セクター全体の長期成長を楽観、業界集約化で大手が優位に

 BOCIは中国のスポーツアパレル・セクターの業界再編を見込み、長期成長を楽観視する。スケールメリットやブランド力、研究開発力、販路などの強みが、業界大手の市場シェアの拡大や採算性の向上を後押しするとの見方。セクター全体に強気見通しを示し、主要銘柄のカバレッジを開始した。滔搏国際(06110)、李寧(02331)の株価の先行きに強気見通し、安踏体育用品(02020)と特歩国際(01368)に中立見通しを付与した。

 中国消費市場の中でも、スポーツウエアは最も成長率が高い業種の一つであり、小売販売額は14-19年に年率平均16%増。健康志向の高まりや所得向上、政府によるスポーツ振興策などが追い風となった。英ユーロモニターによると、続く19-24年も同9%(為替変動要因を除く)の成長ペースを維持する見通しという。過去5年間の市場の成長を支えたのは「量の拡大」だが、BOCIはこの先、消費のアップグレードを背景とした平均販売価格(ASP)の上昇という新たな成長エンジンが加わるとみる。

 過去10年間の業界集約化を経て、中国のスポーツウエア市場における上位5ブランド、上位10ブランドの合計シェアはそれぞれ63.3%、81%に達した(19年)。多国籍有力ブランドのシェア拡大が集約化を後押しした要因。一方、国内勢は二極化傾向にある。13年以降に段階的に在庫危機(12-14年)を抜け出す過程で、ブランディングや製品開発力に優れた国内大手が中小から市場シェアを奪う状況が続いているという。BOCIによれば、大手の優位性は大型販路を展開するというスケールメリットと、それに伴う利益率の相対的な高さ。自律成長だけでなく、健全なバランスシートを支えとしたマルチブランド戦略を採用できることも強みとなっている。

 大手はすでに、「販売網の拡大」から「営業効率の改善」に重点をシフトしており、顧客忠誠心の強化を見据えた自社店舗のデジタル化を目指し、販路の再構築(自社直販ECサイトを含む)を推進中。店頭のPOSシステムや後方のサプライチェーンシステムといった技術の応用で、今後はさらに効率化が進む見通しとなった。消費者性向の高度な分析により、製品構成の最適化やマーケティングの精度向上が可能になるという。

 スポーツウエア全体のバリューチェーン銘柄を見ると、現在株価は1年のフォワードPER(株価収益率)で平均24.8倍の水準にある(向こう3年の予想増益率は年率平均14%)。BOCIは滔搏国際に対して22年度予想PER25倍、李寧に対しては21年予想PER51倍を適用。この2社の株価の先行きに対して強気見通しを付与した。

 業界全体のレーティング引き下げにつながる可能性がある潜在リスク要因は、景気減速と消費性向の変化、競争激化に伴う値下げ競争、コロナ感染再拡大、マルチブランド戦略や販路再構築の失敗など。半面、小売販売の加速や政府による一段の支援策の発表、市場競争の緩和に伴う値下げ圧力の後退などが支援材料になり得るとしている。