今週の予想

年末に向けて、利益確定売りで軟調だが下値は限定的

 外国人投資家が本格的なクリスマス休暇に入るため、FOMC(米連邦公開市場委員会)や日銀会合を消化して、いよいよ年末モードに入るものの、日経平均株価は方向感に欠ける展開が続きそうです。

 国内では、年末を控えて利益確定売り優勢となりそうですが、IPO(株式の新規公開)ラッシュが続いており、小型株中心の短期売買となりそうです。

 利益確定売りといっても、米国株式がしっかりしている限り、高いものは売られますが、下値は限定的。一方、大きく下げれば押し目買いが入るため一進一退が続くと想定されます。

 ただし、市場では2万7,000円へ到達するという見方もあり、唯一の可能性としては、与野党のトップ4人で合意直前といわれる米国の9,000億ドル規模の追加経済対策が、もし実現するとなれば、米国株式は史上最高値更新が継続し、日経平均も2万7,000円大台の挑戦が期待されるかもしれません。

今週の指標:日経平均株価

 先週、米国株式が史上最高値を更新したものの、日経平均株価は為替の円高を受けて上値は重く、2万7,000円挑戦とはなりませんでした。また、一方で下値も堅く2万6,600~2万6,900円の狭いレンジでの動きでした。相場が強いとの見方もできますが、むしろ外国人投資家がクリスマス休暇に入ってきているため、市場ボリュームが減少し、様子見になっているためといえます。

 今週も引き続き、先週と同じような上値は2万6,900円水準からは重く、下値ではメジャーSQ(特別清算指数)値である2万6,713円を上回っており、下値の堅さが強く意識されています。米国株式は、史上最高値更新が継続していますが、以前より勢いが足りず高値警戒感もあるため、また円高基調もあって日経平均は連動できない面もあります。

 もし、追加経済対策が上下両院で可決されれば、日経平均も米国株式に連動して2万7,000円挑戦の可能性はあります。ただし、その場合は日本株式ともに、いったん材料出尽くしも想定した方がよいかもしれません。

今週の指標:NYダウ平均株価

 先週17日(木)に、米国の追加経済対策が与野党4人のトップ会談で今月内での合意の観測が報道されたことで、主要3指標そろって史上最高値更新となりました。しかし、翌日になると合意は先行き不透明ということで株式は反落。目まぐるしく材料に振り回されるのは高値圏で警戒感がある証拠と言えます。

 高値警戒感がありながらも上昇しているのは、FRB(米連邦準備制度理事会)が12月のFOMCでゼロ金利を2023年まで維持する見通しを示した他、雇用目標を達成するために量的緩和を継続すると発表したことから。今週後半はクリスマスを控えているものの、追加経済対策が与野党合意の成立となれば、上昇につながることになりそうです。

今週の指標:ドル/円

 先週のFOMCの金融緩和の長期化見通しから、リスク選好のドル買いは引き続き抑制され、金利先高感は後退して、ドルは買いづらい見通しです。ただし、新型コロナワクチン接種の状況が効果を生むと期待されるとリスク回避のドル買いも出てくる可能性もあります。1ドル=102~104円のレンジを想定しています。

先週の結果

米株式は週半ばから史上最高値更新するが、日経平均は円高で上値は重いまま

 先週の予測では、上値は2万7,000円の大台を前に足踏み状態が続くとし、メジャーSQを通過。外国人投資家も一足先にクリスマス休暇に入るようで2万6,000~2万6,900円と大きく幅を取りました。しかし、上値は重いものの下値も堅く、2万6,600~2万6,900円の狭いレンジでのもみ合いとなりました。

 来週から外国人投資家は、ほとんどがクリスマス休暇に入るため、様子見気分が強く、日々の値幅も小さくなっていくので、基本的に見送り気配となっています。

 特に15~16日開催のFOMCから金融緩和が観測され、長期金利も下落しドル売りから円高基調となっていることが、17日(木)に米国の主要3指標が史上最高値を更新しても日経平均が軟調だった理由でした。週末18日(金)の日経平均終値は▲43円の2万6,763円と3日ぶりの反落でした。

12月14日(月):日経平均は、日銀短観の改善や米国のコロナワクチン接種スタートの期待から、時間外の米国株先物が上昇していたことで、前場は一時+217円の2万6,870円まで上昇。しかし、後場になると高値警戒感もあり利益確定売り優勢となって、終盤にかけて伸び悩み+79円の2万6,732円で引けました。 

15日(火):前日の米国市場がマチマチの動きとなり、NYダウは新型コロナウイルスの感染拡大で死亡者が30万人を超えたことから、ニューヨーク市長が全面ロックダウンの可能性を示唆したことで、▲184ドルの2万9,861ドルと反落。これを受けて日経平均も▲49円の2万6,683円で寄り付き、後場には一時▲126円の2万6,605円まで下げましたが、その後は下げ渋り▲44円の2万6,687円と反落しました。日本は「Go Toトラベル」が全国一斉停止となりましたが、影響は一部の業種に限られ、経済全体へのインパクトは大きくないと思われます。ただし、株価回復期待を相当織り込んでおり、それによって買い上がりにくい状況といえます。2万7,000円の大台乗せは、米国株と為替次第ですが、大台に乗った場合は目標達成感が出るため、注意が必要です。 

16日(水):前日の米国市場は、今年中は無理とみられていた追加経済対策の新型コロナウイルス対策法案が、与野党のトップ4人との会合で今年中の合意への観測が高まり、主要3指標そろって大幅上昇。ナスダック平均株価は終値での史上最高値を更新したことで、日経平均は寄り付きは+147円の2万6,835円でした。しかし、2万6,874円まで上昇した後は、為替の1ドル=103円台半ばの円高もあって上値は重く、終値は+69円の2万6,757円と反発して引けました。 

17日(木):多くの外国人投資家が例年より一足早くクリスマス休暇入りしたことで、市場エネルギーが少なくなる中、日経平均は▲12円の2万6,744円で寄り付き、▲81円の2万6,676円まで下げました。その後はプラスに転じ、後場になると買い有利で取引が開始し、一時+85円の2万6,843円まで上昇し、終値は+49円の2万6,806円と終値では9日(2万6,817円)以来の2万6,800円台でした。

18日(金):前日に米国の追加経済対策への与野党合意が年内成立という観測から、主要3指標そろって史上最高値を更新したものの、為替が一時、1ドル=102円台後半への円高になったこともあり、日経平均は利益確定売りで▲31円の2万6,775円で寄り付きました。そして、値ガサ株の一角に売りが出たことで、後場、後半には▲99円の2万6,707円まで下落し、終値は▲43円の2万6,763円で引けました。

日本市場の引け後の米国市場:前日、与野党合意間近とされた米国の追加経済対策が、いまだに合意に至っていないとして、先行き不透明感が強まり、主要3指標そろって小幅反落となりました。たった1日で追加経済対策の合意という材料に振り回される状況は、高値警戒感を示しているものと思われます。シカゴの日経先物は▲35円の2万6,705円でした。