※モトリーフール米国本社、2020年11月29日投稿記事より
医療ロボットメーカーのインテュイティブサージカル(NASDAQ:ISRG)と歯列矯正システムのメーカー、アライン・テクノロジー(NASDAQ:ALGN)は、それぞれの分野で最先端の商品を提供しています。
インテュイティブサージカルの外科手術支援ロボットは一般的になり、そして高度になりつつあります。
アライン・テクノロジーの歯列矯正装置も同様です。
しかし新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)により、両社は今後数年間で、まったく異なる成長軌道を描くと考えられます。
重要な手術をロボットに任せられるか?
ほとんどの人はロボットを信頼しないかもしれませんが、複数のロボットを使った人間による手術であれば、信頼できると考えるでしょう。
そこで、インテュイティブの出番です。
同社の手術支援ロボットには、有名なダヴィンチがあります。
低侵襲外科治療に対抗する位置付けのダヴィンチは、一般的な手術から婦人科系の手術まで、多岐にわたる分野の多くの手術に利用されています。
年々、ダヴィンチを利用して行われる外科手術は増加しています。
2020年度第3四半期の件数は、前年同期比7%増でした。
これでインテュイティブの売上が増加すると考えるでしょうが、同時期の売上は4%減となりました。
この原因は、同社が非常に寛大な顧客支援プログラムを実施したためだと考えられます。
パンデミックにマイナスの影響を受けた病院を支援するために、通常であれば収益源となるはずのメンテナンス等のサービスを、無料で提供しているのです。
一方で、アクセサリーやサービス契約でもかなりの売上を確保しているため、顧客支援プログラムが終了すれば、売上は成長軌道に戻ると考えられます。
とはいえ、パンデミックに端を発した景気後退で、今後数期の同社の業績は停滞すると考えられます。
医療機関は、1台250万ドルする医療支援ロボットの購入のような大規模な投資を延期すると予想されるからです。
第3四半期の医療支援ロボットの販売台数は、前年同期比21%減でした。
今後患者が病院で再び診察を受けるようになり、延期されていた手術を受けるようになったとしても、この傾向は来年も続くと見られます。
長期的に見れば、同社は依然、成長のモメンタムのある力強い企業です。
しかし短期的な同社の製品売上は、病院側がCOVID-19の影響で依然予算縮小の傾向にあることから、厳しいと思われます。
見えない歯列矯正装置は、驚くほどの利益を上げている
歯科矯正装置を装着したことがある人は、あまりいい印象を持っていないでしょう。
しかし今では、歯科矯正は進化しています。
アライン・テクノロジーの主力製品、インビザライン歯科矯正装置は、8歳頃からティーンエイジャーの子供向けに広告活動を行なっています。
インビザラインは、あなたが子供の頃に着けたような矯正装置とは違います。
同製品はハイテク素材で作られ、患者の歯の形に合わせて型がとられます。
したがって一旦装着すれば、ほとんど目立つことはありません。
米国ではインビザラインの売上は好調で、株価も上昇しています。
2020年第3四半期売上は、パンデミックによる景気後退がありながらも、前年同期比24.9%増となりました。
アメリカ国外への出荷はさらに好調で、前年同期比33.6%増でした。
この成長は、インターネット直販への大型投資によるものでした。
同社のソーシャルメディアのフォロワーは、1000万人以上います。
歯科医通いを再開しようとする人が増えるほど、同社のマーケティングの成果が、今まで以上に実を結ぶと思われます。
重要なことは、アラインの事業には常に新たなターゲットが生まれており、再現性が高いということです。
毎年中学生くらいになる子供たちが、新たな潜在顧客となります。
主な競合である従来の矯正器具にも効果はありますが、インビザラインと比べると見た目が目立ちます。
今のところ、インビザラインのブランド力、さらに複製の難しい製品特性が強みとなり、投資家から好感されています。
少なくとも今後数年間は、同社の76%という素晴らしい利益率が維持されると考えられます。
結論
筆者は、長期的に見れば2社ともに強気の見方をします。
両社ともに、競合他社が追随しにくいような独自の強みを持っています。
しかし来年にかけては、アライン・テクノロジーが、インテュイティブサージカルに勝ると考えます。
アラインは、予算の制約のある医療機関向けではなく、消費者向けのマーケティングを行なっているため、インテュイティブほどにはパンデミックの影響は受けないと思われます。
消費者の家計もまたパンデミックにより厳しくなっていますが、同社のマウスピース型矯正器具のインビザラインには、歯科保険が適用されることも多いため、影響はそれほど深刻ではありません。
さらに、アラインは、自社の売上を犠牲にするような顧客支援プログラムを行なってはいません。
インテュイティブの寛大なプログラムは讃えられるべきですが、一方ではその結果、今後数期は売上・利益の減少や成長の鈍化があるかもしれません。
転載元:モトリーフール
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