米大統領選挙はジョー・バイデン氏が勝利
11月3日(火)に行われた大統領選挙では民主党のジョー・バイデンが勝ちました。上院議員選挙はジョージア州の2議席が決選投票に持ち込まれている関係で2021年1月にならないと最終的な結果は分かりません。しかし今の時点では、これまで通り共和党が過半数を占めるとみられています。
そうなると下院は民主党、上院は共和党、大統領は民主党という「ねじれ」状態になるわけです。この状態では新しい法案がどんどん決まるシナリオは描きにくく、ジョー・バイデン氏はもっぱらトランプ大統領が発令した数々の大統領令を覆すことが目先の仕事になると言われています。
一例として、気象変動の脅威に取り組むパリ協定にバイデンは再加盟するだろうと言われています。トランプ大統領がパリ協定から脱退すると宣言したのは2017年でしたが、準備に時間がかかり実際に米国が協定から脱退したのは先週のことでした。もし、バイデン氏が「再加入したい」と言えば1カ月くらいの猶予で再加盟が認められるそうです。
貿易の面でもトランプ大統領は中国からの輸入品に関税をかけるなど、さまざまな政策を大統領令によって打ち出しました。これらもバイデン氏が大統領になれば大統領の一存で翻すことができます。
実際、バイデン氏は政権移行チームを編成するにあたり貿易・為替の専門家、外交問題評議会のブラッド・セッツァー氏をアドバイザーにしました。
ブラッド・セッツァーの考え方はトランプが対中貿易交渉を推進するために据えたロバート・ライトハイザー米国通商代表、ピーター・ナヴァロ通商製造業政策局長らとは真っ向から対立する考え方を持っています。そのことからも米中関係が雪解けを迎える可能性は高いと見るべきでしょう。
新型コロナワクチン治験が好結果と発表
11月9日、ファイザー(PFE)がドイツのバイオエヌテック(BNTX)と開発している新型コロナワクチンの第3相臨床試験の結果が良好だったと発表しました。
このデータ自体は11月第3週ごろに全部そろうとみられており、その時点でFDA(米国食品医薬品局)へEUA(緊急使用承認)の申請が行われます。FDAはこれを吟味した上で、ある時点で承認、ないしは却下を発表すると思われます。
もしワクチンが承認された場合、最初は新型コロナウイルスのケアの最前線でリスクを冒しながら仕事している医師や看護師に、優先的にワクチンが投与される予定です。次に、老人ホームなどのハイリスクな場所にワクチンが配布されます。
最終的に一般市民が近くの薬局などでワクチンの注射投与を受けることができるようになるのは、2021年の半ばだろうと言われています。
ワクチンができれば、ようやく市民は安心して街に繰り出すことができます。その意味でワクチンの完成は、GDP(国内総生産)成長率を押し上げる可能性があると言えます。
すでに米国の10年債利回りは景気の回復を先取りするカタチで上昇し始めています。
米国10年債利回り
そこで問題になってくるのは、高いバリュエーションで取引されているグロース株が金利の上昇に弱いということです。
実際、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)、ペロトン・インタラクティブ(PTON)などの在宅関連銘柄は、ワクチンのニュースでこっぴどく売られました。
米10年債利回り上昇でセクターローテーション
今までは米国の長期金利は下がる一方だったので、無頓着に成長率の高い株から順番に買っていれば大体勝てる相場が続いてきました。しかし、成長株のバリュエーションはべらぼうに高いものが多く、しかも今後、ワクチンが完成して市民が街に繰り出すとなれば、レストラン株、航空株、レジャー株、ホテル株、小売株などに物色の矛先が向かう可能性も十分に考えられます。
ただ、ワクチンが承認されるかどうかは、いまだ分からないため、今は決め打ちしないほうが良いと思います。むしろどちらのシナリオに転んでも大丈夫なように、グロース株とバリュー株を半々に持つというような工夫をすべき局面だと思います。
代表的な「リア充」銘柄は、次のような銘柄群だと思います。
銘柄 | ティッカーコード | 事業 |
---|---|---|
ザ・チーズケーキ・ファクトリー | CAKE | レストラン |
デルタ航空 | DAL | 航空会社 |
ウォルト・ディズニー | DIS | エンターテインメント・テーマパーク |
ハイアット・ホテルズ | H | 高級ホテル |
メーシーズ | M | 百貨店 |
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