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菅首相は所信表明演説で「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、『脱炭素』社会の実現を目指す」ことを表明しました。また米国でも政権が変わる方向となり、『脱炭素』が加速するとみられています。この目標達成のハードルは高く、従来の枠組みを超えた新たな取り組みが求められます。こうした流れを受けて、国内企業は市場が一気に拡大すると判断し、『脱炭素』へ踏み出しています。
【ポイント1】2050年カーボンニュートラル、『脱炭素』社会の実現を表明
菅首相は10月26日の所信表明演説で「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、『脱炭素』社会の実現を目指す」ことを表明しました。首相は環境を「成長の柱」と位置づけ、再生可能エネルギーなどの技術革新や投資を促し、次世代産業の育成を支援する方針です。
世界120以上の国と地域が2050年までにCO2の排出を実質ゼロにする目標に賛同しています。また米大統領選で当選を確実にしたバイデン前副大統領は4年間で2兆ドル(約207兆円)規模の環境インフラ投資を掲げており、米国でも『脱炭素』が加速するとみられています。こうした流れを受けて、国内企業は市場が一気に拡大すると判断し、『脱炭素』へ踏み出しています。
【ポイント2】国内企業は対応に踏み出す
JFEは2030年度までに環境分野に1,000億円超を投資します。製鉄所の中核となる設備を環境負荷の少ない最新型に切り替えます。石炭の使用量を減らすことができ、CO2削減につながります。2013年度比CO2排出量を2割以上減らすことが狙いです。また、触媒を使った短時間で鉄を溶かす技術も実用化します。
東芝は石炭火力発電所の新規建設から撤退すると11月11日に発表しました。2022年度までに再生可能エネルギー分野に1,600億円を投資して再生可能エネルギーへの転換を図ります。『脱炭素』の流れに乗って洋上風力発電などインフラ事業を成長の柱とします。
【今後の展開】官民一体となっての取り組みが鍵
『脱炭素』社会の実現のため、その対象は、電力分野での風力や太陽光などのクリーンエネルギー、電気自動車などの環境対応車などの交通・物流分野など多岐にわたります。日本は省エネや電池の技術で先行し、環境先進国でしたが、21世紀に入り環境目標の設定などで出遅れ、電力分野などでは競争力を失いました。『脱炭素』の動きを負担と捉えずに好機と捉え、官民一体となって取り組むことが復権の鍵となるとみられます。
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