今週の予想

日経平均は2万3,500円を挟んだ前後200円ぐらいのもみ合いか

 今週は、11月3日の米大統領選を間近に控え様子見の中で、追加経済対策への思惑や欧州の新型コロナ感染再拡大やワクチン開発の動向などを受け、日経平均株価は一進一退の動きが継続することになりそうです。

 日経平均のレンジは、先週が2万3,400~2万3,700円でしたが、多少上下に動いても100円程度でしょう。下値は堅いものの上値が重いのは、活況の目安とする売買代金(東証1部)が12日(月)から2週間連続の10日間、2兆円を割り込む状態となっていることで先高感が出にくいということもあります。こういう状態の中で、日米の7-9月期決算の発表が本格化しますが、個別物色中心となりそうです。

 チャート(柴田罫線)では現時点、日米ともに上を目指す型となっており、追加経済対策の合意が大統領選の結果を受けて上昇し、11月中に当面の天井をつけるというシナリオが一つ考えられます。

 日経平均を見ると、2020年7月31日の2万1,710円を安値に8月14日の2万3,338円まで上昇後、2万2,880円水準まで押し目を入れて、緩やかな短期の上昇トレンド(A)を形成しており、この中でNYダウが上昇すれば、この上昇トレンド(A)を突破し、2万4,000円を試すような動きとなりそうです。このシナリオだとNYダウが2万9,000ドル台に乗せると、日経平均は2万4,400円水準ということになり、当面の天井をつけ、2021年1月ごろに大きな調整ということも考えられます。

 現在の相場は、上昇して強く見えても米国を始めとするFRB(米連邦準備制度理事会)のような主要銀行が、新型コロナ感染拡大による景気の後退を阻止するために大量の資金をばらまき、カネ余りの結果の株高の側面を頭に入れておく必要があります。

今週の指標:日経平均株価

 今週も引き続き、大統領選を前に様子見の中、追加経済対策の協議の行方、新型コロナウイルスのワクチン開発の動向、欧州の感染再拡大などのニュースが相場に影響を与え一進一退の動きとなりそうです。

 こうした中、日米ともに7-9月期決算が発表されるため、個別銘柄物色となりそうです。チャートでは2万2,800円水準から上昇トレンド(A)となっており、この中で10月9日に2万3,725円の高値をつけた後、2万3,300~2万3,700円の中でもみ合っており、この上昇トレンド(A)を明確に突破すると一段高(まず2万4,000円)となります。

今週の指標:NYダウ平均株価

 大統領選を11月3日に控え不透明感の中で引き続き、追加経済対策を巡る早期成立の交渉の行方が焦点となって上下に振れる相場展開となりそうです。その中で7-9月期のGDP(国内総生産)速報値が前回の4-6月期は過去最大の落ち込みだっただけに最大の伸びが期待されており、予想通りとなると株価の上昇要因となります。

今週の指標:ドル/円

 11月3日の大統領選を控え、トランプ対バイデンの世論調査が焦点になりそうです。今のところバイデン候補有利のようですが、増税計画に対してインフラへの大規模投資の期待が勝っており、株高の要因となっています。一方でトランプ米大統領の巻き返しの可能性もあり、為替市場は様子見となるというのが一般的な見方です。ドル買いが強まる場合は、10月29日発表の7-9月期GDPが市場予想を上回れば、米長期金利が上昇し、ドル買いが強まる可能性があります。レンジは1ドル=104~106円を想定しています。

先週の結果

先週は、追加経済対策の協議が期待され、レンジの下値を少し切り上げる

 先週の予測では、大統領選をあと2週間後に控え、様子見ムードが続くとし、材料がないために米株式の動きを見ながら落ち着きどころを探る展開としました。しかし、大統領選までの追加経済対策は困難とされていたものの、ペロシ米下院議長が大統領選前の合意は可能として共和党との協議を模索し始めたことで見切り発車で上昇するという場面がありました。そのため、先週の日経平均は2万3,300~2万3,700円のレンジの動きとしていましたが、先週は下値を切り上げて2万3,400~2万3,700円のレンジの動きとなりました。

10月19日(月):先週末のNYダウは高かった上に、時間外の米株先物高も後押し、日経平均は午前、一時+293円の2万3,703円まで上昇しました。前日のペロシ下院議長が11月3日の大統領選までの交渉の合意を望むと発言したことで、追加経済対策合意への期待が高まり、見切り発車的な上昇となり、終値も+260円の2万3,671円と3日ぶりの大幅反発となりました。 

20日(火):前日の米国市場では追加経済対策協議の難航が嫌気され、期待が一気に下がって、NYダウは▲410ドルの2万8,195ドルを始め、主要3指標、大幅下落となりました。そのため、日経平均も連動して▲83円の2万3,587円で寄り付き、軟調な動きを続け、午後は▲152円の2万3,518円まで下げましたが、下値は限定的で▲104円の2万3,567円の反落で終わりました。ここまでの売買代金は7日連続の2兆円割れとなり、株価がしっかりしているわりには活気がありません。 

21日(水):前日の米国市場で再び追加経済対策の成立期待が高まったことで主要3指標が反発し、これを受けて日経平均も一時+135円の2万3,702円まで上昇し、終値は+72円の2万3,639円でした。引き続き薄商いの中のこう着状態となっていました。 

22日(木):前日の米国市場は追加経済対策の協議をにらんでのもみ合いとなり、主要3指標が小幅の反落となったことで、日経平均は▲113円の2万3,525円で寄り付き、為替が前日比では1円近い円高となっていたことで、一時▲203円の2万3,436円まで下げましたが、1円幅の円高のわりには下値は限定的で、▲165円の2万3,474円で引けました。 

23日(金):前日の米国市場は追加経済対策の協議の進展が好感され、原油高でエネルギー株が高く、経済指標も好調だったことで主要3指標とも反発となり、日経平均は+84円で寄り付き、一時マイナスをつけることもありましたが、すぐに盛り返し+113円の2万3,587円まで上昇。大引けにかけて上げ幅を縮小して+42円の2万3,516円で引けました。1週間を通してみれば、2万3,400~2万3,700円と300円幅の狭いレンジでの上下動でした。

23日の米国市場:この日の米国市場では、NYダウは10月製造業PMI(購買担当者景気指数)速報値の改善を好感し上昇して始まるものの、追加経済対策の交渉が進まず、早期合意期待が後退し下落に転じました。ナスダックとS&Pは上昇。シカゴの日経先物は+60円の2万3,550円でした。