間違って新社会人の子どもを扶養親族にしてしまったら?

 もう早いもので10月半ば。会社員の方は年末調整のシーズンが到来します。今年は、例年に輪をかけて複雑になっていますので、不明点は会社の担当者の方に聞くなどして、間違いのないようにしておきましょう。

 さて、年末調整のときもそうですが、確定申告で誤りやすい箇所の一つが、配偶者控除や配偶者特別控除、扶養控除です。よくあるのが、配偶者のパート収入がいつもより多く、配偶者控除が使えないのに配偶者控除を適用して確定申告をしてしまった、というケースです。また、子どもが新社会人になり、扶養親族から外れているのに、それを忘れて扶養控除の適用を受けてしまった、というケースもよくみかけます。

 また、事業所得や不動産所得がある方の場合、所得を誤って少なく申告していた、ということもあるでしょう。

 このような場合、払うべき税金が少なくなっている状態ですから、誤りが判明した時点で「修正申告」を行い、不足する税金の納付をしておきましょう。もし、税務署の方から先に指摘がきた場合、ペナルティーが加重されますのでお気をつけください。

確定申告で医療費控除をし忘れた!

 確定申告をしたものの医療費控除やふるさと納税の寄付金控除を忘れていた、というケースもよく聞く話です。こうした場合、「更正の請求」という手続きにより、払い過ぎている税金の還付を受けることができます。

 修正申告と更正の請求の違いは、前者が所得の計上漏れや控除額の誤りなどにより、追加で納税が必要となる場合、後者が控除漏れや計算ミスなどにより、税金を納め過ぎになっていて還付を求める場合です。

 ふるさと納税のワンストップ特例の適用を受けたにもかかわらず、医療費控除などのために確定申告すると、ふるさと納税の寄付金控除がなされない状態になってしまいます。でも、後日更正の請求を行えば、ふるさと納税につき寄付金控除の適用を受けることができます。

そもそも会社員で確定申告していない場合は?

 読者の皆さんの中には、会社員であるため普段は年末調整だけで確定申告はしていない、という方も多いと思います。

 そんな方が、例えば2018年に支払った高額の医療費の領収書を今になって見つけたら、どうすればよいのでしょうか?

 こうした場合、期限後申告(還付申告)という手続きを取ります。後で述べる申告期間内であれば、医療費控除を受けていなかった医療費につき、還付申告により控除を受けることができます。

 ですから、医療費控除を受け忘れていた2~3年前の領収書が見つかったとしても、あきらめずに医療費控除を受けるようにしましょう。

 更正の請求と期限後申告(還付申告)の違いは、前者が確定申告書を提出した後で、税金の減額・還付を請求するものであるのに対し、後者はそもそもまだ確定申告書を提出していないが、確定申告により還付を受ける手続きであるという点です。

更正の請求や期限後申告が認められる前提条件とは?

 更正の請求や期限後申告が認められるためには条件がいくつかあります。

 一つは、期限が決められているということです。更正の請求は、法定申告期限から5年以内と定められています。例えば、2018年分の所得税の更正の請求であれば、法定申告期限が2019年3月15日ですから、その5年後の2024年3月15日となります。2019年分については、新型コロナウイルスの影響で法定申告期限が2020年4月16日となりましたので、5年後の2025年4月16日までです。

 期限後申告(還付申告)の場合は、翌年1月1日から5年間となります。したがって、2018年分の所得税申告であれば、2023年の年末まで、2019年分は2024年の年末までとなります。

 もう1点、これは更正の請求のみに関係してきますが、これが認められるのは「控除の漏れ」とか「計算間違い」といったような誤りがある場合に限られています。したがって、選択肢がAとBの二つあり、Aの方法を採用して確定申告したが、後で計算してみたらBの方法を採用した方が税金が安く済むことが分かったので更正の請求をする…というのは認められていません。

 この点は、特に株式投資にかかる税金でよくトラブルになるところです。別の回でご説明したいと思います。