親会社からの資産買収を計画、発表後の株価急落は「市場の過剰反応」

現地コード 銘柄名
01171

エン州煤業

(ヤンジョウ・コール・マイニング)

株価 情報種類

5.02HKD
(10/6現在)

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 エン州煤業は9月末、親会社のエン鉱集団有限公司から複数の事業資産を取得することで合意したと発表したが、この取引に対して市場の疑念が高まる中、同社は10月5日のカンファレンスコールで、買収資産に関するより詳細な情報を開示した。それによると、対象企業の20年上期の減益は新型コロナウイルスの影響によるもので、採算性はすでに改善傾向にあるという。BOCIは今回の資産取得により、エン州煤業の21年の利益は18%増えると予想。年間25億-28億元のフリーキャッシュフローの上乗せも期待できるとし、同社H株の10月5日の急落(前営業日比13%安)は市場の過剰反応だとした。同社株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。

 今回の買収の対価は総額183億元。対象となる資産のうち最も重要度が高いのは陝西未来能源化工(持ち分49.3%を買収)で、次がエン鉱魯南化工(100%買収)。うち陝西未来能源化工の年間利益は約20億元規模。一方のエン鉱魯南化工は製品価格の下落と新型コロナによる混乱で、20年上期に5,000万元の赤字を計上した。ただ、その後6月には黒字転換し、8月までに上期の赤字を埋め合わせるだけの利益を確保したという。通常であれば、同社の通期純利益は4億元前後。コロナの影響を除外した通常ベースでは、買収対象資産の年間利益は約15億元になるという。

 BOCIはこの取引が年内に完了するとみている。双方の合意では、代金支払い方法は買い手のエン州煤業に有利であり、同社はまず、買収完了時に代金183億元のうち40%を支払う。この40%分と第2回目の 30%分を内部資金で支払い、残り30%を年利4%の借入金で支払うと想定した場合、買収効果としての21年の利益上乗せ額は約10億元。この数字はBOCIの現在の利益見通しの18%に相当する。

 今回の買収資産の多くは成熟度が高いため、エン州煤業による買収までの間に、特に大型設備投資などは予定していない。年間の営業キャッシュフローは総額約50億元で、メンテンナンス関連の設備投資は約22億-25億元。こうした数字から、BOCIは買収に伴うエン州煤業のギアリング比率(負債比率)が49%から、20年末には57%、21年末には62%と、相対的に緩やかな上昇ペースにとどまると予想。他社のアナリストの予測値を下回る予測値を示している。

 BOCIは20年予想PBR(株価純資産倍率)0.5倍をあてはめた同社H株の目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。また、A株に関しては20年予想PBR1.0倍に当たる目標株価を据え置き、同じく強気見通しを維持した。今後のレーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、石炭価格が急落する可能性と、予想以上にコストがかさむ可能性を挙げている。