2021年はアフターコロナで金融緩和縮小。波乱の展開も?

 たぱぞうの米国株投資を運営する人気投資ブロガー・たぱぞうさん。10数年前から日本の割安株投資を始め、2010年からアマゾンなど個別株やS&P500指数に連動したETF(上場投資信託)など、米国株一辺倒の投資で資産8倍増に成功しているたぱぞうさんが、グローバル、かつ総合的な視点で、2021年の10大予測!

2021年はこうなる!10大予測
1 新型コロナ克服も⁉ アフターコロナを見据えた市場へ
2 いつでもどこでも仕事
3 減り続ける出張や会合
4 持つものと持たざるものの格差拡大
5 不動産価格の下落
6 マーケットは波乱含みの展開へ
7 さらなる補助金、延命へ
8 企業の人員整理が始まる
9 そこそこ広がる田舎暮らし
10 円で買えるドル資産の拡充

1:新型コロナ克服も⁉アフターコロナを見据えた市場へ

「2021年はアフターコロナが意識されるでしょう。すでに多数の製薬会社のワクチン開発・供給、実際の接種に向けた動きが進んでおり、2021年の末には新型コロナウイルスの完全克服も視野に入ります。そうなると、2020年の株式市場を支えてきた金融緩和は当面維持されるものの、縮小を見据える展開になってくるはず。金利が上昇し、逆に株式は調整局面入りする可能性もあります。少なくとも、セクターごとの差がはっきり出るでしょう。すでに米国の大手ハイテク株に代表される成長株はかなりオーバーバリュー。ポジションを極端に落とす必要はないと思いますが、2020年なみの成長を維持、継続するのは厳しそうなので、一定の金額は投資しておきながら、相場が動けばスポット参戦したりすることで、手堅い投資を追求したほうがいいと思います」(たぱぞうさん)

2:いつでもどこでも仕事

  2020年、世界を襲った新型コロナウイルスは、好むと好まざるとにかかわらず、人々の生活様式を激変させた。その変化は今後、ニューノーマルとして定着するだろうというのが、たぱぞうさんの読みだ。

「コロナ禍で急速に普及したリモートワークが定着、さらに進化するかもしれません。どこで働くかという『場所』だけでなく、いつ働くかという『時間』の制約も受けないで仕事ができる暮らしがごく当たり前になると思います。実際、私はすでにそういった完全リモートの生活を実践しています」(たぱぞうさん)

3:減り続ける出張や会合

「会合や会議や商談、営業、当然、出張などもそうですが、Zoomなどのビデオ通話で代替可能なものはすべて、なくなってもおかしくないと思います。少なくとも、どんどん減り続けていくでしょう。私自身、今は会合や勉強会なども極力、Zoomで対応しています」(たぱぞうさん)

4:持つものと持たざるものの格差拡大

「日本の平均年収はずっと低迷しています。減り続ける給料から月々いくらかのお金を貯蓄に回しても、銀行預金の金利が低すぎてまったく増えません。反対にそのお金を投資に回していたら、大きく資産を増やすことができました。日経平均株価や、それ以上の長期的上昇が続くS&P500など米国株の株価指数を見れば一目瞭然です。この10年、投資をしてきた人と、そうでない人の資産額は大きく差が確実に広がりました。2021年に入っても世界的な金融緩和は急には終わらないので、投資が重要なのはこれからも変わりません。持つものと持たざるものの格差というか、貯金だけしかしていない人と投資をしている人の金融格差はますます広がる一方でしょう」(たぱぞうさん)

5:不動産価格の下落

「新型コロナウイルスのまん延によるリモートワークや外出自粛の影響でオフィスビルや商業施設といったビジネスに絡む不動産だけでなく、個人が住むレジデンシャルについても、徐々に賃料や不動産価格の下落が始まるでしょう。都市部になればなるほど、その傾向は顕著になるはず。個人的には、下がりきったところは買いだと思っています」(たぱぞうさん)

6:マーケットは波乱含みの展開へ

「今に始まったことではありませんが、株式市場は1~2年に1回は大きな市場不安に見舞われます。アフターコロナにおける金融政策の不透明さは、市場が動揺のきっかけになり得るので、2021年は波乱含みの展開になりそうです。2021年のどこかの段階で株式市場が大きく調整する可能性は高いと思います。ただし、大きな下げに対しては、個人的には買いで臨みたいと思います。乱高下が続くような展開では、周囲の情報に振り回されず、自分自身の目線を常に持っておくことが大切です」(たぱぞうさん)

7:さらなる補助金、延命へ

「2021年が新型コロナウイルス克服の1年になるのは確かですが、2021年の年明けあたりからは新型コロナがさらに勢いを増し、再度の非常事態宣言など社会活動が停滞する可能性があるでしょう。飲食業者など、運転資金確保を必要とする企業に対して、政府はさらなる補助金の支給や融資の援助を行うと思います。金融機関との連携を深めておくことが、いざというときの備えになると思います」(たぱぞうさん)

8:企業の人員整理が始まる

「補助金などをもらっても、コロナ禍で持ちこたえられない企業の人員整理が本格化しそうです。それは業種を問わず、どの企業にも起こり得ることだと考えています」(たぱぞうさん)

9:そこそこ広がる田舎暮らし

「大予測8つめとは反対に、完全なリモートワークでも企業のニーズに応えられる人、リモートで仕事が完結してしまう人にとっては、家賃や生活費が高い都会に住む意味がなくなってくるでしょう。好き嫌いの問題もあるとは思いますが、東京など都市圏を離れ、田舎暮らしする人の数もそこそこ増えていくのではないでしょうか」(たぱぞうさん)

10:円で買えるドル資産の拡充

 コロナ・ショックに見舞われた2020年3月、たぱぞうさんは日本の株式市場に上場する、信託報酬が極めて低い「iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF」(1655)の底値買いに成功した。

「最近は、円で買える金融商品の中にも、米国株に投資できる低コスト投資信託やETFが拡充されています。その流れは2021年も静かに進むでしょう。円で完結できるもので、信託報酬の低いETFを積極的に活用して米国株に投資するべきだと考えています」(たぱぞうさん)

投資対象としては依然、米国が有利か。広がる一方の資産格差

「2020年は過去最大に資産を伸ばすことができました」と振り返るたぱぞうさん。乱高下が続きボラタイルな相場だったが、分散を意識して「これぞ」というタイミングのみで資金を投入。「コロナ・ショックに見舞われた3月中旬をはじめ、3回ほど大きな勝負をしましたが、いずれも成功しました。そのうちの2回は売りが早すぎて、利益を取り逃がした面もありますが、それでも良しとします。売りが早いのは気が弱いからですかね」と笑う。

 来たる2021年もコロナ・ショック以降の2020年同様、好調な相場が続くのだろうか?

「日本およびユーロ圏では緩やかな経済成長が見込まれる中、やはり米国が先進国の中ではナンバーワンの成長性を維持すると思います。適切な地域、適切な国に投資を続ければ、誰でも資産形成ができるような良好な流れは、今しばらく続くでしょう。今後も資産格差は広がる一方なので、投資を続けて自己防衛をしていく他ないと思います。株式以外では、コロナ禍で低迷傾向にある不動産も選択肢の一つだと思いますが、長期的には少子高齢化の影響もあって2040年以後は難易度も増しそうです。予測にこだわるのではなく、そのときどきの状況に応じて、ベストな投資対象や手法を柔軟に探っていく姿勢が大切だと思います」(たぱぞうさん)

たぱぞうさんプロフィール

月間100万PVのブログ「たぱぞうの米国株投資」ではオンラインの勉強会を行うなど精力的に活動。2010年、リーマン・ショック後で底値圏だった米国株投資を始め、飛躍的な成功を収める。著書に『40代で資産1億! 寝ながら稼げるグータラ投資術』(きずな出版)『お金が増える米国株超楽ちん投資術』(KADOKAWA)は中田敦彦氏のYouTube大学で米国株投資を究めるための良書として取り上げられ6万部超えのベストセラー。2020年12月15日には新刊『目指せ!資産1億円!図解でよくわかる たぱぞう式米国株投資』(きずな出版)の出版が予定されている。現在は某投資顧問のアドバイザーも務める。
ツイッターアカウント:たぱぞう@米国株ブロガー@tapazou29