為替ヘッジあり・なし、どっちがいいの?

 米ドルやユーロなど、外貨建ての資産に投資していても、国内籍投資信託の基準価額はすべて日本円で算出されます。このため、外貨建て資産に投資するファンドの場合、日本円で基準価額が算出される段階で為替変動の影響を受けることになります。円が主要通貨に対して上昇する円高の状態は、外貨建て資産に投資するファンドの収益を目減りさせてしまいます。為替ヘッジは、こうした為替変動の影響を抑えるための「保険」のような機能です。

 近年は、「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」がペアで展開されている投資信託も増えました。「為替ヘッジあり」の投資信託を選べば、為替変動の影響を気にすることなく海外の株式や債券に投資することができます。

 ただし、為替ヘッジにはコストがかかります。この費用は、運用されている資産(信託財産)から差し引かれるため、投資家が直接支払うわけではないものの、基準価額にはマイナスの影響を及ぼします。

 他方、「為替ヘッジなし」とは、為替変動に対して何も「保険」をかけていない状態のことで、為替が円高に振れると収益は目減りしますが、反対に円安に振れたときは為替差益が収益に上乗せされます。

 では早速ですが、今回もクイズを通して為替ヘッジについて理解を深めていただきましょう。

クイズ次の説明で、正しいものには〇を、間違っているものには×を付けてください
  1. 為替ヘッジのコストは一定である
  2. 部分的に為替ヘッジを行うファンドもある

1:為替ヘッジのコストは一定である

解答:×

 一般的に為替ヘッジは、将来交換する為替レートをあらかじめ予約する「為替先物予約」などを通じて行われます。この際、「ヘッジコスト」として一定の費用がかかることは前述した通りです。

 ヘッジコストには、為替変動の影響を抑えたい外国通貨(例:米ドル)と日本円の短期金利差が反映されます。各国の短期金利は変動するので、ヘッジコストも金利差に応じて変動します。金利差が小さければ小さいほどヘッジコストは低く済みます。一方、金利が高い通貨でヘッジをしようとすると、その分だけヘッジコストがかさみ、運用収益を押し下げる要因になります。

 なお、足元では、世界的な金融緩和政策の影響で金利が低下していることなどを背景に、主要国通貨の為替ヘッジコストは低水準にとどまっています。

2:部分的に為替ヘッジを行うファンドもある

解答:〇

 運用資産全体に為替ヘッジをかけることを「フルヘッジ」といいます。これに対し、運用資産の一部について為替ヘッジをかけることを「部分ヘッジ(または、一部ヘッジ)」、相場状況に応じて為替ヘッジをかけることを「適時ヘッジ」といいます。

 その投資信託が為替ヘッジを行うかどうか、また、為替ヘッジを行う場合の具体的な種別については、目論見書で確認することができます。目論見書の表紙(またはその次のページ)に記載されている、投資信託協会の属性区分の一覧表に「為替ヘッジ」という項目がありますので、保有しているファンドが為替変動に対してどのような対応を取っているか、一度確認してみてください。

 なお、繰り返しになりますが、為替ヘッジというのはあくまでも「保険」のような機能です。円高が進行することによって追加的な収益を期待できるものではないので、その点は注意しましょう。