ドル/円、ついに9カ月ぶり円高水準の102円台へ！ それでも100円割れはない？

［本日のドル/円］

↑上値メドは104.10円

↓下値メドは102.20円

今朝の天気マークは「雨」

※天気の判定基準は記事末尾にあります

ドル、全面安

　12月17日（木曜）のドル/円は円高。103.44円でオープンしてから上値はほとんど伸びず高値は103.56円。徐々に値を下げてNY時間午前には本日安値となる102.67円まで円高になりました。その後は戻して終値は103.08円。

　ドル/円の102円台入りは今年の3月10日以来のこと。その前日9日には、今年のこれまでの安値101.17円をつけています。政府、日銀からは円の水準に対して特段のコメントもなく、円高警戒感は薄いのですが、今の主役は2年半ぶりの高値を更新中のユーロとポンド。つまり、ドル全面安のマーケットです。

　ドル/円の年初来安値更新はあるか？今年のマーケットはまだ2週間残っているとはいえ、実質的には本日でほぼ終了。短期的にはポジションの買い戻しによる戻しが先行するかと思います。本格的な円高は来年1月の楽しみにとっておきたいと思います。

　ポンドは強さを維持。今夜（18日）にもブレグジット交渉で合意するというニュースが支え。EU（欧州連合）のバルニエ首席交渉官は、1週間前とは全く逆に、楽観的なコメントを連発しています。もちろんこれはEU側の戦略で、交渉進展を世界に向けてさかんにアピールすることで、ジョンソン英首相に妥協を迫っているとも考えられます。ここで決裂したら悪者は英国というイメージがついてしまいます。ただし、妥協してしまうと英国内からの批判にさらされるジョンソン首相は苦しい立場に追い込まれました。いずれにしても来週月曜の東京市場のポンドは動きそうなので警戒が必要でしょう。

主要指標 終値 

17日のドル/円のNY市場終値は103.08円

　前営業日の終値比▲0.34円だったので、今朝の天気マークは「雨」です。

今日の注目通貨

ドル/円： 金利高とドル安のデュエット

　ドル安と金利高が同時進行しています。米金利が上昇するなかでのドル安は、一見すると矛盾しているに思えますが、必ずしもそうではありません。米国金利ばかりに注目が集まりがちですが、他国の実質金利もまた上昇しているのです。

　ただ、中央銀行の政策スタンスを見ると、そこに違いがあらわれています。FOMC（米連邦市場委員会）はハト派的。12月15－16日に開催した2020年最後の会合において強力な緩和政策の維持・継続を決定し、政策金利であるFF（フェデラルファンド）金利の誘導目標を0.00％から0.25％に据え置きました。さらにインフレが上昇してもすぐに利上げはしないと明言していて、利上げは早くても2024年以降になるとの予想です。

　一方、ECB（欧州中央銀行）も、今月の会合で政策金利を現行の0.00％に据え置きましたが、ECB理事の発言は、どちらかというとタカ派的。少なくとも、FRB（米連邦準備制度理事会）に比べると緩和政策拡大に関してECBは一枚岩ではない。この違いが、ドル安（ユーロ高）を演出している大きな要素といえます。

　もっとも、今のFXマーケットでは、金利差はあまり重要視されていません。ワクチンの接種がついに始まり、マーケットのテーマは、金利差からコロナ後の「世界的経済成長」へと移っているのです。

　米国の一極成長あるいは世界的低成長の時代においては、ドルにマネーが集まる傾向がありますが、世界的同時成長の時代では、米国以外の地域の投資妙味が米国に比べて相対的に大きくなり、ドルが売られやすくなります。

　ワクチンが世界中に行き渡る見通しが出てきたということは、コロナ後の経済回復の可能性に関しては、世界中どこも同じチャンスがあることになります。ただ、すでに過去最高値を更新している米国株式に比べて、それ以外の地域は、これまで出遅れていた分だけ投資リターンが高くなると考えられています。

　長期投資家は、ドル資産運用によるアウトパフォーマンスを何年間も積み上げてきましたが、ドル一辺倒のエクスポージャーを減らし分散投資を模索し始めています。ドルを今後も保有したいという強い理由が表れない限り、この傾向は続くことになるでしょう。

　経済回復の期待が徐々に強まり、マーケットのテーマとして「リフレ（デフレ以上インフレ未満の状態）」がじわじわと定着する状況になり、株式と世界の金利が連動して上昇。このようなケースではリスクオフの観点からもドル安傾向が強まります。

　ドルに対して、ユーロだけではなく、資源国通貨の豪ドルやカナダドルが高くなり、新興国通貨に再びマネーの流入が始まっています。