増資で77億HKドル調達へ、事業拡大戦略が明確に

現地コード 銘柄名
06098

碧桂園服務控股

(カントリー・ガーデン・サービシズ)

株価 情報種類

47.20HKD
(12/14現在)

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 碧桂園服務は12月10日の大引け後、第三者割当増資で77億5,000万HKドルを調達する計画を発表した。今後の買収機会などに備える目的。同社経営陣は翌11日にBOCIが開いたカンファレンスに出席する中で、割当価格などに関する増資計画の詳細情報を共有。また、不動産管理サービスを軸に、その他の付加価値サービスを展開する「1+4」型の発展戦略を継続する方針を明らかにした。BOCIは、全国規模で第三者向けサービス請負業務(同一グループ企業以外からの受託)の開拓を進める同社の姿勢を前向きに評価。目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 同社は今回の増資で、新株1億7,300万株(増資後発行済み株式総数の5.9%)を1株45HKドルで割り当て、77億5,000万HKドルを調達する計画。約10倍の応募超過となるなど多くの引き合いを得ているが、うち76%についてはすでに、戦略投資家による引き受けが確定済みという。中国の大型投資ファンドであるヒルハウス・キャピタルとともに、18年に提携した有力ネット企業のテンセント(00700)がこれに含まれるとみられ、BOCIは株主構成が改善するとして前向きに受け止めている。調達資金は手元現金の補強と戦略的買収に回すほか、付加価値サービスや商用不動産管理ビジネス、都市サービスなどの拡充といった用途に振り向ける方針という。

 香港株式市場ではこのところ、不動産管理サービス銘柄の新規上場や資金調達が相次いでいるが、BOCIは同社の今回の増資が、「競争が厳しさを増す国内市場で、最大手の座を固めることに寄与する」との見方。21-22年のEPS(1株当たり利益)希薄化率を4%と推定し、将来的な事業拡大の可能性を考慮すれば許容範囲内としている。

 同社は「1+4」型の発展戦略を推進するが、うち基本の不動産管理サービスなどに関しては、新たに取得する対象物件について厳格な基準を設けている。半面、コミュニティー付加価値サービス(メディアサービスや家事、転出入支援など)と都市サービスの両事業に関しては、拡大・買収戦略が明確。うち都市サービス事業は環境衛生管理サービス会社の買収(20年10月)を機に、事業の柱の一つに位置付けたもので、経営陣は向こう2年以内に売上規模を40億-50億元に引き上げるとの目標を掲げる。いずれは年商100億元規模を目指すという。

 BOCIは21-22年のEPS希薄化(それぞれ推定3.6%、4.2%)を反映させる形で、目標株価を引き下げた。現在株価は21年予想PER(株価収益率)で33.6倍の水準にあり、都市サービスと付加価値サービスの明確な拡大戦略を考慮すれば、依然として低水準にあると指摘。株価の先行きに対して強気見通しを継続した。半面、潜在的なリスク要因としては、事業拡大・買収が予想よりスローペースとなる可能性、買収によるシナジー効果が予想を下回る可能性を挙げている。