ポイントと聞くと「おまけ」程度と考えている人が多いですが、NRIの発表資料※1によると、年間で発行されているポイント数は約1兆円です。
国民1人当たりで計算しても年間8,000円程度のポイントを獲得できている計算ですが、活用できていますか?
◆お話を伺った人
クレジットカードは約90枚保持
ポイントの達人、菊地崇仁氏
発行されているポイントの中で一番多いのがクレカのポイント。今まで「おまけ」として見ていたクレカのポイントを「資産」に変える方法をため方編・使い方編に分けてお伝えします。
Money Hack 1 クレカ払いをフル活用
支払いは、ポイントがつくものに切り替える 難易度★☆☆
クレジットカードは高額商品を買う時や海外旅行でしか使わないという方も多いですが、支払いができるものは全てクレカ払いに変更しましょう。なぜクレカ払いに変更すると良いのかを実際の数値で解説していきます。
4人世帯の場合※2を例に考えます。「光熱・水道」と「通信」料金は月間平均3万7,709円の支払いです。食費は月間7万8,898円、服飾費は1万4,556円となっています。また、最近は家賃もクレカ払いできる物件も増えています。全国賃貸管理ビジネス協会※3によると、3部屋タイプの全国平均家賃は6万5,329円です。
今回挙げた「光熱・水道」「通信」「食費」「服飾費」「家賃」で月間19万6,492円が平均で利用されており、年間で考えると約235万円を支払っていることになります。その他、交通費、教育費などもあり、意外と生活にかかるお金は多いです。
これらの支払いでクレカ払いにできるもの(家賃以外ほぼできると思います)はクレカ払いに変更してください。クレカの最大のメリットはポイントが貯まること。一般的に支払い額の0.5%程度がポイントで戻ってきます。235万円をクレカ払いすると年間1万1,750円分のポイントを獲得できるのです。現金からクレカ払いに変更するだけで1万円分以上のポイントを獲得できるのであれば、やらない理由はありません。
どんなクレカを使う?ワンポイントアドバイス!
日本クレジット協会によると、日本で発行されているクレカ※4は2億6,326万枚となり、1人当たり2~3枚程度保有している計算です。
クレカを複数保有していると仮定して、それぞれのクレカの違いはご存じでしょうか? 支払いに利用できるということだけで考えるとクレカはどれも同じですが、それぞれ特徴があります。特に初心者におすすめのクレカは、1.ポイントが使いやすく、2.還元率が高い。3.年会費が無料のカードです。
最重要なのは「ポイントが使いやすいこと」。ポイントは使うまで数値でしかありません。10万ポイントを持っていたとしても、使うまで1円も得していないのです。つまり、使えないポイントはいくら持っていても意味がなく、使いやすいポイントを貯めるというのが最も重要な点です。
続いて「還元率」ですが、0.5%程度のポイントが貯まると紹介しましたが、中にはもっと率が高いカードもあります。もし還元率が1%であれば、235万円を利用した場合は2万3,500円分のポイントが貯まります。
◇年会費無料で還元率が1%以上のカード
- 楽天カード … 楽天ポイント
- Yahoo! JAPANカード … Tポイント
- dカード … dポイント
最後に「年会費」です。クレカには年会費無料のカードと有料のカードがあります。年会費が1万1,000円(税込)のゴールドカードで還元率が1%のカードを保有していた場合、せっかく2万3,500円分のポイントを貯めたとしても、年会費分を考えるとお得額は1万2,500円です。還元率0.5%で年会費無料のカードと1年間で750円程度しか違いが出てきません。
もちろん、ゴールドカードの特典を使いこなせるのであれば年会費1万1,000円(税込)分得することもできますが、ゴールドカードの年会費を回収するだけ使いこなすのは難しいでしょう。従って、ポイントが使いやすく、還元率が高い、かつ年会費無料のクレカを選び、支払いをそのクレカに変更するのがおすすめです。
コンビニなどの少額支払いもクレカ払いに
日本クレジット協会※5によると、1回当たりのクレカ利用金額の平均は約5,000円です。この結果から、少額決済でクレカを利用する人は少ないことが分かります。コンビニでは少額決済が多いため、クレカを使わない人も多いでしょう。
実は、以前からコンビニでクレカを使ってもサインや暗証番号の入力は基本的に不要でした。それでもクレカ払いしている人は非常に少なかったです。
しかし、最近のコンビニレジでは自分でカードを差し込むタイプが増えており、クレカの利用がしやすくなっています。また、タッチ決済の対応端末や対応カードも増えてきており、セブン-イレブンやローソンでは、対象のクレカをかざすだけで支払いが完了します。Visaによると※6、タッチ決済を使った場合は現金で支払うよりも8秒早く決済できるようです。
少額であったとしても全てクレカで支払う癖をつけるのがポイント生活の第一歩となります。
※1 NRI「ポイント・マイレージの年間発行額が1兆円を突破」
※2 総務省統計局「2-7 4人世帯(有業者1人) - 年間収入階級別」の2019年データ
※3 全国賃貸管理ビジネス協会「全国家賃動向」の2020年6月調査結果
※4 日本クレジット協会「クレジットカード契約数」
※5 日本クレジット協会「クレジットカード動態調査集計結果について」の2020年6月末データ
※6 Visa「PR連載企画「世界を変えるキャッシュレス」第二章江戸時代編を公開」
Money Hack 2 ポイントモールを使おう
サイト経由でポイント3重取り 難易度★☆☆
全てクレカ払いの癖がついた後は、ポイントを貯める“技”を覚えていきます。「ポイント2重取り」などとも言われ、1回の支払いで2回ポイントを獲得する方法です。ネットショッピングではポイント3重取りなども比較的簡単です。
ネットショッピングの場合、ショッピング独自のポイントがあります。楽天市場は楽天会員であれば商品の1%の楽天ポイントが貯まります。Amazonの場合もAmazonが販売・配送する商品には1%のAmazonポイントが貯まります。これに加えて、支払い時にクレカ払いするとクレカのポイントも貯まります。従って、ネットショッピングでクレカ払いすると、ポイント2重取りが簡単にできます。
続いて3重取りの方法を紹介しましょう。ネットショッピングを利用するときに直接サイトにアクセスするのではなく、「ポイントモール」や「ポイントサイト」と呼ばれるサイトにアクセスします。これらのサイトにアクセスすると「楽天市場」や「Amazon」などショッピングサイトがたくさん並んでいます。それらのバナーをクリックすると、楽天市場やAmazonなどのサイトにジャンプします。後は普通に買い物するだけ。それだけで、ポイントモール分のポイントが上乗せされます。
なぜ一手間加えるとポイントが増え得るのでしょうか。それは、ショッピングサイトからポイントモール側に紹介手数料が入り、その一部を利用者に還元するためです。
多くのポイント発行企業が運営しており、三井住友カードの場合は「ポイントUPモール」、ANAの場合は「ANAマイレージモール」です。楽天ポイントを貯めたい場合は、「もらえるモール」や「Rebates(リーベイツ)」を利用しましょう。
経由忘れを防止するワンポイントアドバイス!
なお、ポイントモールを用意している企業には経由忘れを防止するアプリやアドオン(ブラウザの拡張機能)を提供している場合があります。対象のショッピングサイトにアクセスすると、ブラウザにメッセージが表示されて、クリックするだけで経由したことになるため覚えておきましょう。
クレカ申込ではポイントサイトを活用
ポイントモールやポイントサイトはネットショッピング以外でも活用できます。資料請求やクレカの申込なども対象です。楽天カードを申し込む場合にポイントモールを経由すると、上乗せ分のポイントを獲得できます。ただし、ポイントモールの中でもクレカを発行している企業の場合は対象外のことがほとんどです。
そんなときには「ECナビ」や「モッピー」などのポイントサイトを使います。あまり聞き慣れないサイト名かもしれませんが、ECナビもモッピーも運営会社が上場企業または上場企業の子会社のため安心です。
これらのサイトにアクセスし、サイト内で「楽天カード」と検索。そこから楽天カードを申し込むと、通常楽天カードの新規発行で獲得できる楽天ポイントに加えて、ECナビやモッピーなどのポイントを別途獲得できます。
スマホに特化したお小遣いアプリには注意
「お小遣いアプリ」と呼ばれているスマホアプリも多くはポイントモールの仕組みが利用されています。ただし、中にはあまりおすすめできないようなアプリも混ざっています。ポイント交換までのハードルが高く、ようやくポイントが貯まったら運営会社が倒産し、貯めたポイントがなくなることがあります。
また、アプリの評価をするまでポイント交換・換金ができないアプリもあります。それらのアプリの評価は高いですが、実際は前者のようなアプリの場合もあります。お小遣いアプリを使う場合は、運営元をしっかりと確認することをおすすめします。
おすすめしたいポイントモール
- クレカのポイントモール … ポイントUPモール、Oki Dokiランドなど
- 航空会社のポイントモール … ANAマイレージモール、JALマイレージモール
- 共通ポイントのポイントモール … Tモール、Rebatesなど
- モッピーやECナビ、ハピタスなどのポイントサイト
Money Hack 3 ポイント3重取りを当たり前に
Kyash、電子マネー、スマホ決済を使ってポイントゲット 難易度★★☆
実店舗でもポイント2重取りや3重取りは簡単です。一番簡単な方法はコンビニでポイントカードを提示。続いてクレカで支払うとポイントカードのポイントとクレカのポイントを獲得できます。
さらに一工夫しましょう。KyashというVisaブランドのプリペイドカードがあります。スマホですぐに申し込みでき、アプリにカード番号や有効期限などが瞬時に表示されます。プラスチックカードを発行する場合は発行手数料が300円または900円必要です。カード番号などがすぐに表示されたとしてもプリペイドのため事前に入金(チャージ)するまでは利用できません。Suicaやnanacoなどを思い浮かべると分かりやすいでしょう。
しかし、Kyashの場合は残高が足りない時に登録したクレカから支払うことが可能です。もし、Kyashの残高が0円だったとしても、クレカを登録しておくとクレカから自動的に支払われます。
わざわざKyashにクレカを登録して支払う理由は、Kyashで支払った場合に0.5%(アプリまたは300円の手数料を払った場合)または1%(900円の手数料を払った場合)のポイントを獲得でき、これに加えてクレカのポイントも貯まるためです(一部対象外カードあり)。従って、支払いをクレカ登録したKyashに変更すれば、支払うだけで常時ポイントの2重取りが可能です。
ただし、特定の店舗で利用するとポイントがアップしたり割引を受けられたりするクレカは注意が必要です。例えば、高島屋ではタカシマヤセゾンカードで支払うと2%OFFで買い物できますが、Kyashにルミネカードを登録してKyashで支払っても2%OFFにはなりません。
また、最近流行のスマホ決済(〇〇ペイなど)も上手に活用すると2重取りできます。楽天ペイ(アプリ決済)では、楽天カードから楽天キャッシュにチャージして支払うと、支払い時に1%の楽天ポイントを獲得でき、チャージ時に0.5%の楽天ポイントを獲得できます。楽天カードで直接支払うよりも0.5%お得です。d払いも同様、クレカを登録して支払うと支払い時に0.5%のdポイントを貯められ、別途クレカのポイントも貯まります。
ポイ活は楽しく長く続けるもの
単純にクレカだけを使うよりも上手な組み合わせをすることでポイントをさらに上乗せすることが可能です。“技”を覚え始めると、いろいろ試してみたくなりますが、あまりにも複雑な方法を試してみたり、十分に理解していない方法を試したりするのはやめましょう。
ポイントの貯め方で100点を目指してもほぼ100点は取れません。自分のできる範囲で楽しむのがポイント生活を長続きさせるためのコツです。
ポイント2重取り組み合わせ一例
- Kyash + クレカ … クレカを自動チャージに設定し、Kyashで支払い
- 楽天ペイ(アプリ決済) … 楽天カードから楽天キャッシュにチャージし、楽天キャッシュで支払い
- nanaco … セブンカード・プラスでチャージし、nanacoで支払い
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増やせるポイ活!ポイントの上手な使い方編
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