「投資」と聞いて何を思い浮かべますか?

 資産をもっと増やしたい、老後をお金の心配なく過ごせるように今から準備したい、そのためには投資が必要だ…おぼろげながらこんなふうに思っている方はとても多いのではないでしょうか。

 初心者にとって投資のハードルが意外に高いのは、確かに投資は必要、でも具体的に何に投資すればよいか分からない、という思いからであることが多いです。

 そこで今回は、投資初心者にとって実は株式投資が最も向いていると筆者が考える理由をいくつかお伝えしたいと思います。

 まず「投資」と聞いてどんなものを思い浮かべますか。いろいろな投資がありますが、メジャーなものといえば、株式投資(これには投資信託による投資も含めます)、不動産投資、FX(外国為替証拠金取引)、暗号資産(仮想通貨)といったところではないでしょうか。

不動産投資のネックは?

 それぞれの投資には、それぞれ成功している人やプロの人がいます。その人たちに聞けば、自身が手掛けている投資を勧めると思います。筆者の場合は株式投資で成功していますから株式投資を勧めることになりますが、それは決してえこひいきしているわけではなく、株式投資が投資初心者に向いていると本心から思っているからなのです。

 例えば不動産投資の最大のネックは、「かなり大きな資金が必要なこと」「借り入れをしないと資産を大きく増やせないこと」です。

 不動産投資で成功している方は、借り入れをして資金調達できることこそが、不動産投資の最大のメリットであると口をそろえて言います。

 確かに成功できるような人にとってはそうなのでしょうが、でも借り入れは借り入れです。借りたものは返さなければなりません。

 もし物件の目利きがうまくできず、その結果賃料も想定通りに入らず、売ろうとしても買った値段よりかなり安くないと売れない、そのため物件を売却しても借金が残ってしまう…これが不動産投資で失敗する典型的なパターンです。

 筆者も、バブル期に借り入れを起こして不動産投資をした結果、50億円あった資産が全てなくなり、5億円の借金が残った、というケースを実際に目にしています。

 不動産は扱う金額がかなり大きいことと、失敗した場合多額の借金が残る可能性があるため、一度大きな失敗をすると再起不能になってしまいます。投資初心者がしっかり勉強もせず、いきなり借金をして不動産投資をするのはかなりリスクが高いのではないかと思います。

FX投資は短期売買になりがち

 個人投資家の間では、株式への投資ではなくFX投資を始める、という声も良く聞きます。

 FX取引は、レバレッジをかけないとほとんど動きがないので、高いレバレッジをかけて運用します。しかしその結果、短期的な為替の変動要因により、大きな損益が一瞬にして生じることも多々あります。

 そして為替市場は24時間動いています。日本マーケットが閉まって日本が夜中の時間であっても、米国のマーケットが開いているため、いつ大きな為替の変動が起きてもおかしくないのです。落ち着いて寝ることもできないからFX取引をやめた、という人も少なくありません。そのためFX投資は、じっくり長期間ポジションを持ち続けるというよりは、デイトレードやスイングトレードのように短期間で完結させることが多くなります。特にデイトレードであれば、ポジションを有している間は、基本的に為替の動きを見ている必要があります。

 もちろん、ロスカット注文などを事前に入れておけば、四六時中パソコンの前に張り付くことは避けられますが、それでも短期間に取引を完結させることには変わりないですから、結構せわしないと思います。

 そして株式投資と異なり、FXはどちらかがプラスになれば同じだけもう片方はマイナスになるというゼロサムゲームですから利益が得にくいです。ちなみに株式投資は企業価値が上昇すれば株価も上がりますからプラスサムです。株式投資の方がFXより利益を上げやすいと思います。

暗号資産はファンダメンタルの裏付けに乏しい

 数年前には一大ブームを起こした暗号資産。今でも取引を行っている方は数多くいます。

 暗号資産は株式に比べると、とにかく値動きが荒いです。しっかりと損切りをしないとあっという間に資産半減、ということもよく起こります。

 もう一つ、暗号資産はファンダメンタルの裏付けに乏しいため、今ついている価格が適正値なのか、割高なのか割安なのかが判断できないという難点があります。

 株式であれば、業績に応じてあるべき企業価値というのが大体計算できますから、今ついている株価が割安か、割高か、という判断は比較的しやすいです。しかし暗号資産は単なる通貨ですから、ファンダメンタル分析をして現時点での価値を把握することが困難なのです。

 価格の値動きが極めて大きく、価格が上下どちらに動くかも分からないというのが、投資初心者に暗号資産取引をお勧めしにくい理由です。

少額でも可能で長期投資もできる株式投資は始めやすい

 最後に、株式投資です。株式は、10万円出せば買える銘柄もたくさんあります。株式投資は不動産投資のように大きな金額も必要なく、借り入れをする必要もありませんから初心者でも気軽に始めることができます。

 また、FX取引のように短期間で取引をする必要もなく、じっくり何年も持ち続けることもできます。暗号資産と違ってファンダメンタル分析によって企業価値を分析し、株価が割安か割高かを算定することもできます。

 不動産投資は値上がり益(キャピタルゲイン)よりも安定的な利回り(インカムゲイン)が得られる、というメリットは確かにあります。でも、無理に借り入れをして不動産投資をするのではなく、上場しているREIT(リート:不動産投資信託)に投資すれば、比較的高い利回りで少額でも不動産投資をすることができます。

 税金面で考えても、不動産投資や暗号資産は最高税率50%超の総合課税ですが株式投資やREITは20.315%の分離課税ですからメリットが大きいです。

 無論、株式投資でなければいけないということは一切ありません。しかし、大きな失敗をする可能性が他の投資より少なく、正しく取り組めば成果が出やすいという点で、やはり筆者としては株式投資をお勧めしたいのです。