個別銘柄の好材料を探す

 11月3日の米大統領選を控え、新型コロナウイルス感染の再拡大が懸念される中、最近の米国株式市場は動きづらい状況にあります。

 ただ、足元で本格化している7-9月期の決算発表では、市場予想を上回るものも目立ち、興味深い新サービスを発表している企業もあります。マクロ全体に懸念が広がる状況ですが、次に投資する個別銘柄を選定には良い機会です。

足元の決算発表動向

 本格化している決算発表ですが、引き続きディフェンシブ銘柄の一角が好調です。

 P&G(PG)は、市場予想を上回る7-9月決算を公表しました。収益は、為替変動など一部項目を除く本業ベースで9%増加し、2005年以来の大幅な伸びとなりました。巣ごもり需要でトイレットペーパーや洗剤用品などが伸びたようです。

 今後、冬に向かう中で、コロナウイルス感染拡大に備える動きはさらに強まるとみられるため、引き続き業績は好調に推移するとみられます。

 SNSのスナップ(SNAP)も、市場予想を上回る決算を公表しました。巣ごもり需要を背景に、広告主の資金が、モバイルアプリ向けの媒体に流れてきているようです。

 この流れは、フェイスブック(FB)ツイッター(TWTR)の業績にもポジティブな材料になるかもしれません。

 新柄コロナ関連では、サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック(TMO)が好決算でした。

 この企業は、分析機器や診断・検査キットを展開していますが、新型コロナ関連の製品が増収に寄与しました。今後も、感染拡大への警戒感が高まる中で、需要が高まると考えられます。

足元の新サービス

 新サービスから特に注目している企業は2つあります。フェイスブック(FB)エヌビディア(NVDA)です。

 フェイスブックは、今年、オンラインショッピングサービスへ本格的に参入しましたが、それだけにとどまらず、将来的には、フェイスブック独自のポイントプログラムを立ち上げて、ユーザーを囲い込む可能性があります。

 直近のニュースでは、フェイスブック版のティックトックアプリと言われているReelsでも、オンラインショッピングをテストすると報道されました。これが実現できれば、フェイスブックやインスタグラムとはまた違う若い顧客層も、ターゲットの範疇に入ってくるでしょう。

 それに加えて注目しているのが、フェイスブックのマッチング機能、「フェイスブック デーティング」の動きです。時間はかかりましたが、規制の厳しい欧州でも、リリースを実現させました。感染予防のために人々が交流する機会が減る中で、利用者が増えている可能性があります。

 フェイスブックでは、メッセンジャーを使ったビデオチャット機能を提供し、自宅から気軽にバーチャルデートができる環境を整えています。

 エヌビディアは、「NVIDIA Maxine」というビデオ会議用のアプリケーションを発表しました。これはまだ、開発者向けに提供を開始するという段階ですが、仮に一般用にローンチできれば、ビデオ会議サービスの新しい主役になるポテンシャルを秘めています。

 AI(人工知能)を使ったデータ圧縮技術が使われており、AIに顔の動きを学ばせることで、目や鼻、輪郭といった特徴点の動きだけを切り取って、動きや表情を再現できるようになりました。

 実際の映像を送る場合よりも、大幅にデータ量を削減することができ、遅い回線や低いPCスペックが原因で起きていた、ビデオ会議中の不具合を減らすことができる見込みです。

大統領選関連銘柄は?

 大統領選については、トランプ氏、バイデン氏、どちらが勝っても上昇余地がある銘柄を押さえておきたいところです。それは、クリーンエネルギーセクターであると考えています。

 バイデン氏は、気候変動に対処するための投資を進める見通しであり、太陽光や風力発電の設備投資に対する税制優遇や、電気自動車などへの支援を進めるとみられます。

 トランプ氏が再選した場合、一度調整するかもしれませんが、クリーンエネルギーの中でも、発電所関連の銘柄については、いずれ上昇するとみています。それは、太陽光や風力発電の需要自体は拡大する可能性が高いからです。

 太陽光や風力発電の発電コストは、この10年で大きく下がり、すでに化石燃料を燃やす火力発電よりも割安な場合が多いので、経済的な合理性の観点から、クリーンエネルギーが選ばれるケースが増えてくると考えられます。

 この恩恵を受ける企業としてまず挙げられるのが、「クリーンエネルギーの巨人」と言ってよいネクステラ・エナジー(NEE)です。

 同社はフロリダ最大級の電力事業と、クリーンエネルギー発電の二本柱で事業を展開しています。フロリダはこれからも人口増加が期待できるエリアなので、電力事業は今後も堅調に推移する見込みです。

 さらに注目したいのが、クリーンエネルギー発電の方で、規模はすでに世界最大級を誇り、米国のさまざまなエリアで全風力発電所などを開発・運営しています。発電した電力は、火力発電所の老朽化が進む電力会社などに販売しています。

 クアンタ・サービシズ(PWR)も良好な事業環境が続くとみられます。

 同社は、変電設備、再生可能エネルギー施設の設計とメンテナンスを手掛ける特殊工事請負会社です。顧客は電力会社で、近年は発電所の設備の老朽化が進んでいる上に、電力会社内の技術者の高齢化も進んでいることから、同社に対する工事の需要拡大が期待できる状況です。