日経平均株価が30年ぶりの高値に!

 日本株の上昇が止まりません。1月8日には日経平均株価が大幅高となり2万8,000円を突破、実に30年ぶりの高値をつけました。

 巷(ちまた)では、日経平均株価は5万円を目指す、いや10万円だ、というような威勢のいい声も聞かれます。

 また、今話題になっているのが暗号資産(暗号通貨)の上昇。特にビットコインは400万円を突破し、いったいどこまで上昇するのか、という感じです。

 このように、株価も暗号資産も大きく上昇、一方で足元は再び緊急事態宣言が発出されるなど、新型コロナウイルスの影響がまだ続いていて、景気は最悪、という状況です。まさに今はバブル相場である、という認識をまず持つ必要があるでしょう。

株価が大きく上昇するとボラティリティーが高くなる

 株価が大きく上昇してバブル気味になった場合の特徴の1つとして、「ボラティリティーが高くなる」という点があります。

 ボラティリティーとは、資産の価格の変動率のことで、ボラティリティーが高くなるということは、値動きの上下の変動が激しくなることを表します。

 実は株式投資に限らず、投資の世界ではボラティリティーが高くなり過ぎると、利益を得にくく、損失が大きくなる恐れが高まります。あまりマーケットが荒れるのも考えものということです。

 事実、ビットコインは400万円超えを果たしたと思ったら、1月11日には80万円以上急落するなど、日々の値動きが非常に激しいのが暗号資産の特徴です。

 株式も、ここから短期間でさらに大きく上昇すると、個別銘柄の中には毎日のように10%以上変動するようなものが増えてくるはずです。

ボラティリティーが高いと売買のタイミングがつかみづらい

 ボラティリティーが高くなれば、上げ幅が大きくなるのだから良いのではないか、とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、一般的にボラティリティーが高くなると、利益を上げづらくなるのです。なぜなら、売買のタイミングが非常につかみづらいからです。

 ボラティリティーはバブル時の他、株価急落時にも高くなります。昨年2020年3月のコロナ・ショックのときのことを覚えているでしょうか? ほとんどの株が急落し、ビックリして売ったら、その翌日は大幅高でスタート。「すわ反発か」と慌てて飛び乗ったら、翌々日はまた株価急落……。こんな日々が続いたのです。

 バブルが進展すると、これと似たような動きになるため、タイミングよく売って、また買い直して……ということがやりにくくなります。

 そのため、筆者は暗号資産については長期保有を基本としています。これは、暗号資産はもともとボラティリティーが極めて高いため、タイミング良く売買をして利益を得ることがとても難しいからです。

 また、投資している金額がそれほど大きくないため、「最悪ゼロになっても良い」と割り切ることができているからです。

バブル時代に適した売買ルールがある

 でも、日本株も暗号資産のように長期保有してボラティリティーが高い間も何もせず、ジッとしていてよいか、というと、それは考えものです。

 実際、日経平均株価が30年ぶりの高値になった一方で、個別銘柄を見ると30年前の株価よりはるかに低いものも数多くあります。何でもかんでも持ち続けてよい、というわけではありません。

 また、筆者の場合、暗号資産は最悪ゼロになってもよいと思っているからこそ長期保有していますが、日本株はそういう考えではなく、しっかりと利益を得る目的で投資していますから意味合いが異なります。

 やはり株価が下降トレンドに転じたら、保有株は売却しておくべきです。例えば25日移動平均線割れで売却しておけば、かなりの高値圏で売却できますが、もし、バブル崩壊につながったなら、そこから株価が3分の1、5分の1、10分の1になってもおかしくないからです。

 その一方、売却した後に株価が急騰してしまい、買い直すことがうまくできないかもしれません。ボラティリティーが高い場合、この事象はよく起こります。

 こんなとき、高値で慌ててジャンピングキャッチするのはリスクが高い行為です。売却後に急騰してしまって買い直せなかった場合は、その株はあきらめて、まだ移動平均線からのかい離が小さい銘柄を買うなどして、余計なリスクを負わないようにしましょう。

 バブルはいつか崩壊するもの。そして、それはかなり株価が下がった後でないと分かりません。

 持ち続けて含み損が膨らむことこそ、絶対に避けるべきことです。利益を取りこぼすより大きな損失を回避することを第一に考えて、バブル相場を生き残っていきましょう。

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