※モトリーフール米国本社、2020年11月7日投稿記事より

 米国の国勢調査局と住宅都市開発省が10月末に発表した最新数値によると、9月の新築住宅販売件数は8月実績をやや下回ったものの、前年同月比で32%増、契約締結額も同20.5%増と好調です。

 2008年〜2009年の金融危機最悪期を上回る失業率が続き、パンデミックが日常生活を混乱させているにもかかわらず、主として記録的な低金利のおかげで住宅業界は加熱状態にあります。

 住宅販売が好調なため、住宅建設業者のDRホートン(NYSE:DHI)レナー(NYSE:LEN)およびプルトグループ(NYSE:PHM)の株価は史上最高値の近辺まで上昇していますが、それでも驚くほど割安なことには気づいてないでしょう。

 ただし、住宅建設業者の株価収益率(PER)は業績が好調なときに極めて低く、不調になると高くなることがあるため、注意が必要です。

 住宅建設業者を評価するのにより適した尺度は、企業の時価総額に借入額を加えた金額を利払い・税引き・償却前利益(EBITDA)で割った比率であるEV(企業価値)/EBITDA倍率です。

 この比率を使用すれば、非現金費用による不透明さを除いて、企業価値と現金収益との比率を比較することが可能になります。

 以下、住宅建設業3社を比較してみたいと思います。

1. DRホートン

 DRホートンは時価総額で米国最大の住宅建設業者であり、住宅販売市場におけるシェアは17%です。

 同社は、利益率の高い住宅を建設するよりも、一貫したペースで住宅を販売するという戦略を採用しており、「住宅建設業界のウォルマート」というニックネームがついています。

 直近四半期に同社が販売した住宅の平均価格は29万6,450ドルでした。このエントリーレベルの価格帯(多くは12万ドル〜15万ドル)の重視は、手頃な価格の住宅を見つけるのが困難な現在の環境において、同社にとって有利に働いています。

 2020年6月30日までの9カ月累計で、純利益は前年同期の122億ドルから11%増の135億ドルとなりました。

 引き渡し戸数は同10%増、受注残は同41%増であることから、需要はすぐには衰えないと思われます。

 DRホートンのEV/EBITDA倍率は10.23倍です(2020年11月2日時点)。

 一方で、S&P500指数を構成するさまざまな業界の同倍率は12倍(公益事業と電気通信業)から19倍(一般消費財業界)の間です。

 そうした他業界の倍率やDRホートンの過去の同倍率と比較すると、同社は現在割安になっています。

2. レナー

 レナーは集合住宅と余分なものを省いた戸建て住宅を開発しており、同社の市場シェアも17%です。

 同社は2019年にエントリーレベルの住宅にさらに重心を移しました。

 DRホートンとの比較で言えば、2020年6-8月期にレナーが販売した戸建て住宅の平均価格は39万6,000ドルでした。

 同期の発注額は前年同期比で16%、受注残は同4%、利益は同30%増加しています。

 同社は、急成長中の地域で好位置につけており、成長率第5位のフロリダ州での売上が売上全体の29%、同第7位のテキサス州の売上が同16%を占めています。

 経営陣は、おそらく市場の減速に対する警戒から、土地在庫の削減を推進しており、直近四半期で住宅地の在庫年数を4.4年から3.8年に圧縮しています。

 レナーのEV/EBITDA倍率は10.63倍と(2020年11月2日時点)、DRホートンと同様に10年来で最低に近い水準にあります。

3. プルトグループ

 プルトの住宅販売は世代をまたいでより均等に分散されており、初めての購入者が29%、より大きな住宅に住み替える人々が45%、そして最低年齢に制限のある(高齢者対象の)コミュニティー向けが26%を占めています。同社の市場シェアは8.5%です。

 顧客がデザインを決める同社の住宅はより高価であり、直近四半期(7-9月)の平均価格は43万8,000ドルです。

 同期間の発注額は前年同期比で36%、受注残は同29%増加しました。

 ジェネレーションXの最年長組が55歳になり始め、住宅がオフィスやジム、複数世代の介護施設に転換されるにつれ、プルトの注文生産商品は、変化しつつある私たちの世界に最も適しています。

 同社のEV/EBITDA倍率は8.5倍と、ライバル企業と同様に市場の水準を大幅に下回っており、10年来で最低に近い水準にあります。

転載元:モトリーフール

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