筆者が決算発表シーズンにいつも思うこと

 11月中旬が過ぎ、3カ月に1回訪れる決算発表の集中シーズンが終わりました。皆さんの中にも、ホッとされている方が多いのではないでしょうか。

 筆者が決算発表シーズンにいつも思うこと、それは「被弾が少なければいいなあ」ということです。

「被弾」とは、保有している銘柄の株価が決算発表をきっかけにして急落することです。これにより当然利益の目減りや損失の拡大が生じますから、できるだけ被弾はしたくないわけです。しかし今決算シーズンも、筆者の保有株のいくつかは被弾しました。中には決算発表当日に大きく値上がりした後、場の引け後に決算発表があり、ストップ安……という「えげつない」ものもありました。

集中投資をしていると、被弾の可能性も資産大幅増加の可能性も高まる

 筆者は、株式投資でのリスクをできるだけ小さくするための手段の一つとして、多数の銘柄に資金を分散して投資しています。

 その一方、2~3程度に銘柄を絞って集中的に資金を投下するという方法を取っている人もいます。

 専門家のアドバイスも、できるだけ資金を分散させるべきという方もいれば、できるだけ集中して特定の銘柄に絞って投資すべきという方もいます。

 この集中投資と分散投資の差は、決算発表シーズンに如実に現れます。

 仮に、もし3銘柄のみに資金を集中して投資していた場合、3銘柄中1銘柄でも決算発表をきっかけに株価急落となれば、かなりの痛手になるでしょう。

 でも、資金を数十銘柄に投資していた場合、そのうちの数銘柄が決算発表により株価急落しても、それほど大きなダメージとはなりません。1銘柄当たりの投資額が小さいからです。

 逆に、決算発表により株価が急騰する銘柄も少なくありません。もし3銘柄のみの集中投資であれば、そのうち1銘柄でも株価が大きく上昇すれば、プラスのインパクトは相当なものになります。しかし、数十銘柄に資金を分散している場合は、そのうちの数銘柄の株価が大きく上昇しても、全体としては大した増加にはなりません。

投資資金が少ない人の方が対応は難しい

 筆者は多数の銘柄に分散して投資することで、決算発表によりいくつかの保有株が大きく値下がりした一方、大きく値上がりした銘柄もあったため、トータルでは大きな痛手を負わずに済みました。

 ただ、投資資金が少ない方は、そもそも多数の銘柄に分散して投資できないため、決算発表後の株価急落の影響をもろに受けてしまうケースも少なくありません。運が悪いと、投資していた3銘柄全ての株価が急落し、大きく資産を目減りさせてしまった……などということも起こってしまいます。

 もちろん、逆に持ち株がみんな大幅高、というケースもあり得ますが、株式投資を長く続けたいのであれば、大きな損失をできるだけ避ける方が重要であると筆者は考えています。

 そこで、選択肢としては大きく以下の二つになります。

(1)資産が大きく目減りするリスク覚悟で、決算発表シーズンも保有を続ける

(2)資産が大きく目減りするリスクを避けるため、決算発表直前の株は保有しない

大きな利益を目指すのか、大きな損失を回避するのか

 この二つの選択肢は、多数の銘柄に分散して投資できるだけの資金がある場合も同様ですが、資金が小さい方こそ真剣に考えるべき問題です。

 最悪、投資資金がゼロになっても良いから大きな利益を目指したいのであれば、投資する銘柄数を絞って、(1)の選択肢を取ることになります。その結果、決算発表がよい内容のものであれば、株価の大きな上昇により資産の急拡大も可能です。

 大きな利益よりも大きな損失を避けたい、かつ多数の銘柄への分散投資ができない、というのであれば、決算発表を控えた銘柄の保有は控えるのが無難です。これにより、決算発表後に株価が急落してダメージを被ることはなくなります。一方で、決算発表の内容が良く、株価が急騰するケースには、おのずと乗れなくなります。

決算内容やその後の株価の動きを予想するのはNG!

 個別銘柄の決算の内容や、その後の株価の動きを予想して行動することは避けるべきと筆者は考えています。

 決算発表後に株価がどう動くかは、まさに神のみぞ知るところだからです。

 例えば、筆者が保有していた株で、2社とも決算内容はおおむね良好、今期の業績予想も当初会社が発表したものとほぼ同じ、というものがありました。でも、そのうちの1社は株価が急上昇しましたが、もう1社は株価が急落しました。なぜこのような株価の動きになったのか理由は、さっぱり分かりません。

 さらに、好業績間違いないと思って、下降トレンドにもかかわらず株を保有して決算を迎えた結果、予想通りの好業績だったにもかかわらず株価は急落……ということも頻繁にあります。

 要は、各社の決算の内容、というよりは、その決算の内容によって株価がどう動くかを事前に予想することが不可能だ、ということです。

 予想が外れたら大きな損失につながりかねません。自らの予想に頼って行動するのはぜひ控えるようにしてください。筆者は、決算発表直前の銘柄の買いを控える他は、いつもどおりのルール、25日移動平均線を超えたら買い、割り込んだら売り、ということを守って行動しています。