大接戦が予想される米大統領選
11月3日(火)に投票日を迎える米国大統領選挙は大接戦になると思います。
調査会社・リアルクリアポリティクスが集計した投票意向調査では10月21日の時点で民主党のジョー・バイデン氏が50.6%、共和党のドナルド・トランプ氏が43.1%となっています。
大統領選挙有権者投票意向調査
しかし、調査会社のアンケートは外れることが多いことが知られています。
過去の米大統領選挙で最も正確な予想をしてきた調査会社はIBD/TIPPです。IBD/TIPPは10月21日の時点での各候補の支持率はバイデン氏が48.5%、トランプ氏が46%とみています。つまり大接戦です。
トランプ氏が急激に追い上げている理由は有権者が景気問題を重視しているからです。そして景気を維持するためには、少々新型コロナウイルスの感染者が出ても外出禁止令を避け、レストランや商店を開けておくことが重要です。共和党は外出禁止令を出すことには反対の立場を取っています。
IBD/TIPPの調査では「経済問題こそが最も重要だ」と考える有権者の57%がトランプ氏を支持しています。一方、「大統領の過去の新型コロナウイルスへの対応に問題があった」と考える有権者のうち70%がバイデン氏を支持しています。
いずれにせよ、大統領選挙は接戦なのでどちらの候補が勝っても不思議はないです。
株式市場の動きは?
米大統領選挙投票日から起算してちょうど3カ月前、つまり8月3日のS&P500指数の終値3294.61から、10月22日の終値3440.64までのパフォーマンスは、+4.4%でした。
過去の経験則では、8月3日から11月2日までのS&P500指数のパフォーマンスがマイナスの場合、現職大統領が負けるのだそうです。
これまでの展開ではマーケットは高いので、このまま株式市場が持ちこたえれば、トランプ大統領が再選される可能性もあるということです。
開票を巡る不安
一つ投資家が気をつけるべき点として、開票結果がとても接近していて再集計が必要になった場合、株式市場は不透明感を嫌気する可能性があるということです。
それに関連して、今年の大統領選挙にユニークな点があります。それは新型コロナで「密」を避けるため、郵便投票を行う有権者が多いということです。多くの州では郵便投票の開票を11月3日に行います。その場合、開票作業が遅れることが懸念されているのです。
郵便投票を行っている州のうち、最も重要な州は大票田のフロリダ州です。幸いフロリダ州では投票日の数日前から開票作業を開始することにしています。したがって11月3日の投票日の夜には早い時点でフロリダの郵便投票の結果が公表される見込みです。
選挙人団によって勝敗が決定
米国の大統領選挙では選挙人団(Electoral vote)と呼ばれるポイント数を足し上げ、その合計を競うことで勝者を決定します。
人口の多いカリフォルニア州(55ポイント)、テキサス州(38ポイント)、フロリダ州(29ポイント)、ニューヨーク州(29ポイント)などの配分が大きくなっています。総ポイント数は538です。当選に必要なポイント数は270です。
現時点ではバイデン氏は226ポイントを獲得することが確実視されており、トランプ氏は125ポイントを獲得するだろうと言われています。問題は激戦州と呼ばれる13の州の187ポイントがどちらに流れるかです。2016年の選挙ではその大半がトランプ氏に流れました。
この激戦州の中でも最も重要なのがフロリダ州です。もしトランプ氏がフロリダ州で負けたら、他の州でどれだけ頑張っても挽回は困難だと言われています。
トランプ氏がフロリダで勝った場合、次にトランプ氏にとって必要なことはオハイオ州(18)とウィスコンシン州(10)でも勝利することです。これらの3州をトランプ氏が制すればトランプ氏勝利の道が開かれると思います。
その意味でも、フロリダ州の郵便投票の開票が早い段階で完了する見込みであることは、不透明感の払しょくという観点からは心強いです。
年末年始の株式市場はどうなる?
大統領選挙はもちろん重要なイベントです。しかし、どちらの候補が勝っても過去の経験則に従えば11月・12月・1月はだいたい米国株は強いです。
下のグラフは米国の株式市場の月次パフォーマンスのチャートですが、11月から1月にかけてのパフォーマンスがとりわけ良い点に注目してください。
米国の株式市場の月次パフォーマンス
言い直せば、大統領選挙が終われば早く選挙のことは忘れて「年末年始相場をどう取る?」ということにフォーカスしたほうがいいということです。
米大統領選挙が終わり次第、ポジションをフルインベストメントに持っていきたいと思います。
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