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航路を守れ バンガードとインデックス革命の物語
答えてくれた人
幻戯書房 編集部 名嘉真 春紀さん
著者ってどんな人?
ジョン・C・ボーグル
1974年に資産運用会社バンガード・グループ(2020年現在、運用額6.3兆ドル)を創設し、1976年に初めて個人向けインデックス・ファンドを提供した「インデックス投資」の父。既刊の翻訳書に『インデックス投資は勝者のゲーム』(パンローリング)、『人生のダイヤモンドは足元に埋まっている』(文響社)など。
どんな人にオススメ?
・インデックス投資に興味がある人。
・インデックス投資やバンガード・グループの歴史そのものを知りたい人。
・日本経済の将来を憂えている人。
この本の、ここが読みどころ!
最近日本でも人気を集めているインデックス投資ですが、あまりにもシンプルな方法なので「退屈すぎる…」という評価もあります。また著者のボーグルは「長期・分散・低コストのインデックス運用は9割のアクティブ運用ファンドに勝つ」という主張を過去の本でも一貫して繰り返しており、「ボーグルのメッセージは分かりやすすぎて退屈。一冊読めば充分」という意見もあります。
本書はそんな「退屈であたりまえ」という地位を、インデックス投資はいかにして獲得してきたのか、を振り返った回顧録です。1970年代、米国株式市場の暴落を受けて前職CEOをクビになり、取締役会との駆け引きを経て新会社バンガードの社長となったボーグル。その立場を逆手にとり、「インデックス投資」という業界破壊的なイノベーションを実行するも、当初はまったく陽が当たらず。それが試行錯誤の果てに、やがて世界最大級の会社となる…。「倍返し」どころではない波乱万丈のストーリーと、数々の革新的アイデアで同社を成長させてきた彼の来歴(失敗も結構紹介されています)を読めば、きっと「インデックス投資の本当の凄み」がふに落ちるはずです。
編集者の制作秘話
本書には最後に「本当に大切なこと」という、ボーグルの個人的な思想・信条を述べた部分があります。著者が逆境の中どのように「航路を守る」という不動の精神を維持し続けてきたのか、という「言葉の御守札」のような金言集で、これが本当に面白い! 目先の市場変化にとらわれず、いかに顧客や市場や世界全体のことを長期的に考えるか――圧倒的なスケールでヴィジョンを実現させたボーグルならではの熱すぎるパッションが伝わってきます。原著刊行直後の2019年1月にボーグルは亡くなったので、まさに「遺言」といえます。
私はこの翻訳企画スタート時にバンガード・インベストメンツ・ジャパン(残念ながら2020年8月に日本撤退)を訪問し、社員の方に「ボーグルは日本で今知る人ぞ知る存在ですが、やがてウォーレン・バフェットやスティーブ・ジョブズと同じくらい、偉大な人物として知られるようになるはずです。将来的には、本書を読んでボーグルに匹敵する(あるいは超える)、日本の金融環境全体を変えるような人物に出てきてほしいと思います」とお話しました。「究極のインデックス投資本」としてはもちろん、たぐいまれなる人物の集大成となる仕事論・人生論としても読んでいただきたいです。
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