今週の予想

大統領選を控え様子見ムードが続く

 大統領選まであと2週間となり、市場ではバイデン氏がトランプ氏を大きく引き離しています。しかし、激戦区では競り合っており、トランプ氏はここで勝利して一気に巻き返すというシナリオですが何ともいえず、結果的に不透明感が漂っています。そのため、上値は重いものの下値もしっかりしていますが、その理由はどちらが勝っても相場にはプラスとなるような、いいとこ取りの分析になっているためだと言われています。大きな悪材料は新型コロナウイルスの感染再拡大ぐらいで、それも低金利によって相場が大きく下落するわけでもありません。

 結局、一般的な株式相場の見方では、どちらが勝っても株は上昇するという見方です。しかし、相場は全員が同じ方向に向いたときは、その逆となる場合もあるということを頭に入れておく必要があります。つまり、どちらが勝ってもいったん株安になるということもあるということです。先のことを予想して投資するのはバクチですので、今は大統領選挙が終わるのを待つというのが基本といえます。

 先週は、週初めは米国株高を受け、上値は重いものの日経平均株価は2万3,600円を挟んだもみ合いとなっていましたが、その後は米国株安を受け、週末にかけて失速し、16日(金)は2万3,382円まで下げ▲96円の2万3,410円で引けましたが、この日のシカゴ日経先物は+105円の2万3,515円でした。

 今週は、基本的には手掛かり材料がなく米株式の動きを見ながら落ち着きどころを探る展開となりそうです。米国の注目の追加経済対策は大統領選前の合意は難しいとの見方が強まり、景気の先行き懸念が出てきています。

 一方、欧州では1日当たりの新型コロナ感染者数が過去最高を更新する国が増えており(第2波)、米国も同じような状況になってきています。このような外部環境を受けて日本市場は、日経平均株価を見ると2万3,300~2万3,700円の水準レンジは先週まではしっかりしていますが、市場エネルギーは低下し、東証1部の出来高10億株に達せず、売買代金も2兆円割れが先週は続きました。市場エネルギーが低下している時に好悪にかかわらず、インパクトのある材料が出ると日経平均は上下に大きく振れやすくなります。

今週の指標:日経平均株価

 今週も基本的には、2週間後の大統領選挙を控え市場エネルギーも低下していることで様子見が続くことになります。今、チャート(柴田罫線)では上昇トレンド(A)を形成していますが、これを上に抜けると日経平均株価は2万4,000円を試す動きとなりますが、この上昇トレンドを下に切って9月9日の安値2万2,878円を切ると調整入りとなります。今のところ下値は堅いですが、下に行く場合はNYダウ平均株価の大幅下落となります。トランプ氏、バイデン氏どちらが勝っても株は上昇するという見方が多いようですが、全体が一つの見方に偏れば、その逆となるというのが相場格言にあるので、注意が必要です。

今週の指標:NYダウ平均株価

 追加の経済対策の合意への遅れが不透明要因ですが、大統領選挙前に合意することは困難となっていても、いずれ合意ができるとみられており、懸念は減少していくものと思われます。民主党のバイデン氏が勝利しても増税策懸念よりも長期的に大型投資を行う方がプラスとの見方が増えています。目先、問題は感染拡大という第2波が欧州で急増し、4月の水準に近づいており、それは米国も同じような動きになっており注意が必要です。

今週の指標:ドル/円

 大統領選を約2週間後に控え、トランプvsバイデンの直接対決が注目されます。バイデン氏が支持率を複数州では10ポイントほどまで拡大しており、相場はバイデン氏の増税政策を織り込みつつあると見られています。世論調査ではバイデン氏有利ですが、実際は大接戦との見方も根強く、そうであれば為替は方向感のないもみ合いとなりそうです。

先週の結果

週前半は米株高で日経平均は高かったものも週末は尻すぼみ

 先週の予測では、これまでの2万3,000~2万3,600円のボックス相場の中で、上値を切り上げていましたが、9月29日の2万3,622円を上に抜いて上放れとなったことで、日経平均株価は2万3,300円水準を下値にゆっくりと上値を切り上げる展開としました。しかし、残念ながら16日(金)の安値2万3,382円を下値に上値は13日(火)の2万3,667円で、あとは狭いレンジでのもみ合いに終始しました。その背景は、米国で期待されていた早期の追加経済対策がまとまらず、11月に迫った大統領選をめぐる不透明感から米株式が軟調な動きとなってしまったことによります。また、一方で欧米では新型コロナウイルスの感染が再拡大しており、これも上値を抑える原因となっています。

10月12日(月):日本市場は、米国の追加経済対策の早期成立が不透明となってきたことを嫌気し、▲30円の2万3,588円で寄り付き、一時▲118円の2万3,501円まで下げました。売り一巡後は大引けにかけて下げ渋り、▲61円の2万3,558円で引けました。売買代金は1兆7,455億円と1兆8,000億円を割り市場エネルギーが縮小しています。 

13日(火):前日の米国市場でNYダウは4日続伸し、主要3指標そろって大幅高となったことで、日経平均は+109円の2万3,667円で寄り付きました。しかし利益確定売りで▲67円の2万3,490円まで下げ、前引けは▲32円の2万3,525円と続落しました。後場になると時間外で米株先物が堅調となってきたことで、売り一巡後は持ち直し+43円の2万3,601円と3日ぶりに反発しました。 

14日(水):前日の米国で新型コロナワクチン開発の不透明性が高まり、決算発表の金融株が下落したことで主要3指標とも反落。これを受けて日経平均は▲56円の2万3,545円で寄り付き、▲82円の2万3,518円まで下げました。しかし、後場になると時間外での米株先物が高く、また、日本銀行のETF(上場投資信託)買いに支えられて一時+54円の2万3,656円まで上昇し、終値は+24円の2万3,626円と続伸しました。 

15日(木):米国は追加の経済対策の遅れから主要3指標がそろって2日続落したことで、日経平均は▲78円の2万3,548円で寄り付き、その後も時間外での米株先物が軟調だったことで、後場には一時▲168円の2万3,458円まで売られ、終値は▲119円の2万3,507円と3日ぶりに反落しました。 今週は、米国株式の大きな下落にも日経平均はわずかな調整で済んでいます。新型コロナ対策として主要国が低金利を続け世界的な金余りで、日本でもそのような資金がリスク資産に向かっており、売り方は売りづらい状況にあるからでしょう。 

16日(金):前日の米国では主要3指標は小幅に3日続落となり、日経平均は▲28円の2万3,478円で寄り付いた後、ファーストリテイリングが2021年8月は過去最高の経常利益予想をしたことで大幅上昇しました。そのため日経平均は+31円上げましたが、後場になると先物にまとまった売りが出て、▲124円の2万3,382円まで下落し、終値は▲96円の2万3,410円でした。ファーストリテイリングの指数寄与度は+108円ですので、これがなければ200円以上下げたことになります。このため日経平均は25日移動平均線を維持しましたが、TOPIX(東証株価指数)は25日移動平均線を割り込みました。

16日の米国市場:9月小売売上高や10月ミシガン大学消費者信頼感指数が予想を上回ったことを好感し、上昇スタートとなりました。しかし、終盤になると主力ハイテク株が下落し、NYダウは+112ドルの2万8,606ドルとなったものの、ナスダックは▲42ポイントの1万1,671ポイントとマチマチの動きとなりました。シカゴの日経先物は+105円の2万3,515円でした。