2021年は利上げなし、好景気のドル安がくる!バリュー株に注目!
今回は今年最後のレポートになりますので「来年は、こうなる!」という予想を10挙げておきます。
2021年はこうなる!10大予想 | ||
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1 | 集団免疫は下半期に達成 | |
2 | FRBは利上げしない | |
3 | IPOブームは続く | |
4 | 余ったオフィスビルをどうする?が大問題に | |
5 | ピーク・デジタルで反動 | |
6 | 好景気のドル安がくる | |
7 | ゴールド、仮想通貨、コモディティーが見直される | |
8 | 新興国株式が人気化する | |
9 | 投資テーマやストーリーのない「退屈な株」が見直される | |
10 | 1年を通じてS&P500指数の上昇幅は3%前後を予想 |
1:集団免疫は下半期に達成
新型コロナウイルスのワクチンは、これまでのところファイザー(PFE)とバイオエヌテック(BNTX)が共同で開発したもの、加えてモデルナ(MRNA)が開発したものがFDA(米国食品医薬品局)をはじめとする一部先進国で承認され、出荷が始まっています。
当座は生産量が限られているため、医療関係者や高齢者などを優先する配布となります。
米国の場合、一般市民がワクチン注射を受けることができるようになるのは早くても5月くらいでしょう。そして秋口までには十分な数の市民がワクチンの投与を受け、社会全体として集団免疫の状態が達成できるようになると思われます。集団免疫の達成は経済が活発化することを意味します。
残念ながらその状態にいく前に、まず世界の経済は「落とし」を経験することになると思われます。その理由は今、新型コロナが世界で猛威を振るっており、人々が外出しにくい状況になっているからです。
ワクチンが完成しているのに、自分にはそれが回ってこない……これほど市民をイライラさせることはありません。つまり2021年上半期は、そういう鬱積(うっせき)した不満が噴出しやすい状況になることが予想されます。我々の忍耐力が試されるわけです。
株式市場的にはいまだ自由に海外旅行などできない状態が続きますので、デルタ航空(DAL)、ハワイアン・ホールディングス(HA)などの航空会社、ハイアット・ホテルズ(H)、マリオット・インターナショナル(MAR)、ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス(HLT)などのホテル株、カーニバル(CCL)、ロイヤルカリビアン(RCL)などのクルーズといった「リア充銘柄」の出番はしばらく回ってこないと思います。
2:FRBは利上げしない
米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)は現行の政策金利を0~0.25%に設定しています。2021年を通じてこのレートには変更はないと思います。加えて、いま実施している毎月1,200億ドルペースの債券買い入れプログラムに関しても、当分の間、いまのペースを維持すると思います。
それは、言い直せば超低金利は続くということを意味します。低金利は株式市場にとっては支援的です。
3:IPOブームは続く
2020年はIPO(株式の新規公開)の「当たり年」でした。数の上でも、質の上でも、IPOがマスコミをにぎわしました。
このモメンタムは2021年も続くと思われます。少なくとも2021年の前半くらいまでは重要な案件がめじろ押しとなっています。
特に2021年に予定されているIPOはフィンテックの分野が多いです。
4:余ったオフィスビルをどうする?が大問題に
新型コロナウイルスは人々の働き方に大きな影響を与えました。在宅勤務を実際にやってみると、(必ずしも会社に行かなくても家から仕事できるな)ということが分かりました。このことは働く場所や時間に関し、いままでより柔軟な発想が経営の側にも定着したことを意味し、社員全員に必ずしも出社を強要しなくなりました。それはオフィスビルの需要が減少したことを意味します。
もともとオフィスビルは余り気味のところへ持ってきて、WeWorkの経営のつまずきもあり、だぶつき感が一層強くなっています。
マンハッタンやサンフランシスコに住んでいたプロフェッショナルの人たちの中には、郊外やフロリダなど地価が比較的安く、税金も安い地域へリロケーションすることも盛んになっています。それはオフィス需要という観点からすれば需要の減退が恒久化することを意味します。
そして、マンハッタンのミッドタウンではオフィスビルが余りはじめています。将来はこれを住居に転用するなどの工夫をする必要が出てくると思われます。
5:ピーク・デジタルで反動
2020年は新型コロナウイルスにより外出が控えられたせいで、ネット通販が大躍進しました。長期の趨勢(すうせい)として、今後もネット通販が小売全体に占める割合はジリジリ上昇していくのは当然だと思いますが、ごく短期的にはあまりにネット通販が伸びすぎたことに対する反動がくると予想されます。
つまりピークで16.1%、現在14.3%になっているネット通販比率は、再びトレンドラインの通っている13.0%付近まで下落すると考えるのが自然なのです。
このことは2021年第2四半期あたりからアマゾン(AMZN)やショッピファイ(SHOP)の前年比較の数字がとても苦しくなることを示唆していると思います。
ネット通販が小売売上高に占める割合
6:好景気のドル安がくる
2021年の後半までには一般市民にもコロナワクチンが行き渡ることからこれまで外出を控え、貯蓄を優先していた人々は一気に街に出るでしょう。それは2021年後半になるほど景気が良くなることを示唆しています。
しかし、FRBはその場合でもすぐに利上げはせず、わざと長期にわたって低金利を維持することで、まず雇用がグイグイ戻ってくることを確認すると思います。
すると、政策金利は景気の実勢に比べて緩めに設定されることになるので、それは通貨安を招きやすく、「好景気のドル安」がくる可能性があるのです。
7:ゴールド、仮想通貨、コモディティーが見直される
金利が安いと銀行預金をしていても、たいした利子はつきません。国民はより有利な投資対象を求めて資産を分散しはじめることが予想されます。
ゴールド、仮想通貨、コモディティーなどはその流れの中で資金が流入しやすい原資産だと思います。
特に仮想通貨はSEC(米国証券取引委員会)がICO(新しい仮想通貨を出すことによる資金調達)を厳しく取り締まっている関係で需給関係が改善しています。その意味で見直されやすいといえます。
8:新興国株式が人気化する
米国の投資家はドル安が予想される局面では海外投資に積極的になります。中でも新興国への投資は一番振幅が激しいことで知られており、ニュー・マネーが新興国株式に向かうシナリオが予想されます。
メキシコ、ポーランド、韓国、トルコなどのマーケットは割安感が強いです。
9:投資テーマやストーリーのない「退屈な株」が見直される
ここ数年、グロース株がバリュー株をアウトパフォームすることが続いてきた結果、現在はグロース株が極めて割高に取引されている一方で、バリュー株はより取り見取りの状況となっています。ある時点でこのバリュエーションのかい離には訂正が入ると考えるのが自然です。
人気の投資テーマやストーリーをはやされて買い進まれた銘柄は往々にしてべらぼうなバリュエーションになってしまっているので、むしろそういうテーマやストーリーの蚊帳の外に置かれている、「退屈な株」のほうが安全で割安感が強くなっています。
本当の意味でのバリュー投資が人気化する環境・条件がいよいよ整い始めています。
10:1年を通じてS&P500指数の上昇幅は3%前後を予想
米大統領選挙の翌年は、4年間の任期のうちでいちばん株式市場のパフォーマンスが悪いというジンクスがあります。2021年はちょうどその年に当たります。
2020年の3月の安値から米国株式市場は鋭角的に切り返しました。その関係で2021年は相場が少しお休みになると考えた方がよいでしょう。
私が2021年の米国の株式市場の上昇幅をわずか+3%と控えめに予想しているのは、このような理由からです。
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