年末の売買が低迷する時期でも、ビットコインは上昇

 先週、ビットコインの上昇が目立ちました。主要国・企業が通貨のデジタル化を推進する中、デジタル通貨の一翼を担うビットコインにも関心が寄せられていることが、一因とみられます。ビットコインは2週連続の上昇率1位となりました。

 ビットコインの次に上昇したのが、大豆、小麦、トウモロコシの穀物でした。南米の穀物生産国アルゼンチンは、現在、穀物の作付け期にあります。足元、特に大豆の生産地で雨が少なく、供給が減少する懸念が生じていると、報じられています。

 大豆の価格が上昇したことにより、同じ穀物の小麦とトウモロコシも連れ高となったと、考えられます。また、アルゼンチンでは、港湾などで従事する穀物関連労働者が行っているストライキが長期化する懸念があると報じられています。この点は、穀物全般の上昇要因とみられます。

 一方、ドルが上昇したことを受け、代替通貨の側面から下落要因が生じ、金(ゴールド)が下落しました。また、金の下落に連動し、銀、プラチナ、パラジウムといったその他の貴金属も下落しました。

 先週は、上昇銘柄数が12(21)、下落銘柄数が13(4)、最大と最小を除く騰落率の平均は+0.1%(+2.5%)でした。全体的には、12月18日(金)と25日(金)の週は“強弱拮抗だった”と言えると思います(カッコ内は先々週)。

12月18日(金)と12月25日(金)のジャンル横断騰落率ランキング

※楽天証券のマーケットスピードⅡのデータより楽天証券作成
※銀・パラジウムはミンカブ・ジ・インフォノイドのデータを参照。
※ビットコインとイーサリアムは楽天ウォレットのビットコイン価格を参照。日本時間の前々週土曜日午前6時と前週土曜日午前6時を比較
※騰落率は前々週金曜日の終値と前週金曜日の終値より算出。(前週金曜日終値-前々週金曜日終値)/前々週金曜日の終値

 

先週の「ジャンル横断・騰落率」を受けた今週の見通し

 先週は“強弱拮抗だった”と書きました。上昇銘柄数と下落銘柄数がほぼ同じで、騰落率の平均(最大最小を除く)がほぼ横ばいを示す+0.1%だったためです。国内外の主要市場が年末の売買が低迷する時期にあって、動意を見出しにくいことが、全体的な強弱拮抗の要因とみられます。

 先週の値動きは、ある意味“年末年始恒例”と言えますが、気になる点もあります。値動きは年末年始恒例でも、材料は例年通りではありません。例年になく、今年ある、“新型コロナの世界的な蔓延”に、留意する必要があります。

 先週から、新型コロナの“変異種”が世界に広がっているというニュースが目立つようになりました。英国や南アフリカだけでなく、デンマークやカナダ、日本などで“変異種”が確認されたと、報じられています。

 アフリカの西部のナイジェリアでは、“第3の変異種”と呼ばれる、上記の国で確認されているものと異なる変異種が確認されたと、言われています。

 2020年1月以降、世界各国は新型コロナの感染状況を“数”で追ってきました。例えば、感染者数、回復者数、病床の使用率、ワクチンの契約本数、ワクチンの流通までの日数などです。これらはいずれも、新型コロナ関連の事象を“数”で評価するものです。

 “変異種”が登場したことで、今後は、これまでの“数”に加えて、ワクチンの有効性や種類ごとの症状など、“内容”で評価することも求められます。とりあえず、目先、開発したワクチンが効くのか、変異種の症状は従来種とどのように違うのか、といった疑問について、専門家による研究結果を待つしかありません。

 これから人類は、(すでに第3まではあると報じられていますが、第4以降も想定すると)何通りもの“新型コロナ”と戦わなくてはならないのかもしれません。“数”と“内容”の両方の分野で知恵を絞り、対峙していくことが求められます。

“数”と“内容”の両面で戦うため、戦いが複雑化し、その分だけ戦いが長期化することが予想されます。このため、財政・金融両面での“コロナ対策”が長期化することが予想されます。

 前回本欄で書いた通り、主要国の金融緩和の長期化は、暗号資産・金(ゴールド)などの貴金属・主要株価指数の上昇要因になり得ます。

“従来種”、そして複数の“変異種”が蔓延して、経済がダメージを負う期間が長くなればなるほど、それと呼応するように、財政・金融両面での“コロナ対策”も長期化し、その結果、暗号資産・貴金属・主要株価指数に上昇圧力がかかる時間が長期化する可能性があると、筆者は考えています。

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