信用取引を上手く活用することで、相場の上昇・下落局面を問わず収益チャンスが増えるということは、これまでにも繰り返し触れてきましたし、多くの信用取引関連書籍などでも述べられています。
確かにその通りなのですが、むしろ難しいのは、相場のトレンド判断や、売り建てと買い建ての売買判断の方です。とくに、売買判断については、「順張りと逆張りのどちらが良いのか?」というのが大きなテーマになっています。
「順張り」とは、株価の動きが発生している方向に沿って売買することです。実際の信用取引では、上昇トレンド中に新規買い建てを行う、もしくは下落トレンド中に新規売り建てを行うことになります。トレンドの継続に従って利益をねらう考え方ですが、トレンドがいつ終了するのか判らず、思ったよりもすぐにトレンドが終了してあまり利益が出なかった、もしくは、新規建てしたタイミングが天井(底)で損してしまうかもしれないという不安があります。
一方、「逆張り」とは、順張りの反対で、発生しているトレンドに逆らって売買することです。上昇トレンドの中で新規売り建てを行う、下落トレンド中に新規買い建てを行うわけですが、その背景には、「さすがにもうそろそろ天井(底)だろう」といった、相場の過熱感によるトレンド転換を期待する考え方があります。想定通りにトレンドが転換すれば、絶妙な売買タイミング(安いときに買う、高い時に売る)になりますが、逆にトレンドが継続してしまうと、損失が拡大してしまいます。
一般的に、個人投資家は逆張りを好む傾向があるとされています。その根拠とされているのが、東京証券取引所が毎週公表している「投資部門別売買動向」です。下の図は日経平均(週足)の動きと個人投資家の買い越し・売り越し額の推移を表したものですが、日経平均の上昇局面では売り越し、下落局面では買い越しとなる場面が多くあります。
日経平均(週足)と個人投資家の売買動向
ただし、実際には一般的に言われているほど個人投資家は逆張り傾向ではないと思われます。例えば、上昇トレンドに乗って短期的に上手く利益を出した場合、買った時の売買代金よりも、売却時の売却代金の方が大きくなり、結果的に売り越しになるケースもあるからです。
今回は、順張りと逆張りの特徴に焦点を当てましたが、「どちらが優れているか?」という議論そのものにあまり意味がなく、「どう使い分けたら良いのか?」の方が重要です。次回は、その使い分け方についての一例を紹介したいと思います。
≫≫1分でわかる信用取引25【信用取引戦略】順張りと逆張りについて(その2)
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