先週の国内株市場ですが、弱含みのもみ合いが続いていましたが、週末にポンと跳ね上がる展開となりました。週末金曜日(2月10日)の取引は、日経平均が前日比で471円高と今年2番目の上げ幅を見せ、終値は19,378円でした。先週末比でも約460円高となり、「終わってみれば上昇」の動きでした。
(図1)日経平均(日足)の動き(2017年2月10日取引終了時点)
早速、足元の状況を上の図1で確認してみます。
まず、真っ先に目に入るのは2月10日(金)のローソク足です。「窓」空けであるほか、久々に見せた大きな陽線でもあります。さらに、25日移動平均線を飛び越える形にもなっており、この10日(金)の動きが、これまでの慎重なムードを吹き飛ばしたような格好になっています。
このムードのまま再び上昇基調に転じるのであれば、2つの直近高値である1月27日の19,486円と、1月5日の19,615円を上抜けていく必要があります。
市場の関心事として優先事項が高いのは米国、とりわけトランプ大統領の動向です。10日の上昇も税制をめぐる発言や日米首脳会合での警戒感が後退したことが背景になっていますが、25日移動平均線が楽観と悲観のそのバロメーターとして機能している可能性があります。
つまり、楽観や期待が強まれば株価が25日移動平均線より上、反対に悲観や不安が強まれば株価が下に位置して推移して行くというわけです。直近高値をつけた1月27日の取引終了後に、トランプ米大統領が中東・アフリカ7カ国からの入国制限などを命じた大統領令を出したのを境にして相場の雲行きが変わり、日経平均が25日移動平均線を下回る動きが続きました。さらに遡って、同氏が大統領就任前に開催した記者会見(1月11日)後の動きも同様に、25日移動平均線上をキープしていた日経平均が割り込む展開になっています。
また、前回出現した「トリプルトップ」ですが、日経平均は節目の19,000円を下回っても、下値は直近安値(1月18日の18,650円)から切り上がる格好になっていますので、今のところ相場が崩れた印象はありません。とはいえ、上値の方も切り下がっており、「三角保ち合い」のような格好になりつつあります。日経平均が跳ね上がった10日(金)の取引も、保ち合い上限の線が上値抵抗になっているような格好です。
そのため、保ち合いレンジ内での推移を中心として、保ち合いから抜け出すきっかけがあるかどうかを見極めるというのが今週のメインシナリオになりそうです。
とはいえ、トレンドは下向きが警戒され始めている可能性があります。下の図2は少し長めに期間をとった日経平均のエンベロープです。
(図2)日経平均(日足)とエンベロープ(25日移動平均)
エンベロープとは、中心となる移動平均線から上下に一定の乖離率でずらして描いたものです。上の図2は25日移動平均線を中心に上下に3%、6%の乖離率で描いています。
ここ2年ぐらいの期間の日経平均はこの3%と6%が上値や下値の目処になることが多く、足元は±3%内での推移になっていることがわかります。また、移動平均線の向きも上方向から下方向になっていますので、少し注意が必要です。
また、上値や下値の目処を探るテクニカル指標に「HLバンド」というのがあります。下の図3は、週足ベースのHLバンドです。
(図3)日経平均(週足)とHLバンド(13週)
HLバンドとは、一定の期間内の高値(H)と安値(L)を線でつないで描いたもので、上下の線を超えたところ順張り、もしくは線にタッチしたところで逆張りとったように、ボリンジャーバンドに近い使い方をします。上の図3は13週間で設定しています。つまり、直近13週間内の高値と安値を結んだ線ということになります(厳密には前週から遡って描きます)。
2月10日(金)の取引終了時点のHLバンドは、高値が19,615円、安値が16,111円です。注目したいのは安値の方ですが、この16,111円は昨年11月の米大統領選挙時に乱高下した時の安値になります。今週以降、13週間が経過するため、この安値の線が切り上がっていきます。まずは今週17,455円に切り上がります。
上値はあまり変化がないため、HLバンドの幅が一気に狭まることになり、下値の目処としての意識が高まる可能性があります。
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