今週の予想

2万3,000円を守れるか。トランプ大統領と追加経済対策の行方に注目

 今週の日経平均株価は、国内外にはトランプ米大統領の新型コロナウイルス感染の影響と、追加の経済対策の行方が注目となり、国内的には国内企業の決算開示が相次ぐことに注目が集まります。

 トランプ大統領の新型コロナ感染による症状の影響は、米大統領選挙への思惑もあり不透明感があり、増税及び規制強化を揚げているバイデン氏有利との見方から株価は一時下げました。しかし、一方で関税の撤廃やインフラの加速で相殺できるとの見方も出ており、大統領選の結果にかかわらず、金融、財政、新型コロナワクチン開発によって経済が正常化に近づくという楽観的な見方といえます。

 NYダウ平均株価の上昇をサポートする目先の材料は、追加の経済対策の合意への行方ですが、先週末は民主党のペロシ下院議長が航空業界の支援での合意を示唆したことで、与野党による追加経済対策への何らかの合意への期待が高まり、株価の上昇材料となる可能性があります。また、NYダウは9月21日の2万7,147ドルでチャートでの売り転換となって、9月24日の2万6,537ドルまで下げましたが、ここからの戻りで2万8,364ドルを終値で抜けることができれば、再び2万9,000ドルを試すことになります。

 ただし、米国株式の10月は過去の経験では、大きな調整が起こっていますので、大統領選に絡んで予想外の下げを想定しておいた方がよいでしょう。基本は不透明感がある場合は、大統領選が終わるまで投資を休むということになります。

 国内の材料としては、今週は小売を中心に国内企業の決算開示が相次ぐため、今年の前半に新型コロナで打撃を受けた経済が最悪期を脱して回復に向かっていることが確認できるかどうかとなります。確認できれば相場の上昇要因になります。

 日経平均は2万3,000円を一時的に切っても終値では2万3,000円を回復する底堅い展開が続いています。これが続くためには、米株式つまりトランプ大統領と追加の経済政策の行方にかかっていると思われます。

今週の指標:日経平均株価

 国外要因としては、トランプ米大統領の新型コロナ感染が米株式にどう影響を与えるかを見ながらの相場展開となりそうです。

 一方、国内要因は小売を中心に国内企業の決算開示が相次ぐため、新型コロナで打撃を受けた経済が、回復に向かっているかどうかが確認できれば、株式にとってはプラス要因となります。これに米国の追加経済対策や大統領選への関心も高いため方向性のない展開が想定されます。レンジは2万2,800~2万3,500円を想定しています。

今週の指標:NYダウ平均株価

 トランプ大統領のコロナ感染への影響に注目しつつも、追加の経済政策の行方に絡む展開が想定されます。

 ペロシ下院議長が航空業界への支援での合意を示唆したことで、与野党が追加経済対策への何らかの合意に達する期待が高まり、株価上昇材料となる可能性があります。当初は、バイデン氏の勝利は同氏の掲げている増税や規制強化が金融市場にとってマイナスと考えられていましたが、関税の撤廃やインフラの加速が相殺するとの見方が強まりつつあります。つまり米大統領選の結果にかかわらず、金融、財政、新型コロナワクチン開発によって経済が正常化に近づくという見方が強まれば、NYダウは再び上昇することになります。つまり9月16日の2万8,364ドルを終値で上に抜けた場合です。

今週の指標:ドル/円

 トランプ大統領の新型コロナ感染後、米軍医療センターへの入院によって、目先的はリスク回避的な取引が増える可能性があります。ただし、欧米株式が下落した場合はリスク回避のドル買いが高まる場合が多く、ドル売り・円買いが拡大する可能性は低いとみられています。そのためトランプ大統領の容態を見ながらの方向感のない展開となりそうです。1ドル=104.5~106.5円のレンジを想定しています。

先週の結果

9月末決算で大幅上昇するものの、権利落ち後に大幅下落。ただし2万3,000円守る

 先週は、日経平均が2万3,000円台を守るかどうかは、NYダウ次第としました。ただし目先は9月29日(火)の9月末決算が終われば、いったん上昇した後、権利落ちで反落することになるとしました。

 結果的に、日経平均は決算前日の28日(月)に+307円の2万3,511円と大きく上昇し、権利落ちの翌日の30日(水)に▲353円の2万3,185円と大幅安となりました。そして10月1日(木)は東京証券取引所のシステムトラブルで取引は1日ストップし、週末の2日(金)は後場の午後2時ごろまではしっかりしていましたが、その後、トランプ大統領の新型コロナ感染報道を受けて急落し、▲155円の2万3,029円と反落して引けました。

9月28日(月):前週末の米株式は主要3指標そろって大幅上昇となっていたことで、日経平均は買い先行で始まり+187円の2万3,391円で寄り付きました。その後、+98円の2万3,303円まで下げてモタモタしていましたが、後場になると、時間外の米株先物高と翌日に決算を控えて配当再投資の先物買いが入って、+311円の2万3,516円と一段高となり、終値は+307円の2万3,511円でした。 

29日(火):決算日で配当落ちは約145円と予想され、日経平均は一時▲163円の2万3,347円まで下げましたが、後場になると日本銀行のETF(上場投資信託)買いと配当再投資買いから配当落ち分を埋めて+111円の2万3,622円まで上昇。しかし、ここからは上値重く+27円の2万3,539円で引けました。 

30日(水):前日のNYダウが4日ぶりに反落したことで、日経平均は▲60円の2万3,478円で寄り付き、前場は前日の安値近辺でしっかりした動きに。しかし、後場になると一転して下げ幅を拡大し、一時▲368円の2万3,170円まで下げ、終値は▲353円の2万3,185円と4日ぶりの大幅下落となりました。トランプ大統領とバイデン氏候補のテレビ討論会でバイデン氏有利の見方が広がったためでした。なぜ、バイデン優勢だと株が下がるのかというと、すでに法人税増税方針を表明しており、バイデン氏当選となると金融市場に大きな影響を与えることになるからです。 

10月1日(木):朝から東証のシステム障害で1日売買がストップし休場状態となりました。

2日(金):日経平均の前場は、前日の東証のシステムトラブルの影響もなくプラス圏で推移し、前引けは+34円の2万3,219円でした。しかし、後場になるとトランプ大統領の新型コロナ感染報道で一時2万3,000円を割り(▲234円の2万2,951円)となりましたが、終値では2万3,000円を守って、▲155円の2万3,029円で引けました。

週末の米国市場:朝方はトランプ大統領の新型コロナ感染と、予想を下回る雇用統計の結果を受けて大幅安スタート。NYダウは一時▲433ドルまで下げましたが、航空業界への景気対策で下げ幅を縮小し、▲134ドルとなりました。しかし、ハイテク株はバイデン候補有利の見方から法人税増税、規制強化の可能性があり、大きく下げました。シカゴの日経先物は2万3,000円を割っていましたが、終値では+195円の2万3,175円となっています。