※モトリーフール米国本社、2020年11月26日投稿記事より

 ウォーレン・バフェット氏は史上最も成功した投資家の一人です。

 したがって、同氏が特定の銘柄を支持するとき、その理由を追求することには価値があります。

 同氏が率いる持株会社バークシャー・ハサウェイは、シリウスXM(NASDAQ:SIRI)クローガー(NYSE:KR)を買い増しました。

 以下、バフェットがこれらの銘柄に強気である理由を探ります。

シリウスXM:衛星ラジオ放送分野で強靭な競争優位性を有する

 シリウスXMは米国の衛星ラジオ放送会社であり、この市場では実質的に独占企業ですが、依然として地上波ラジオ局と競争しています。

 同社は強靭なモート(競争優位性)を持ち、しかも株価収益率(PER)は27倍と、S&P 500構成銘柄の平均である36倍と比べても割安な水準にあるため(数値はいずれも執筆時点)、バフェット氏のポートフォリオに適合しています。

 シリウスは、新規に販売される自動車への受信端末搭載比率を高めることで、将来の成長力を高めることができます。

 新型コロナウイルス・パンデミックが新車販売にブレーキをかけ続けてきたため、第3四半期の売上高は前年同期比1%増の20億3,000万ドルにとどまりました。

 同四半期の米国における自動車販売台数は同9.4%減の390万台となりましたが、シリウスは新車への端末搭載比率を前年同期の72%から78%に引き上げることでこの逆風を相殺しました。

 シリウスは、自動車メーカーと新たにOEM契約を結ぶことで端末搭載比率が80%まで上昇すると予想しています。

 第3四半期以降、新たにGM、BMW、起亜自動車と契約を結びました。

 経営陣は、2020年の通期売上高を前年比1%弱の増加となる78億5,000万ドルと予想しています。

 これは、パンデミックによる打撃を受けた1年であることを踏まえると、さほど悪い業績ではありません。

 積極的な自社株買い戦略の資金源となる2020年の調整済みEBITDA (利払前・税引前・償却前利益)を24億8,000万ドルと予想しています。

クローガー:デジタル・トランスフォーメーションで事業を近代化

 クローガーは創業137年の食料品販売チェーンですが、電子商取引事業への取り組みを促進しており、事業は活気を取り戻しつつあります。同社のPERはわずか10倍のため(本稿執筆時点)、典型的なウォーレン・バフェット銘柄と言えます。

 CEO(最高経営責任者)のロドニー・マクマレン氏によると、クローガーの顧客は現在、来店頻度を減らしているものの、1回の来店当たりの支出額は増えています。

 オンラインショッピングの頻度も増えており、クローガーによる電子商取引戦略の拡大を可能にしています。

 同社は、2,100個所以上の受取場所と2,400個所の配送センターを有し、顧客基盤の98%に配達する能力を備えているため、(物流に関する限り)成功は約束されています。

 さらに同社は自動化を通じて配送機能を強化しています。

 具体的には、非常に効率的な自動倉庫を建設するため、英国の食料品小売向けソフトウェアおよびロボットを手掛けるオカドと提携しています。

 2021年春に最初の2つのサイトを開設し、合計20ヵ所の建設を計画しています。

 2020年第2四半期の売上高は前年同期比8.2%増の304億9,000万ドル、調整後1株当たり利益(EPS)は同66%増の0.73ドルとなりました。

 2020年通期ガイダンスでは、EPS成長率を45~50%、増収率を13%以上(ガソリン販売部門を除く)と見込んでいます。

 配当利回りは2.2%で(本稿執筆時点)、14年連続で増配しています。

バフェット氏の投資哲学はバリュー株投資

 バフェット氏の投資哲学は、収益と成長の可能性と比べてバリュエーションが低いバリュー株に焦点を当てています。

 シリウスXMとクローガーはともに、この要件にあてはまると思われますが、投資家にリターンをもたらすための戦略には違いがあります。

 シリウスXMは自社株買い(株価を押し上げる要因です)を高く評価する投資家に最も適しています。

 これに対してクローガーは、持続可能で長期的に増え続ける配当を重視する投資家に適しています。

転載元:モトリーフール

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