テスラが暴落しない限り、バブル相場は継続する
現在、米国では1ドルのGDP(国内総生産)成長を生み出すために7ドルの政府支出が行われている。そして、世界のGDPの0.7%にあたる流動性が毎月追加されているのである。
世界のGDPの0.7%にあたる流動性が毎月追加されている
そうしたバブル状況の中、人々を驚かせているのがビットコインの上昇である。現金の価値が劣化し、まるでハイパーインフレが起きているかのような上昇である。
ビットコイン/円(日足)
元ブリッジウォーターのアナリストは、「ビットコインはほぼ確実に別のバブルにあり、現在の成長率は持続可能ではありません。2021年が2020年のように判明した場合、ビットコインの時価総額は流通しているすべての米国通貨よりも大きくなるだろう」(1月12日 ゼロヘッジ)と警鐘を鳴らしている。また、英国の金融監督当局は、最近の暗号資産(仮想通貨)ブームに乗じて利益を得ようとしている人々に対し、全てを失う覚悟をするよう強く警告した。
ビットコイン相場と過去のバブル相場
一方、株式相場で話題をさらっているのはテスラである。テスラ株の上昇を受けて、CEOのイーロン・マスクの資産が増し、ブルームバーグ・ビリオネア指数の番付で米アマゾン・ドット・コムのCEOのジェフ・ベゾスからトップの座を奪ったと報道されている。
米株式市場の「バブルの指標銘柄」はテスラである。テスラが暴落しない限りは、バブル相場は継続するだろう。
テスラ(日足)
西暦の末尾1の年のNYダウのサイクル
先日の「楽天証券新春講演会」でも述べたが、1950年以降の西暦の末尾1の年のNYダウの年間の上下動を簡略化すると、下の図のようになっている。相場は1月から5月末まで上げて6月に反転し9月末まで下げるというのが大きな特徴だ。
1950年以降の西暦の末尾1の年のNYダウの年間の上下動のイメージ
上記の相場サイクルが今年の株式相場の大まかなイメージであるが、1月相場を細かく見てみよう。相場のアノマリー研究で著名なジェフリー・ハーシュの分析によると、1月相場は1月11日を境に軟化することが多い。
1月相場の過去21年の軌道 (ジェフリー・ハーシュ)
そして、次のグラフは、1933年以降の大統領選挙後の米国株式市場のサイクルパターンを示したものである。茶色で表しているのが、現職が勝利し2期目が決まったケースである。株式市場は選挙後に下落するものの、年が変わって1月に入ると上昇に転じ、その後、夏から秋に向けて緩やかに上昇する傾向が見て取れる。一方、政権交代が起こり1期目の大統領が誕生するケースは緑で示されている。その場合、選挙後はお祝いムードで上昇するものの、1月にいったんピークをつけ、その後はほぼ一貫して軟調な動きとなっている。実際、現在の相場はちょうど1月のピークをつけるところにある。
大統領選挙後の株式市場サイクルパターン(緑:1期目の場合 茶:2期目の場合)
筆者はこのようなアノマリー(経験的に観測できるマーケットの規則性)だけで相場のポジションをとることはない。しかし、こうしたアノマリーとテクニカル分析が一致すると、相場は大きく動くことが多い。
米長期金利の上昇とドル相場
政府の赤字を賄うために、FRB(米連邦準備制度理事会)はこれまで金利を抑制してきた。金利をインフレ率以下にしておくという金融抑圧政策である。他の中央銀行も同様に金利を抑制しており、FRBよりも債券市場をゆがめ、マイナス金利で国債を買い入れることまで行っている。FRBはそこまではしていないが、国債の資金調達コストが上昇し始めている兆しがある。
米国債10年債の利回り
現在、この米国の金利上昇がドル安相場にブレーキをかけている。
ユーロ/ドル(日足)
ドル/スイスフラン(日足)
豪ドル/ドル(日足)
もっとも、過去20年のユーロのシーズナリーチャートを見ると、1~2月はドル買いの時期でユーロを買うには適していない時期である。
ユーロのシーズナリーチャート
現在のユーロ/ドル相場はADXも標準偏差もピークアウトしており、典型的な調整相場となっている。次のトレンド待ちの状況だ。
ユーロ/ドル(日足)
1月13日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」
1月13日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、今中能夫さん(楽天証券経済研究所チーフアナリスト)をゲストにお招きして、「半導体市場の激変!」・「サイクルで見る年間相場2021年は!?」というテーマで話をしてみた。ぜひ、ご覧ください。
今中能夫さん注目の半導体株
昨年の番組で取り上げた大手金融株が自社株買い観測で急上昇
ラジオNIKKEIの番組ホームページから出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。
1月13日: 楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
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