A株企業買収で資金調達チャネル拡大、長期の資産基盤の拡充にも期待

現地コード 銘柄名
00916

龍源電力集団

(チャイナ・ロンユエン・パワー)

株価 情報種類

7.77HKD
(1/4現在)

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 龍源電力は20年12月31日、深センA株上場企業の内蒙古平荘能源(000780)を吸収合併した上で、親会社の国家能源投資集団(CEIC)と資産交換を行う計画を明らかにした。BOCIは新たな資金調達チャネルに道を開くとともに、長期の資産基盤の拡充を後押しするとみて、この計画を前向きに評価。親会社による支援の強化も挙げ、投資心理の改善にもつながる見通しを示した。WACC(加重平均資本コスト)に関する想定値の修正に伴って目標株価を引き上げ、株価の先行きに強気見通しを継続している。

 龍源電力の発表によれば、親会社のCEICはすでに、龍源電力が吸収合併することで、内蒙古平荘能源と合意済み。さらに内蒙古平荘能源の資産・負債とCEICの新エネルギー資産の一部を置き換える形で資産再編を行うことにも合意した。CEICは龍源電力、内蒙古平荘能源の両社にとっての支配株主。この計画の実施には株主総会での承認や監督管理機関の認可が必要となる。

 内蒙古平荘能源の直近の時価総額は36億元と、龍源電力のほぼ7%相当。株価純資産倍率は約1倍。BOCIの概算では、龍源電力の風力発電容量はこの取引の後、約1GW拡大するとみられ、これは20年末の総容量の4.4%に当たる。BOCIは香港市場における同社の株価純資産倍率が1倍を下回ることに言及しながらも、取引完了後には、A株上場効果が同社株のバリュエーションの上昇を後押しするとの見方(取引完了に伴い、同社はA株・H株の重複上場銘柄となる)。親会社による資産注入期待などが支援材料になるとみている。

 親会社CEICの風力発電、太陽光発電プロジェクトの総容量は19年末時点で42.5GW。うち20GW分が龍源電力に帰属する。CEICは設置容量ベースで国内最大の発電グループだが、再生可能エネルギーの導入という点では競合各社の後塵を拝しており、総容量に占めるクリーンエネルギー(水力や原発を含む)の割合は19年末に25%と、同業他社の28-46%を下回る水準だった。ただ、中国政府のCO2排出削減方針に従い、「第14次5カ年計画」(21-25年)においては再生可能エネルギーへの投資を強化する方針。20-25年に新たに計25-30GWの太陽光施設を導入する方針を示すとともに、20年末には100億元規模の再生エネルギー投資基金を立ち上げた。龍源電力にとっては、こうした親会社の動きが長期的に、力強い支援となる可能性が高い。

 BOCIは現段階で同社のEPS(1株当たり利益)の修正を見送っているが、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に用いるWACC想定値を9.1%から8.4%に引き下げ、目標株価を引き上げた。新たな目標値は21年予想PBR(株価純資産倍率)で1.1倍、予想PER(株価収益率)で12.3倍相当。補助金未収分の回収やA株・H株重複上場に伴う投資心理の改善を受け、同社株の再評価はまだ始まったばかりの段階にあると指摘している。