2021年の中国株市場は強気でGO!

 テンセント、アリババ、米国株のアマゾンという米中巨大EC企業への集中投資で資産を1億円まで増やした、中国株投資の人気ブロガー、よしぞうさん。中国経済に精通するよしぞうさんが語る2021年10大予測とは?

2021年はこうなる! 10大予測
1 中国共産党創立100周年で経済活発化
2 2月10~16日の春節による消費行動回復
3 3月の全国人民代表大会開催後にネット株高騰
4 アントグループ上場再開によるアリババの信用回復   
5 米中デカップリングによる一時的な下落
6 コロナからの回復による経済復興
7 米中貿易摩擦の軽減による経済効果アップ
8 経済活性化へ向けて中国当局が金融緩和実施
9 習近平国家主席の2022年3選のための下準備
10 11月11日「独身の日」で消費銘柄上昇   

 

1:中国共産党創立100周年で経済活発化 

「2021年は中国共産党が創立されて100周年という中国にとっては記念すべき年です。中国政府としては歴史的節目に汚点を残すことがないよう、そして、今までの政権運営が正しかったことを証明するためにGDPの底上げなど経済活動の活発化を図るでしょう。面子を重んじる政府による全面的なバックアップが期待できるので、2021年の中国株にはかなり強気で臨みたいと考えています」(よしぞうさん)

2:2月10~16日の春節による消費行動回復 

「春節は中国経済にとって1年で最初の経済的、国民的行事で、その年の経済動向を見極めるうえでも非常に重要なイベントです。2021年の春節は2月10日~16日。世界の中でもコロナを比較的抑え込めている中国では、厳しいロックダウンで2020年の春節を祝えなかったぶん、消費行動が活発化すると思われます。春節の影響を受ける消費関連、旅行関連株などに注目しています」(よしぞうさん)

3:3月の全国人民代表大会開催後にネット株高騰 

「2020年11月に中国政府はネット業界の巨大化を念頭においた独立禁止法の草案を発表。中国当局から規制がかかるのではないかという懸念で、中国IT企業の株価が値崩れしました。しかし、毎年3月に開催される中国の国会にあたる全国人民代表大会で独占禁止法の詳細が判明すれば、懸念されていた規制等の具体的な概要が分かることで、逆に不透明感や不安要素が払拭され、中国IT関連銘柄の買い戻しが進む、というのが私の見通しです」(よしぞうさん)    

4:アントグループ上場再開によるアリババの信用回復

「2020年11月、上場2日前に世界最大の決済サービス『アリペイ 支付宝』を運営するアントグループが上場延期したことで、中国株市場のコーポレートガバナンスへの不安感が高まり、特に親会社であるアリババグループへの信用問題・業績懸念に発展しました。しかし、2021年中にはアントグループの上場手続きが再開するはず。アリババ株、ひいては香港証券取引所全体の株価見直しにつながっていくと考えています」(よしぞうさん) 

 5:米中デカップリングによる一時的な下落  

「トランプ政権下で激化した米中のハイテク分野における覇権争いですが、たとえ大統領が変わっても特定の中国企業への圧力が強まっていく恐れがあり、ファーウェイ以外の大手ハイテク企業や国民監視・人権問題と絡むような企業(監視カメラ企業等)への制裁がさらに広がれば、中国IT株の一時的な下落があるかもしれません。ただ、狙い撃ちされた特定企業はともかく、中国の大手IT企業は売上の大半を中国本土から上げているので、株価に振り回されずにじっくりと投資に当たることが大切だと思います」(よしぞうさん)

6:コロナからの回復による経済復興

「中国のコロナ対応に関しては、他国に比べると国家が強権を発動しやすく、早期に感染者隔離や部分的なロックダウンなどを行ったことで、他国よりも回復が早い状況が今後も続くでしょう。それにともなう消費行動の活性化により、落ち込んでいた経済活動が2021年にはかなり盛り返してくると思います。巣ごもり消費からの反動で、飲食・観光関連銘柄の株価回復に期待しています」(よしぞうさん)

7:米中貿易摩擦の軽減による経済効果アップ 

「米国大統領に就任することが濃厚になったバイデン氏は、トランプ大統領のような強い対決姿勢ではなく、協調性を重視した対中政策を進めると予想しています。米中両国がコロナによってダメージを受けている国内産業を立ち直させるために、一部関税の緩和などに踏み込めば、経済的な効果はそれほど高くないかもしれないですが、心理的な効果が非常に高く、株式市場も一時的に上昇するでしょう。ただし、米中の対立は依然として残されたままの状態が続くと思われるので、過度の期待は禁物です」(よしぞうさん) 

8:経済活性化へ向けて中国当局が金融緩和実施 

「コロナ後の世界経済が順調に回復しない場合、中国当局は2021年も追加の金融緩和を実施して経済を下支えする可能性があります。他国と比較すると政策金利はいまだ4.35%と高いため、まだまだ利下げする余力が残っています。中国当局が金融緩和を打ってくるようなら、不動産市場や株式市場に資金が流れ込み、資産価格の上昇へつながるはずです。ただし、過度の金融緩和は資産バブルを誘発し、必要以上に株価を押し上げる危険性もあります」(よしぞうさん) 

 9:習近平国家主席の2022年3選のための下準備

「中国では2022年に5年に1度開催される中国共産党全国代表大会が控えており、習近平国家主席の任期継続が決定される予定です。もともと2期10年(1期5年間)までしか国家主席になれなかった規定を改定して3期目の続投を狙う習近平主席にとって、2021年は共産党創設100周年と2期10年の最終年度が重なった極めて重要な年。内外に『強い中国』をアピールするため、例年以上に中国政府による中国株式市場の強い下支えが期待できるでしょう」(よしぞうさん)

10:11月11日「独身の日」で消費銘柄上昇 

「2020年11月11日で12回目を迎えた中国のネット通販セール『独身の日』。2020年は中国ネット通販最大手のアリババの取扱高がこのイベントだけで8兆円近くに達するなど、日本最大手の楽天の年間取扱高が3.5兆円であることを考えると、中国Eコマースのポテンシャルには引き続き注目です。主役のネット通販大手のアリババや京東(JD)はもちろんのこと、売上増加が期待できる出店企業の株価にも好影響があるはず。中国企業ではシャオミ、ハイアール、日本企業ではヤーマン、海外企業ではエスティローダー・カンパニーズなどに注目しています」(よしぞうさん)

中国市場、2021年もイケイケは続く!?

 波乱続きの2020年も資産28%増の好成績を叩き出すことに成功したよしぞうさん。「株式市場の雰囲気が強気な時は前のめりにならないように心掛け、株式市場の雰囲気が弱気な時は果敢に前に出るようにしていきました」と振り返るように、2~3月のコロナショックで株式市場が総悲観になった時、何回かに分けて仕込んだ銘柄が資産増に大きく貢献した。

 その極意は「最安値を狙うことはできなくても、安値圏内で徐々に拾っていくこと」。中国株は最近もアリババグループ傘下の金融子会社アントグループのIPOが中止になるなど、トップダウンで大逆転が起こりやすい不安定な展開が続く。そんなときも「機械的に資金を入れていくことで、できる限り、感情を排除してきました」と振り返るように、喜び過ぎず、へこみ過ぎない感情のコントロールと冷静な相場分析がよしぞうさんの持ち味だ。

 コロナ後の経済立て直しのために、世界的な金融緩和の継続と財政出動が続く2021年。よしぞうさんは「株式市場に対しては当面強気の方針でよいと考えています」という見解だ。米中のハイテク分野における覇権争いも、逆に中国IT企業が存在感を発揮するチャンスになると予想する。「AIやハイテク分野における情報管理社会の到来は、中国のような強権国家のほうが親和性が高く、中国が他の国に先駆けてスマートシティや自動運転プラットホーム、デジタル通貨の発行を実現することになれば、それがスタンダードとなり、該当技術を担当している中国企業が世界的なプラットホーマーになる可能性もあります」(よしぞうさん)。

 むろん、それを脅威と感じる米国が中国に対してより一層圧力を掛けていくのは必至。「米国がこのまま覇権を握り続けるのか、それとも中国が抜き去るのかが不確実なため、中国と米国の両方のハイテク企業、プラットホーム企業に投資することでリスクの分散を図っていくことが必要だと考えています」とよしぞうさん。世界覇権の行方に対してもしっかりリスクヘッジしていく独自のスタイルは、まさに冷静沈着そのものだ。

よしぞうさんProfile

 中国株ランキングで常に上位! 人気ブログ『よしぞうの投資ライフ(億超えの次へ)』を運営する、AFPの資格を持つベテラン投資家。2004年10月、100万円を元手に中国株投資を開始し、2018年、ついに投資資産1億円を突破。保有銘柄は、テンセント、アマゾンなど。投資手法は長期投資・集中投資。Twitterアカウント よしぞう@yosizoudesu

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