今週の予想

コロナ変異種の拡大や米国の政治動向に注目

 今週は、感染力が強いと言われる新型コロナウイルス変異種が日本でも確認され、その感染動向や、米国の政治情勢が相場に影響を与える展開も考えられます。

 先週の日経平均株価は、クリスマス入りで市場ボリュームが少ない中、大きく下げても下値は堅く、すぐに戻ったことで下値抵抗力は維持されているといえます。ただし、出来高が少ないということは、ETF(上場投資信託)など日本銀行による資金も買い支えやすいということになり、実力のほどは分からないということです。

 米国でトランプ米大統領が追加経済対策にクレームをつけ、早期成立は不透明感が増しているものの、日経平均は大きく動揺していません。

 今週は先週のクリスマス相場からの流れで様子見的だと思われます。

 しかし、来週の日本の正月休みの間に、米国の政治、新型コロナ感染動向、さらに1月5日予定のジョージア州の決選投票でもし民主党が勝つようなことがあれば、「ねじれ議会」のシナリオで進んでいる新政権の政策が一変し、相場に悪影響を与えることになります。

 民主党の本来の政策の主張は富裕層への増税と規制強化ですが、上院は共和党が半数以上を占め、共和党と妥協した政策になっているため、トランプ大統領の政策を大きく変えるような政策は出していないのです。

 そのため、民主党が勝つようなことがあれば、増税と規制強化が復活し、株式相場は大きな調整が必要となるでしょう。その可能性は少ないのですが、未来のことは分かりません。そういう転換がなければ、米国株式は追加経済対策の成立が近づくにつれて再び上昇し、日経平均も2万7,000円を試すことになりそうです。

今週の指標:日経平均株価

 今週は年末にかけては、これまでと同じように海外投資家が少ない中、様子見気分となって2万6,500円を挟んだもみ合いが想定されます。

 しかし、新年の来週はじめは欧米株の動きや新型コロナの状況によって左右される展開も考えられ、注意が必要です。また、日経平均は2019年、2020年と2年連続で大幅安のスタートとなっていることを気にする市場関係者もいます。米国ではトランプ大統領の横やりで追加経済対策が不透明となっており、新型コロナの変異種が日本でも確認されたことも要注意といえます。

今週の指標:NYダウ平均株価

 今週も引き続き、ワクチン期待と一方で、追加経済対策の不透明さ、失業拡大との綱引きながら、サンタクロース・ラリーが続きそうです。

 年明けは1月5日に予定されているジョージア州の上院決選投票の結果がカギとなりそうです。これまで新政権は「ねじれ議会」を前提にシナリオをつくってきましたが、万が一、上院も民主党主導になった場合は、増税、規制強化などのリスクが経済を直面することになります。ねじれ議会のままの場合は、今までのように相場の上昇をサポートすることになります。

今週の指標:ドル/円

 来週にかけて、追加経済対策の早期成立の不透明さ、安全逃避的なドル買いが続く可能性や新型コロナ変異種の世界的広がりが不安視されており、安全資産としてのドルは売られづらいところです。そのため、ドルは底堅い動きとなって安全資産としてのドル買い継続となりそうです。

先週の結果

週前半に大きく下げる場面もあったが、後半は持ち直す動き

 先週の日経平均は、年末に向けて軟調な展開を想定し、下げても下値は限定的としました。結果的には、クリスマス前の週初めの2日間は意外な動きとなりましたが、終値ベースで日経平均は2万6,600円台を維持して引けました。週初の21日は寄り付き直後に2万6,905円の高値をつけて、すぐに2万6,533円まで下落し、後場になると落ち着いて2万6,714円で引けましたが、翌日は英国で確認された新型コロナ変異種の警戒感から、日経平均は一時2万6,361円までの全面安となりました。その後はクリスマス休暇で外国人がいない中、市場ボリューム減少の中を小幅な反発が続き、日経平均終値は2万6,656円で引けました。ただし、週末25日はクリスマスで日経平均の売買代金は1兆2,547億円と2019年12月21日以来、1年ぶりの低水準となりました。

12月21日(月):米国で追加経済対策の合意を見込み+70円で寄り付いて、日経平均は2万6,905円の高値をつけましたが、先物が断続的に売られ▲229円の2万6,533円まで下げ幅を拡大しました。後場になると押し目買いと日銀のETF買い期待で下げ幅を縮小し、▲48円の2万6,714円で引けました。 

22日(火):英国で確認された新型コロナ変異種の警戒感が強まり、▲155円の2万6,559円で寄り付くと、一時▲259円の2万6,454円まで下げました。しかし、後場になると時間外取引での米株先物安が重しとなって、さらに▲352円の2万6,361円まで下げる全面安となり、終値は▲278円の2万6,436円と3日続落となりました。 

23日(水):前日の米国はマチマチだったものの、ナスダックが史上最高値を更新したことで、日経平均は+144円の2万6,580円で寄り付くものの、一時▲21円の2万6,414円までの下げに転じました。その後、反発してプラスになるものの上値は限定的で、終値は+88円の2万6,524円と反発しましたが、日経平均の売買代金は10月27日以来の2カ月ぶりの2兆円割れとなりました。 

24日(木):前日の米国市場で株価はマチマチだったものの、NYダウは+114ドルの3万0,129ドルと反発し、英国とEU(欧州連合)の離脱交渉がスムーズにいきそうなことが支えとなって、日経平均は+110円の2万6,635円で寄り付き、一時+239円の2万6,764円まで上昇しました。しかし、海外投資家がクリスマス休暇入りで上値を追う動きはなく、動意に乏しく+143円の2万6,668円の2日続伸で引けました。 

25日(金):前日の米国市場は主要3指標そろって高かったものの、トランプ大統領が失業給付や追加経済対策にクレームをつけていることで不透明感から上昇は限定的となっており、これを受けて日経平均は+39円の2万6,708円で寄り付いた後は、小幅なマイナス水準で推移し、終値は▲15円の2万6,653円と小反落となりました。引け後の米国市場はクリスマスで休場でした。