先週末3月24日(金)の日経平均終値は19,262円でした。前週末終値(3月17日の19,521円)から約259円安となり、株価水準が一段下がった印象です。

(図1)日経平均(日足)の動き(2017年3月24日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

いつもの通り、足元の状況を上の図1で確認してみます。

先週の値動きでポイントとなったのは、「窓空け」で大きく下落した3月24日(水)です。翌25日(木)の取引では、一時的に節目の19,000円台を下回る場面も見せています。この下落によって、順調に下値を切り上げてきたペースが途切れてしまい、下値の堅さを示す材料のひとつが無くなったことで、相場は下げやすくなった可能性があります。

また、この窓空けによる下落によって、日経平均は昨年11月の米国大統領選挙時以来となる75日移動平均線の下抜けを見せています。週末時点(3月24日)では75日移動平均線の水準を回復していますが、3カ月間の値動きの中心線を下回ったことで、積極的に上値をトライしていくムードではなくなりつつあると考えられます。5日移動平均線も75日移動平均線を下抜ける「デッドクロス」になりそうな格好ですし、仮に株価が反発する場面になっても、あまり長続きしない可能性があります。

となると、基本的な売買スタンスは「安くなったところを拾う」ことがメインになりそうです。ただし、足元のテクニカルの状況は良くないサインが多く、安いところといっても、これまでのレンジ相場を想定した安値だけでなく、相場が大きく下振れる可能性も考慮に入れておく必要が出てきました。「上値が重たく、もみ合いを続けているうちに下落トレンドに転じる」というのが、現時点での警戒すべきシナリオですが、実は同じような状況が2015年の夏場にありました。

(図2)2015年夏場の日経平均(日足)の状況

(出所:MARKETSPEED for Macを元に筆者作成)

当時の日経平均は21,000円をトライしながらもみ合っているうちに下落トレンドに転じていますが、ポイントは、①下値の切り上げペースが途切れ、株価が75日移動平均線を下抜けることと、②5日移動平均線と25日移動平均線が75日移動平均線を下抜く「デッドクロス」のふたつです。足元の状況は①のポイントを達成していますので、次は②を達成するかが注目され、25日移動平均線の動きがカギを握ることになりそうです。

25日移動平均線と言えば、以前、「米トランプ政権に対する期待と不安のバロメーターとして機能している」と述べたことがあります。

(図3)日経平均(日足)の動きとトランプイベント

(出所:MARKETSPEED for Macを元に筆者作成)

あらためて整理してみますと、依然として25日移動平均線がバロメーターとして機能していることがわかります。足元ではいわゆるオバマケア代替法案の議決が難航していることが警戒されて25日移動平均を下回る格好になっています。

結局、この代替法案は可決の見込みが立たずに撤回されることになりました。トランプ氏の公約のひとつが実現できないことを意味するため、トランプ政権への期待に対するダメージは大きいと言えます。

もっとも、早々に撤回したことで、次の減税や財政出動の政策実現に注力できるとの前向きな見方もありますが、基本的にはトランプ政権の政策推進力と実行力、議会との調整力に疑問を持つ見方の方が自然です。例えば、これから取り組むことになる税制改正についても、「総論では賛成多数、各論では反対多い」という構図はオバマケア代替法案と同じです。

そのため、「堅調な米国経済にトランプ政権の政策期待が追い風になる」というこれまでの流れに変化が生じている可能性が高まっていると考えられ、注意が必要かもしれません。