10万円で買える金(ゴールド銘柄)20!

No 銘柄名 種類 最低
投資金
価格
1 純金積立 純金積立 1,000円 6,253円
2 SPDRゴールド・シェア  国内ETF(1326) 18,120円 18,120円
3 金価格連動型上場投資信託 国内ETF(1328) 49,450円 4,945円
4 純金上場信託(現物国内保管型) 国内ETF(1540) 6,010円 6,010円
5 NEXT NOTES 日経・TOCOM 金ダブル・ブルETN 国内ETN(2036) 17,200円 17,200円
6 NEXT NOTES 日経・TOCOM 金ベア ETN 国内ETN(2037) 5,690円 5,690円
7 SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト 海外ETF(GLDM) 1,931円 18.65ドル
8 iシェアーズ・ゴールド・トラスト 海外ETF(IAU) 1,849円 17.86ドル
9 ヴァンエック・ベクトル・金鉱株ETF 海外ETF(GDX) 3,720円 35.92ドル
10 バリック・ゴールド 外国株(GOLD) 2,364円 22.83ドル
11 アングロゴールド・アシャンティ 外国株(AU) 2,366円 22.85ドル
12 アグニコ・イーグル・マインズ 外国株(AEM) 7,351円 70.99ドル
13 フランコ・ネバダ 外国株(FNV) 13,424円 129.64
ドル
14 ゴールド・フィールズ 外国株(GFI) 975円 9.42ドル
15 ステートストリート・ゴールドファンド
(為替ヘッジあり)
投資信託 100円 8,460円
16 ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり) 投資信託 100円 10,810円
17 ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし) 投資信託 100円 11,799円
18 三菱UFJ 純金ファンド 投資信託 100円 15,839円
19 UBSゴールド・ファンド 投資信託 100円 10,489円
20 金スポット 商品先物(国内) 27,000円 6,190円
出所:各種資料より筆者作成
※最低投資金の額は2020年12月23日時点
※海外ETF・産金株の最低投資金算出時、ドル/円は103.63円とした

2021年、金は史上最高値を更新できると予測!

 今回は、金(ゴールド)関連の具体的な投資商品を紹介します。筆者は以前の「金(ゴールド)市場2021年10大予測:2021年の年末、2,100ドル超えも?!」で書いたとおり、2021年、国内外の金価格は史上最高値を更新すると考えています。

 投資商品によっては、値下がりすることで利益が出るものもありますが、基本的には、買った時の価格よりも、売却した時の価格が高ければ利益が出る、つまり値上がりで利益が出るものがほとんどです(手数料などの取引コストを考慮せず)。

 その意味では、2021年の金価格は上昇するという筆者の考えが正しければ、2021年は金(ゴールド)の投資環境としては悪くない(むしろ良い)と言えると思います。

 では、一口に金投資といっても、どのような商品があって、どれをどういう理由で選べばよいのでしょうか。仮に価格が上がるのであれば、その値上がりの恩恵をどうすれば享受できるのでしょうか。本レポートが、読者の皆さまそれぞれがこれらの問いの答えを導き出す、一助になれば幸いです。

金(ゴールド)投資は、長期投資を前提とすれば10万円以下で投資可能

 実は金(ゴールド)投資は、長期投資を前提とすれば、おおむねどれも10万円以下でできます。これまで、貴金属関連のレポート巻末で紹介してきた、楽天証券で取引できる関連する20数銘柄のうち、長期投資を前提とした商品は、いずれも10万円以下で取引することができます。

 以下は、筆者が考える長期投資になじむ金(ゴールド)関連20銘柄における、楽天証券のサービス内容に基づいた、最低投資額の高い銘柄、安い銘柄の上位とそれぞれの金額です。

図:筆者が考える長期投資になじむ金(ゴールド)関連20銘柄の最低投資額の上位と下位

出所:楽天証券の諸サービスの情報をもとに筆者作成
※最低投資額は2020年12月23日時点
※海外ETF・産金株の最低投資額算出時、ドル/円は103.63円とした

 上記の投資信託5つは、20銘柄の中で最も安い100円から取引を始めることができます。最も高い「NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信」(国内ETF 1328)でも、5万円前後です。また、これらの投資信託、国内ETFは、楽天スーパーポイントでも購入できます。

 長期投資を前提にした場合、証券口座さえ開設すれば、“誰でも、気軽に取引できる”、それが金(ゴールド)投資、と言えます。

ドル建て商品と円建て商品とで、パフォーマンスに差が生じた2020年

 長期投資を前提にした場合、金関連商品は、最低投資額が比較的少額であることについて書きました。ここからは、具体的に銘柄を選ぶ際の、留意点を書きます。一口に“金(ゴールド)”といっても、ある条件が加わると、“イメージ”と“値動き”が異なるケースが発生するためです。

 以下は、世界の金(ゴールド)価格の指標の一つであるニューヨークの金先物(以下NY金先物)価格と、それに追随する傾向があり、日本の金価格の指標の一つでもある大阪の金先物価格の推移を示しています。どちらも、金(ゴールド)ですが、価格の山・谷に、強弱の差が生じていることが分かります。

図:NY金先物と大阪金先物価格の推移(ともに中心限月)(2020年1月6日を100として指数化)

出所:ブルームバーグのデータをもとに筆者作成

 山と谷が到来するタイミングはほぼ同じであるものの、変動時の“程度”が異なるため、同一の値動きになっていません。同じ金(ゴールド)なのですが、なぜ変動時の程度が異なるのでしょうか。

 ドル建て金とそれに追随する円建て金の間に、“ドル/円”が存在し、そのドル/円の変動が、2つの金の変動時の程度を異なるものにしています。

 ざっくり言えば、ドル/円がドル安・円高に振れるとき、ドル建て金は円建て金よりも上昇しやすく(=円建て金はドル建て金よりも下落しやすく)なります。また、ドル/円がドル高・円安に振れるとき、ドル建て金は円建て金よりも下落しやすく(=円建て金はドル建て金よりも上昇しやすく)なります。

 グラフのとおり、2020年は日を追うごとに、ドル建て金が円建て金よりも強くなっていきました。これは、ドル/円がトレンドを伴ってドル安・円高方向に推移したためです。

 米国での新型コロナ感染拡大、米国の大規模な金融緩和、米国の大規模な財政出動など、ドルが弱くなる要素が散見されました。このような材料によって、年初は1ドル108円前後だったドル/円は、徐々にドル安/円高が進行し、12月下旬は1ドル103円台となりました。

 もちろん日本も、金融緩和は行っていますし、大規模な財政出動も行っていますし、新型コロナの感染拡大も起きています。それでもドル/円が、ドル安・円高に振れるのは、日本よりも米国の方が、これらの要素の規模が大きいためとみられます。

 ドル/円にトレンドが出ている場合は、金(ゴールド)投資においても一定の留意が必要です。2020年のように、ドル安・円高が進行している時、保有している金(ゴールド)が円建てであれば、“世界の指標であるドル建てに比べて”、上昇が弱い、あるいは逆に下落する、などの事象が発生し得るためです。

金関連商品を、分野別、国内外別で分類すると、どれが自分に合うのかが見えてくる

 ドル建てと円建ての値動きの違いについて述べました。どちらが良くてどちらが悪い、とは言えません。

 世界で起きている事象をダイレクトに反映する“指標そのもの”に投資をしたい場合はドル建てを選択する、日本特有の円やグラムになじみがある(ドルやトロイオンスになじみがない)場合は、円建てを選択する、というアイデアもあります。

 また、ドル建てと円建て(通貨建て)の違いの他、金(ゴールド)投資を考える上で、別の切り口があります。“投資商品の分野”です。金(ゴールド)関連の投資商品は、多様な投資家の皆さまが取り組むことができるように、さまざまな分野に存在します。

 長期投資を前提にした場合、純金積立、国内ETF/ETN、海外ETF、投資信託、外国株、一部の商品先物といった分野に、それに見合った金(ゴールド)関連の投資商品が存在していると、筆者は考えています。

 そして、これらの分野に分類できる筆者が考える20銘柄は、先述のとおり、いずれも10万円以下で取引ができます。

世界の金価格の指標により近い値動きを望むのであれば、ドル建て金に連動する商品

 ここからは、指標となり得る国内外の商品先物市場の金(ゴールド)と、長期投資になじむと考える金関連商品の相関係数※に注目します。

※相関係数とは、2つの銘柄の価格の関係を数値化したもので、+1と-1の間で決まります。+1に近ければ近いほど、“同じように動く”、“高い連動性”があることを意味します。以下の図に登場する+0.99などは、2つの銘柄の価格の連動性が “非常に”高いことを意味します。

 ドル建て金の指標(世界の金価格の指標)の一つであるNY金先物と相関係数が高い上位10銘柄は、以下の図とおりです。

図:NY金先物と相関性が高い金関連の投資商品

出所:各種資料をもとに筆者作成
※相関係数は1月6日から12月23日までの期間で算出
※最低投資金の額は2020年12月23日時点
※海外ETF・産金株の最低投資金算出時、ドル/円は103.63円とした

 上位2銘柄はいずれも、もともとドル建て金の価格に連動することを目指した設計になっているため、NY金先物との相関係数が非常に高くなっています。

 投資信託の“為替ヘッジ”は、海外関連の銘柄を円で取引する際に為替(ドル/円)の値動きを考慮することを意味します。3位と4位の“為替ヘッジあり”の投資信託が、9位の“為替ヘッジなし”の投資信託に比べて、NY金との相関係数が高くなっているのはこのためです。

 世界の金価格の指標(ドル建て金)により近い値動きを望むのであれば、できるだけNY金と相関性が高い銘柄がなじむと思います。

 例えば、海外ETF、投資信託(為替ヘッジあり)のどちらを選ぶ? という問いがあるとすれば、その答えを導き出す上で、最低投資金の額のほか、取引画面上の価格の単位がドルであることになじめるかどうか(海外ETFの単位はドル)、積立取引ができるかどうか(投資信託はできる)、楽天スーパーポイントで投資できるかどうか(投資信託はできる)、これまでの投資のご経験(外国株や海外ETF、投資信託の取引経験がある・ない)などが、判断の決め手になるのではないでしょうか。

“円”や“グラム”など、日本式の単位にこだわりがあれば、円建て金に連動する商品

 以下は、円建て金の指標の一つである大阪金先物と相関係数が高い上位10銘柄です。

図:大阪金先物と相関性が高い金関連の投資商品

出所:各種資料をもとに筆者作成
※相関係数は1月6日から12月23日までの期間で算出
※最低投資金の額は2020年12月23日時点
※海外ETF・産金株の最低投資金算出時、ドル/円は103.63円とした

 上位銘柄は、円建て金の価格に連動する設計、あるいは円建て金そのものであるため、大阪金先物との相関係数が非常に高くなっています。投資信託は“為替ヘッジなし”の方が、大阪金先物との相関係数が高くなっています。

 “ドル”や“トロイオンス”などの単位になじみがなかったり、“円”や“グラム”にこだわりがあったりする場合は、ドル/円の動きが介在することを許容しつつ、円建て金の指標(大阪金)と相関性が高い銘柄を選ぶのがよいと思います。

 相関係数1位の金スポットは、取引期限のない商品先物銘柄です。最低取引単位(1枚)の最低投資金は2万7,000円ですが、およそ63万円分の資金が動く、実質的に23倍程度のレバレッジ(てこの原理)が効いている、資金効率が高い取引です。(各数字は2020年12月23日時点)

 このため、思惑通りに相場が動けば、利益は他の金関連の銘柄に比べて大きくなりますが、思惑に反して相場が動けば、預けた以上の損が発生する場合もあります。資金に余裕を持って、取引することが重要です。

 2位の「SPDRゴールド・シェア、国内ETF(1326)」、3位の「純金積立」は、いずれも人気の金(ゴールド)関連銘柄です。特に純金積立は、投資初心者の方がはじめて手掛ける投資商品として、なじむと筆者は考えています。

 純金積立は、金(ゴールド)に興味があってもなくても、投資初心者の方にはうってつけだと、筆者は感じています。取引のルールや取引画面内で使われている言葉に、難解な横文字(カタカナやアルファベット)が、他の投資分野に比べて少ないと思うからです。

 取引の仕組みそのものもシンプルです。難解な言葉が比較的少ないことや仕組みがシンプルである点は、投資を学ぶ第一歩を踏み出す際に、非常に重要な要素だと思います。“投資に慣れる”ための導入過程として、純金積立に取り組んでみるのも、良いのではないでしょうか。

[番外編]金価格が下落すると利益が出る取引!?著名投資家も買った“産金株”にも注目

 産金株とは、金鉱株とも呼ばれ、金(ゴールド)の鉱山の権益を持っている会社の株式のことです。金の鉱山は、米国、オーストラリア、中国、南アフリカなど、世界各地にあり、産金会社は自分の国のみならず、他国の鉱山の権益を有しているケースは珍しくありません。

 産金株には、NY金先物や大阪金先物との相関係数が+0.8を超えるものが複数あります。金価格と連動することを目指して設計されたETFや投資信託のような相関係数の高さはありませんが、一定の連動性は認められると言えると思います。

 2020年8月、投資会社バークシャー・ハサウェイを率いる著名投資家のウォーレン・バフェット氏が、投資銀行株を売却して産金株を買った、と報じられ、話題になりました。

 それまで、“金利がつかない”ことを主な理由に、金(ゴールド)への投資に否定的なスタンスをとっていたバフェット氏でしたが、金鉱山株の一つ「バリック・ゴールド(外国株(GOLD))」の株式を保有しました。

 また、2019年には、米IT主要企業の頭文字をとった「FANNG」ならぬ、「BAANG」というキーワードで産金株に注目が集まったこともありました。BANNGとは、Barrick Gold:バリック・ゴールド(GOLD)、AngloGold:アングロゴールド・アシャンティ(AU)、Agnico Eagle Mines:アグニコ・イーグル・マインズ(AEM)、Franco-Nevada:フランコ・ネバダ(FNV)、Gold Fields:ゴールド・フィールズ(GFI)です。

 産金株は、一定の連動性が認められるため、疑似的に金(ゴールド)に投資をしている効果が期待でき、同時に、その会社が配当を出せば、配当金を受け取ることができます。ある意味、金利がつかない金投資のデメリットを補完しながら、金に投資ができるのが、産金株への投資と言えます。

図:その他の金(ゴールド)関連の投資商品

出所:各種資料をもとに筆者作成
※最低投資金の額は2020年12月23日時点
※海外ETF・産金株の最低投資金算出時、ドル/円は103.63円とした

 また、金価格が下落すると利益が出る取引もあります。先述の、国内商品先物の「金スポット」は、新規取引の際、値上がりを見込んだ“買い”だけでなく、値下がりを見込んだ“売り”の取引もできます。新規取引で“売り”をした場合、思惑に反し価格が上昇した場合は、損が発生します。

 また、上図の「NEXT NOTES 日経・TOCOM 金ベア ETN 国内ETN(2037)」は、金価格が下落することが予想される時に買う、投資商品です。

 この銘柄の、大阪金先物やNY金先物との相関係数に注目すると、-0.98前後です。相関係数は+1から-1の範囲で決まりますが、-1に近ければ近いほど、2つの銘柄は逆の動きをしていることを意味します。

 金価格が下落(上昇)する時、NEXT NOTES 日経・TOCOM 金ベア ETN 国内ETN(2037)が上昇(下落)することを目指す、商品設計になっているためです。

[番外編]で書いた、金価格が下落すると利益が出る取引や、著名投資家も買った“産金株”も、10万円以下で取引できる金(ゴールド)関連銘柄です。金価格と相関係数が高い銘柄と合わせて、ご注目ください。

コロナ2年目の2021年、不安心理、金融緩和などが、金価格を下支えするか

 2021年は、コロナ2年目です。コロナ禍の不安心理や、コロナで負った経済的ダメージを回復させるべく主要国が行っている大規模な金融緩和は、コロナが収束するまで、続く可能性があります。もしかしたら、来年は通年で、不安心理や金融緩和という材料が存在し続ける可能性もあります。

 筆者は、金(ゴールド)市場には、5つのテーマが存在していると考えています。“有事のムード”、“代替資産”、“代替通貨”、“中国・インドの宝飾需要”、そして“中央銀行”です。

 先述の不安心理は“有事のムード”を強め、金融緩和は“代替通貨”の需要を拡大させる要因になり得ます。また、中国の景気回復が続けば、“中国の宝飾需要”が増し、時折、株価が不安定化すれば“代替資産”の需要が拡大し、さらにこの10年、金(ゴールド)の買い手である中央銀行が引き続き買い手であり続ければ、“中央銀行”のテーマでも、金市場に追い風が吹く可能性があります。

 2021年は、以前の「金(ゴールド)市場2021年10大予測:2021年の年末、2,100ドル超えも?! 」で書いたとおり、2021年は、国内外の金価格が史上最高値を更新すると考えています。

 金相場に関心を寄せつつ、ここぞと思われた際は、本レポートで取り上げた、10万円以下で取引できる関連銘柄に、ご注目ください。

 こちらも合わせてご覧ください。
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