ビットコイン、イーサリアムは週末から週明けにかけて大幅下落するも、週次ベースでは上昇
先週末から昨日(11日)にかけて、ビットコインとイーサリアムは記録的な下落となりました。英国当局による暗号資産の監視・規制の強化が一因とみられます。昨年11月以降、投機色を伴って上昇してきたこともあり、下落時の反動が大きく、ビットコインとイーサリアムはこの間、ともにおよそ14%下落しました。
しかし、週次ベースではまだプラス圏を維持しています。以下の図のとおり、1月1日(金)に比べれば、11日(月)は、ビットコインは+18.04%、イーサリアムは+43.60%です。
また、先週、ビットコインとイーサリアムに次いで上昇したのが、原油と天然ガスといった景気動向に敏感とされるコモディティ(商品)でした。本コンテンツで参照している日米欧中の主要株価指数がいずれも上昇した点と符合します。
一方、下落したのは、ユーロ/ドル、ポンド/ドルといった欧州の主要通貨、そして金(ゴールド)、プラチナ、銀といった貴金属でした。
先週は、上昇銘柄数が22、下落銘柄数が6、最大と最小を除く騰落率の平均は+2.5%でした。全体的には、1月1日(金)から11日(月)の週は“比較的強かった”と言えると思います。
※今回より銘柄数を増加させました。欧州の主要株価指数の3つ(イギリスFTSE100、ドイツDAX、欧州50)です。
1月1日(金)から1月11日(月)のジャンル横断騰落率ランキング※休場日に応じ参照日を調整
先週の「ジャンル横断・騰落率」を受けた今週の見通し
先週は“比較的強かった”と書きました。本コンテンツで参照する28銘柄のうち78.6%にあたる22銘柄が上昇し、騰落率の平均(最大・最小を除く)が+2.5%となったためです。
ただ、先述の通り、ビットコインとイーサリアムは、週末から週明けにかけて、大幅下落しました。また、暗号資産がすべて、ビットコインやイーサリアムのように、上昇し続けているわけではありません。
本コンテンツで参照していない、例えばリップルは、ビットコインやイーサリアムと異なり、12月半ばごろから今月初旬にかけて大きく下落しました。社会のデジタル化が進むことで、暗号資産が通貨としての地位を向上させる期待が膨らんでいるわけですが、そのような動きが、暗号資産すべてで起きているわけではない点に留意が必要です。
一連の暗号資産の不安定さは、先週発生した貴金属の下落と、根本原因は同じであると、筆者は考えています。暗号資産と貴金属(特に金と銀)は、特定の国の信用力の影響を受けない“無国籍資産”という側面を持っています。
最近の暗号資産の不安定さと貴金属価格の下落は、“無国籍資産”への関心が薄らいでいることを示していると、考えられます。代わりに、景気に連動する傾向がある、天然ガスや原油、そして、日米欧中の複数の主要株価指数が上昇しています。
足元、日本で緊急事態宣言が発出されたり、中国の一部の地域でロックダウンが始まったり、さまざまな国で変異種が確認されたり、新型コロナをめぐる状況は良いとは言えません。
また、不安材料は、新型コロナだけではありません。トランプ氏を弾劾する動きを含めた米国の政局の混乱や、北朝鮮やイランの核開発が進展する懸念、豪中関係の悪化など、“不安”や“いら立ち”をもたらす材料は枚挙にいとまがありません。
大衆に“不安”や“いら立ち”が募りやすい状況にもかかわらず、リスク資産は買われ、そしてリスク回避時に買われることがある“無国籍資産”は不安定、というわけです。先週のジャンルを横断した各種市場の値動きは、実態を得ないリスク資産高に注意が必要だと、警鐘を鳴らしていると、筆者は考えています。
金(ゴールド)相場の足元の値動きについて、今週の週刊コモディティレポート「有事ムードで、金(ゴールド)に注目が集まる!」で書いています。ご参照ください。
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