が高い。同社は国内の地下鉄輸送システム市場で60%超のシェアを握る最大手。一方、まだ初期段階にある電気自動車向けのIGBTや電力制御システムなどの新規事業は、この先の成長エンジンとして期待が大きい。

 BOCIは同社の現在株価が21年予想PERでわずか13.3倍と、依然魅力的な水準にあるとの見方。利益見通しを据え置きながらも、目標算出基準を20年予想から21年予想に切り替えたのに伴い、目標株価を引き上げた(従来と同様、予想PER16.5倍を適用)。元高効果が目標株価引き上げの一因という。一方、潜在的なリスク要因としては、新規事業の開拓に伴う短期的なコスト増を挙げている。